表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100回死んで地獄を制覇したら、異世界がヌルゲーになっていた  作者: nekorovin2501


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/12

第11話:王都の謁見と、閻魔の方便――「100回」は、ただの嘘だった

王都「セントラル」は、ルミエルとは比べ物にならない壮大さだった。

白大理石の城壁が陽光を反射し、空を貫く尖塔が雲を突き刺す。街路は宝石のように輝く噴水と、貴族の馬車で溢れていた。

俺とリリアは、国王直々の謁見状を携え、馬車で王宮へ向かった。

道中、リリアが窓から外を眺めながら小さく呟く。

「太郎さん……本当に、私みたいな田舎娘が王宮に入れるなんて、夢みたい。」

俺は彼女の手を握る。

「夢じゃねえよ。お前がいたから、ここまで来れたんだ。」

王宮の謁見の間は、金と銀で彩られた荘厳な空間。

玉座に座る国王は、50代半ばの威厳ある男。傍らには宰相や貴族たちが並び、俺たちを見下ろす視線は好奇と警戒が入り混じっていた。

「氷の魔王を討伐した英雄、佐藤太郎とリリアか。よくぞ来てくれた。」

国王の声が響く。

「大陸の平和に貢献した功績は大きい。望むものを申せ。領地か、爵位か、金貨か。」

俺は一礼して答える。

「領地も爵位もいりません。ただ、自由に冒険を続けさせてください。それと……リリアと二人で、穏やかな生活を送れる場所を。」

国王が少し驚いた顔をする。

「謙虚なものだな。よかろう。特別に、王都近郊の別荘と、終身年金を与える。また、Sランク冒険者として認定する。」

貴族たちのざわめきが広がる。

「Sランクだと!? まだ若造ではないか!」

「氷の魔王を倒したのは本当なのか……?」

謁見が終わった後、国王の私室に呼ばれた。

そこには、国王と、覆面の老人が一人。

老人は、ゆっくりと覆面を外す。

……閻魔様だった。

赤い顔に角、厳つい表情。でも、どこか懐かしい。

「よお、佐藤太郎。よく耐えたな。」

俺は凍りつく。

「てめえ……! なんでここに!?」

リリアが俺の袖を掴む。

「太郎さん……この人、誰?」

閻魔様はニヤリと笑う。

「心配すんな、娘。俺はただの『管理者』だ。

佐藤、お前が気にしてる『残り91回』のことだが……実は、全部方便だった。」

「は?」

俺の声が低くなる。

閻魔様は肩をすくめる。

「100回地獄周回で『地獄の覇王』完全解放、なんてのは、魂を極限まで鍛えるための嘘だ。

人間ってのは、明確な『ゴール』がないと本気にならねえからな。

お前が八大地獄をクリアした時点で、炎と熱の耐性はMAX。

八寒地獄の最初の層で寒さを克服した瞬間、もう『全耐性統合』は達成してた。

つまり、無敵に近づいたってわけだ。」

俺は拳を握る。

「じゃあ……こんなのが……続くのかと思う絶望感は……いらなかったのか…』

閻魔様は目を細める。

「必要だったさ。お前の魂は、ただの社畜から『超越者』になった。

あの苦痛がなければ、今のお前はここにいねえ。

結果オーライだろ?」

リリアが震える声で言う。

「そんな……太郎さんがどれだけ苦しんだか……!」

俺は深呼吸して、閻魔様を睨む。

「嘘つき野郎。次に会ったら、ぶん殴るぞ。」

閻魔様は大笑い。

「ははは! それでいい。

これからは、地獄行きは『任意』だ。

死んでも、地獄に行かずに異世界に戻れる。

ただし、100回達成したら……本物の『地獄の覇王』スキルが解放される。

それは、宇宙レベルの力だ。

まだやるか?」

俺はリリアを見る。

彼女は涙目で頷く。

「太郎さん……もう、無理しなくていいよ。私がいるから。」

俺は閻魔様に言う。

「100回は……もういい。

これからは、死なねえように生きる。

リリアと、この世界を楽しむだけだ。」

閻魔様は満足げに頷く。

「それでいい。

じゃあな、佐藤太郎。

また会う日まで。」

姿が消える。

王宮の外に出ると、夕陽が沈みかけていた。

リリアが俺の腕に絡みつく。

「太郎さん……これで、本当に自由だね。」

俺は彼女を抱きしめる。

「そうだな。もう、地獄の影はねえ。

これからは、お前と一緒に、ただ幸せになるだけだ。」

ステータスが更新される。

【名前:佐藤太郎】

【レベル:25】

【ランク:S】

【スキル:地獄周回者(任意モード)】

【業ポイント:8000超(使用可能)】

【耐性一覧】

• 全属性耐性:無効化率99%

• 物理・魔法無効化:実質100%

• 精神耐性:MAX(地獄の無間苦痛クリア効果)【地獄の覇王(仮解放)】【現在の無双度:世界超越レベル】【残り地獄回数:任意(0回でOK)】

王都の別荘に到着。

広大な庭付きの屋敷。バルコニーから見える王都の夜景が美しい。

リリアが俺の胸に顔を埋める。

「太郎さん……これから、ずっと一緒にいようね。

子供ができたら、どんな名前がいいかな……。」

俺は笑う。

「そうだな。男なら『地獄』って名前にするか?」

リリアがぷくっと頰を膨らませる。

「だめ! 優しい名前がいい!」

俺たちは笑い合う。

異世界は、もう完全にヌルゲー。

地獄の苦しみは、ただの過去。

これからは、リリアと、穏やかな日々を積み重ねるだけ。

でも、心の奥で小さな火が灯る。

いつか、100回達成したら……本物の覇王になる日が来るかもしれない。

今は、そんなこと考えない。

リリアの温もりが、俺の全てだ。

(つづく)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ