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100回死んで地獄を制覇したら、異世界がヌルゲーになっていた  作者: nekorovin2501


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第1話:転生したと思ったら、即地獄行きだった件

俺の名前は佐藤太郎。三十路目前の普通のサラリーマンだ。いや、だった。

毎日、朝から晩までデスクに張り付いて、上司の無茶振りに対応する日々。残業続きで体はボロボロ、心はすり減って、いつしか「このまま死んだら楽かな」なんて思うようになっていた。

そんなある日、会社からの帰り道。いつものようにスマホをいじりながら横断歩道を渡っていたら――トラックが突っ込んできた。

クラクションの音。衝撃。暗転。

……死んだ。

間違いなく死んだ。

次に目が覚めた時、俺は真っ白な空間に浮かんでいた。

「ここは……?」

周りを見回すと、何もない。ただの虚空。でも、なんとなくわかる。これは、あのテンプレのやつだ。

異世界転生の待機室!

「おお、ついに俺もか!」

興奮が抑えきれなかった。前世で散々読んだラノベみたいに、神様が出てきてチート能力を授けてくれるんだろう? 無双してハーレム作って、スローライフ満喫!

心の中でガッツポーズを決めていると、虚空に声が響いた。

【おめでとう、佐藤太郎。君は異世界に転生する権利を得た。】

神様の声! 機械的だけど、優しげだ。

【君の前世の行いを鑑みて、特別なスキルを授けよう。】

やったぜ! 何が来る? 無限魔力? 最強剣士? それとも――

【スキル:『地獄周回者』。死ぬたびに地獄を巡り、鍛えられて戻る。100回達成で真の力を得る。】

……は?

地獄周回者? 何それ、聞いたことない。なんか不穏じゃね?

【それでは、転生スタート! 頑張ってね。】

虚空が渦を巻き、俺の体が光に包まれた。

「待てよ、神様! もうちょっと説明――」

視界が切り替わる。

森の中。木々が立ち並び、鳥のさえずりが聞こえる。空は青く、風は爽やか。

異世界だ!

ステータスを確認してみる。心の中で「ステータスオープン」と唱えると、半透明のウィンドウが浮かんだ。

【名前:佐藤太郎】

【レベル:1】

【スキル:地獄周回者(詳細不明)】

【業ポイント:0】

シンプルすぎる……。まあ、最初はこんなもんか。

「よし、まずは街を探して冒険者ギルドに登録だな。そこから無双の道が――」

ガサガサ。

背後から音がした。振り返ると、そこにいたのは……緑色の小さい化け物。ゴブリン?

「うわ、早速モンスターかよ。レベル1じゃキツイけど、なんとか――」

ゴブリンが棍棒を振り上げて飛びかかってきた。

俺は咄嗟に逃げようとしたが、足がもつれて転ぶ。社畜生活で運動不足だった体が恨めしい。

棍棒が頭に直撃。

激痛。視界が赤く染まる。

【HP:0】

死んだ。

転生して数分で死んだ。

……え? マジで?

暗転した視界が、再び開く。

今度は真っ白じゃなかった。

赤い。熱い。炎の海。

「ここは……?」

周りを見回す。地面は溶岩みたいに赤く輝き、空は黒煙で覆われている。遠くに、鉄の塔みたいなものが林立し、悲鳴が響く。

これは……地獄?

「おいおい、冗談だろ……」

突然、体が浮き上がり、鎖に巻かれて引きずられる。

「うわっ! 何だこれ!」

抵抗する間もなく、俺は巨大な門の前に連れて行かれた。門には「等活地獄」と刻まれている。

日本人がイメージする地獄そのものだ。仏教の八大地獄の最初じゃん……。

門が開き、中に放り込まれる。

熱い鉄の床の上に落ちる。

「熱っ! あちちちち!」

体が焼かれる。皮膚が溶け、肉が焦げる。痛い。痛すぎる。

「ぎゃあああああ!」

俺はそこで何時間も――いや、何日も? 焼かれ続けた。

死にたくても死ねない。痛みが永遠に続く。

前世の業? 何をしたってんだよ! ただの社畜だぞ!

ようやく、痛みが引く。体が再生し、視界がぼやける。

そして、再びあの声。

【地獄周回:1回目完了。業ポイント+100。】

【異世界に戻ります。】

光が包む。

目が覚めると、また森の中。

さっき死んだ場所と同じ。ゴブリンはもういなかった。

「はあ……はあ……」

体を触る。無傷。夢じゃなかった。地獄の記憶が鮮明に残ってる。

ステータスを確認。

【名前:佐藤太郎】

【レベル:1】

【スキル:地獄周回者(1/100)】

【業ポイント:100】

【新規スキル:業火耐性Lv1】

業火耐性……? 地獄で焼かれたおかげか。

「これがあのスキルの効果かよ……。死ぬたびに地獄行って、強くなって戻るってマジか。」

周りを見回す。森はさっきと同じ。鳥のさえずりが、なんだか嘲笑ってるみたいに聞こえる。

「異世界がヌルゲー? いや、地獄が本番じゃねえか……。」

でも、なんとなくわかる。

このループを繰り返せば、きっと強くなれる。

100回死んで、地獄を制覇するまで。

「よし、次はあのゴブリン倒すぞ……いや、死なないように気をつけろよ。」

俺は立ち上がり、慎重に森を進み始めた。

でも、心のどこかで思う。

次に死んだら、またあの熱い鉄の床か……。

(つづく)

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