表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校生活は静かに騒がしい  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

席替えはだいたい運が悪い

今回も日常回です。

ゆるく楽しんでもらえたら幸いです。

席替えのくじ引きほど、人の本性が出る行事は少ない。

教卓の上に置かれた小さな箱を見ながら、冬月はそう思っていた。

ホームルーム開始三分で担任が言ったのだ。

「なんとなく席替えしようか〜」

軽い。理由が綿あめくらい軽い。

クラスの空気は一気にざわついた。嬉しい組と、絶望する組がはっきり分かれるタイプのイベントである。

「やった!」

真っ先に声を上げたのは、やっぱり幼馴染の茜だった。

「どうせどこでも変わらないだろ」

「いや変わる! 人生変わる!」

「席で?」

「席で!!」

力強かった。

委員長の水野はすでに黒板に番号を書き始めている。仕事が早い。

「私語は控えてください。公平に行います」

公平という言葉が似合う声だった。

担任は教卓にもたれたまま言う。

「揉めたらじゃんけんね〜」

解決策が相変わらず雑だった。

くじは番号札方式になった。引いた数字がそのまま新しい席になるらしい。

「はい、前から順番にどうぞ〜」

列が動き始める。

茜が振り向いた。

「当てる」

「何を」

「神席」

「概念を引き当てるな」

茜は箱に手を入れ、妙に真剣な顔で一枚引いた。

開く。番号を見るやいなや固まった。

「……三番」

「前から一列目だな」

「なんでよ!」

「くじだからだよ」

早かった。落差が。

水野が引く。

「十二番です」

真ん中の通路側だった。視界も板書も取りやすい優良席である。

「さすが委員長」

「確率です」

言い切った。

冬月の番が来る。

箱の中の紙は思ったより少なかった。誰かがやたら時間をかけて選んでいたせいだろう。

適当に一枚取る。

開く。

「……二十四」

後方窓側......悪くない。というか、かなり良い。

「裏切り者!」

茜が叫んだ。

「運だ」

「交換しよ!」

「断る」

「友情は!?」

「席替えに持ち込むな」

「りっか〜交換しよ!」

「ダメです」

水野が言い終えたあたりで担任が声を上げた。

「動ける人から移動を始めて〜」

その言葉で移動が始まると、教室は引っ越し現場みたいになった。机の音、カバンの音、文句の声。

水野が全体を見て言う。

「通路を塞がないでください。物流が止まります」

表現が委員長だった。

十分ほどで配置が落ち着く。

新しい景色は、少しだけ新鮮だった。

「よし」

担任が手を叩く。

「これで二週間ね〜」

短い。

茜が手を挙げた。

「かほてぃ〜」

茜は担任をそう呼んでいる。

「はい」

「もう一回やりませんかぁ?」

「だめ〜」

即答だった。

「人生がぁぁ」

「はいはい授業するよ〜」

終わったと小言を言ってるのを横目に

冬月は窓の外を見る。風が少し入りカーテンが揺れる。

悪くない席だと思った。

数秒後、隣の席の生徒がやたら消しゴムを落とすタイプだと判明するまでは。

ひとまず席替えは無事に終わった。

今日もだいたい、平常運転だった。


読んでいただきありがとうございます。


この作品は、少し騒がしくてだいたい平和な高校生活を、のんびり描いていく日常シリーズです。

大事件は起きませんが、小さな出来事はだいたい起きます。


更新は無理のないペースで続けていく予定です。


もし気に入ってもらえたら、感想やブックマークをいただけるととても励みになります。


こんな話見てみたいなどがあれば感想などに書いていただけると助かりますm(_ _)m


次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ