第10話:氷の魔王討伐――大陸最強の俺が、ただの散歩みたいに終わらせる日
北方への旅は、予想以上に快適だった。
馬車の中でリリアが俺の肩に頭を預け、揺られるたびに甘い匂いがする。
「太郎さん……寒くない?」
彼女は耐寒のマントを羽織ってるけど、俺は地獄の鎧一枚で平気。
「全然。むしろ涼しくて気持ちいいよ。」
【寒氷耐性Lv1】がLv2に上がってるおかげで、雪景色がただの背景みたいだ。
道中、魔物が何度も襲ってきた。
雪狼の群れ、氷熊、さらには雪嵐を操るイエティの群れ。
どれもAランク相当の強敵らしいけど……俺にとってはただの暇つぶし。
短剣を一振りするだけで群れが崩れ、棍棒を軽く振るだけでイエティの頭が吹き飛ぶ。
リリアの魔法はほとんど出番なし。
「太郎さん、もう私いらないかも……」
彼女が拗ねた顔で言うので、俺は笑って頭を撫でる。
「いらないわけないだろ。お前がいなきゃ、こんな旅もつまんねえよ。」
3日目、北方の氷原に到着。
そこにそびえるのは「氷の魔王」の居城――巨大な氷の城塞。
周囲は永久凍土で、普通の人間なら数分で凍死する極寒地帯。
ギルドの情報では、魔王はS級以上の脅威。過去に何度も討伐パーティが全滅したらしい。
城門前で待っていたのは、氷の魔王の配下――氷の将軍たち。
五体、全員が10メートル級の氷巨人で、息を吐くだけで吹雪を起こす。
「人間ども……我が主の眠りを妨げるな!」
俺はリリアを後ろに下がらせ、一歩前に出る。
「邪魔だ。どけ。」
将軍の一体が巨大な氷の槍を投げてくる。
俺は避けず、真正面で受け止める。
槍が体に突き刺さる――が、砕け散る。
【全耐性統合パック】+地獄由来のバフで、物理ダメージほぼ無効。
「効かねえな。」
棍棒を一振り。
衝撃波が広がり、五体の将軍が一瞬で粉砕。
氷の欠片が雪のように舞う。
城門が開く。
中に入ると、玉座に座る氷の魔王がいた。
体長20メートル以上、青白い氷の鎧を纏い、目が赤く輝く。
「愚かな人間よ……我が絶対零度の力を味わえ!」
魔王が手を振る。
空間全体が凍結。温度が一瞬で絶対零度近くまで下がる。
普通なら即死。
俺は平然と歩く。
足音が響くたび、凍った地面がひび割れる。
「寒い? いや、地獄の寒氷地獄に比べりゃ、天国だわ。」
魔王が驚愕の表情。
「な……何者だ、お前は!」
巨大な氷の剣を召喚し、俺に斬りかかる。
剣が体に当たるが、傷一つ付かない。
俺は短剣を抜き、魔王の胸に突き刺す。
一撃。
魔王の体が凍りつき、砕け散る。
核が露出した瞬間、棍棒で叩き割る。
【経験値大量獲得。レベルアップ×5!】
レベル25。
玉座の後ろから、魔王の宝物庫が現れる。
伝説級の武器、防具、魔石が山積み。
リリアが目を輝かせる。
「すごい……これ全部、私たちのもの?」
「そうだな。ギルドに報告したら、報酬も跳ね上がるぞ。」
城を出ると、外は晴れていた。
永久凍土が少しずつ溶け始め、春の兆しが見える。
魔王討伐で大陸の気候が安定したらしい。
帰りの馬車で、リリアが俺に寄り添う。
「太郎さん……もう、誰も傷つけられないね。」
「そうだな。地獄の記憶は、ただの勲章になったよ。」
ステータスに変化。
【名前:佐藤太郎】
【レベル:25】
【ランク:A(S級推薦中)】
【スキル:地獄周回者(9/100)】
【業ポイント:4600+魔王討伐ボーナスで8000超】
【耐性一覧(更新)】
• 全属性耐性+70%
• 物理・魔法無効化率85%
• 精神耐性MAX(地獄の無間苦痛クリア効果)
【地獄の覇王 解放条件:残り91回達成】
【現在の無双度:大陸超越レベル(神話級)】
ギルドに戻ると、大騒ぎ。
マスターが駆け寄る。
「魔王討伐……本当か!? 北方の異常気象が止まったのはお前のせいか!」
報酬は金貨100枚+特別称号「氷の破壊者」。
さらに、Sランク昇格が決定。
夜、王都からの使者が来る。
「国王陛下がお呼びです。魔王討伐の英雄として、謁見を。」
リリアと二人、王都へ向かう馬車の中で。
彼女が俺の手を強く握る。
「太郎さん……これからも、ずっと一緒に。」
俺は頷く。
「当たり前だ。100回まで……いや、もう地獄なんて行かねえよ。
お前と、この世界を満喫するだけだ。」
異世界は、もう完全に俺のもの。
ヌルゲーすぎて、笑いが止まらない。
でも、心の奥で小さな声がする。
残り91回。
いつか、100回達成したら……何が起こる?
今は、そんなこと考えない。
リリアの笑顔を見ながら、俺は前を向く。
(つづく)




