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100回死んで地獄を制覇したら、異世界がヌルゲーになっていた  作者: nekorovin2501


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7/12

第7話:八寒地獄の極寒で凍りつきながら、俺はようやく「耐える」ことを覚えた

ルミエルの街は、朝から穏やかな喧騒に包まれていた。

石畳の通りを馬車が走り、市場では新鮮な果物やパン、魔石の露店が並ぶ。俺とリリアはギルドのカウンターに並び、次のクエストを選んでいた。

「太郎さん、今日はDランクの『遺跡探索』に挑戦してみない? 報酬が銀貨8枚だって!」

リリアが目をキラキラさせて掲示板を指差す。銀髪が朝陽に輝いている。

「いいね。遺跡なら宝箱もあるかも。俺の地獄耐性ならトラップも余裕だろ。」

俺たちは朝食を済ませ、街の北門から馬車で1時間ほどの古代遺跡に向かった。

遺跡の入り口は苔むした石柱が立ち並び、中は薄暗く湿った空気が流れている。

「気をつけてね。ゴーレムやスケルトンが出るって話だよ。」

最初は順調だった。

スケルトン三体を短剣と棍棒で瞬殺。リリアの火球が援護する。レベル14に上がる。

宝箱を一つ開けると、魔力回復の指輪が出てきた。リリアに渡す。

「わあ、ありがとう! これで魔法の連発ができるよ!」

しかし、奥の広間に入った瞬間、空気が変わった。

巨大な氷のゴーレムが四体、壁から飛び出してきた。

「マジか……冷気属性かよ。」

俺は地獄の鎧を着込み、短剣を構える。

ゴーレムの一体が巨大な氷の拳を振り下ろす。

ガツン! 衝撃で体が吹き飛ぶ。

【衆合耐性Lv2】で骨は折れなかったが、冷気が全身を刺す。

「うっ……寒っ!」

リリアが慌てて回復魔法を唱える。

「氷耐性がないとキツイよ! 太郎さん、後ろに!」

だが、俺は逆に前に出た。

「俺はもう、寒さなんて……」

次の瞬間、ゴーレムの冷気ブレスが直撃。

体が一瞬で凍りつき、視界が白く染まる。

指先から足先まで、血が凍る感覚。

心臓が止まりかける。

【HP:0】

九度目の死。

暗転。

今度の地獄は、想像を絶する極寒の世界だった。

八寒地獄の第一層――「寒氷地獄」。

地面は無限の氷原。空は吹雪が渦巻き、気温はマイナス数百度。

体が瞬時に凍りつき、皮膚がひび割れ、肉が凍結し、骨が砕け散る。

「ぐ……あああああ!」

声が出ない。肺が凍って息ができない。

再生しても即座に凍る。凍る。凍る。凍る。

痛みというより、存在そのものが消えていく絶望。

日本人が想像する「地獄の寒さ」の極み。

前世の業が、魂をさらに冷たくする。

「耐えろ……耐え抜け……!」

俺は心の中で何度も唱えた。

耐え時間を伸ばせばボーナスが増える。

1分、10分、30分……時間感覚が狂う。

凍りついた体の中で、ただ「生きる」ことだけを考える。

地獄の炎より、こっちの方が精神を削る。

でも、俺は耐えた。

八大地獄をクリアした今、寒さにも少しずつ慣れ始めていた。

ようやく、凍てついた世界が溶けていく。

【地獄周回:9回目完了。業ポイント+900(ボーナス+500)。】

【異世界に戻ります。】

光が包み、俺は遺跡の広間に戻っていた。

体は無傷。冷気の残滓すら感じない。

ステータスが更新される。

【名前:佐藤太郎】

【レベル:14】

【スキル:地獄周回者(9/100)】

【業ポイント:4600】

【業火耐性Lv2】

【黒縄耐性Lv2】

【衆合耐性Lv2】

【叫喚耐性Lv2】

【大叫喚耐性Lv2】

【焦熱耐性Lv2】

【大焦熱耐性Lv2】

【寒氷耐性Lv1(新規)】

「おお……寒さ耐性きた!」

目の前の氷ゴーレム四体が、再び拳を振り上げる。

だが、今度は違う。

冷気ブレスが直撃しても、ほとんどダメージがない。

「これが……地獄の力か。」

俺は短剣を振り、ゴーレムの核を一撃で貫く。

次、次、次。

四体をわずか20秒で全滅させた。

リリアが呆然と立ち尽くす。

「た、太郎さん……さっき凍って死んだのに……どうして……?」

俺は彼女を抱き寄せ、耳元で小さく囁いた。

「俺は死ぬたびに地獄に落ちて、強くなって戻ってくる。

 もう8回、九回目だ。

 でも、もう大丈夫。リリアがいるから、耐えられる。」

リリアの瞳に涙が浮かぶ。

「そんな……そんな苦しみを、一人で……。

 私も、もっと強くなる。太郎さんを助けられるように。」

遺跡の最奥で、大きな宝箱を開けた。

中身は「耐寒のマント」と「高級魔力回復ポーション」。

リリアにマントを渡す。

「これで一緒に寒いところも行けるな。」

街に戻る道中、リリアが俺の手を握ってきた。

「太郎さん……100回まで、私も一緒に耐えるよ。

 地獄に行けない分、こっちで支えるから。」

ギルドでクエスト報告。報酬ゲット。レベル15に上がる。

夜、宿の部屋で二人並んで座る。

業ポイント交換所で新アイテムを購入。

【八寒地獄攻略パック:1500ポイント】

→ 寒氷耐性Lv2+凍結無効の指輪が手に入る。

リリアに指輪を渡す。

「これで俺と同じく、寒さに強くなれる。」

彼女は指輪をはめ、俺の肩に頭を預けた。

「ありがとう……大好きだよ、太郎さん。」

窓の外、ルミエルの夜景が静かに輝いている。

俺は心の中で誓う。

残り91回。

八寒地獄の全層を制覇するまで、絶対に死なない……いや、死んでもいい。

強くなって、リリアを守る。

異世界は、もう完全にヌルゲーだった。

地獄が、俺をここまで強くしてくれた。

ステータス最下部に、小さく表示が変わっていた。

【地獄周回者 進捗:九寒クリア 残り91回】

【地獄の覇王 解放まで 残り91回】

(つづく)

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