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Vivace! ―旅芸人の娘と、調べの止まった王国の物語―  作者: ゆかれっと
◆第1章「招かれざる娘」

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8/8

王妃候補生③

「9番!?ナカシュの背番号だ!!」

 身を乗り出して答えたのは、マゼンタだった。

「わたし、マゼンタ・グランドスラム(Grandslam, Magenta)!20歳だよ!」

 相変わらず、話すと子どもっぽい。見た目だけなら完璧なお嬢さまなのに。

「お嬢さまは、我が国で王さまに次ぐ権威を誇る、名家グランドスラム公爵家の一人娘でいらっしゃいます。つまり、お嬢さまのDNAには、この上なく高貴な歴史が刻まれているのですよ」

 アケルが、一歩下がったところから補足する。

「ちなみに、DNAとは、デオキシリボ核酸のことです」

「背番号?」

 令嬢の誰かが言った。

「公爵家がようする野球実業団のことです。お嬢さまは、実業団で汗水垂らして励む彼らのことを、なによりも愛していらっしゃいます」

 ふうん。なんか、王妃の座なんかどうでもいい、と思ってるみたいに聞こえるけど。

「それだけじゃありません。お嬢さまは、見ての通り、高貴な身分のかたでありながら、同時に、弱き者に手を差し伸べる、慈愛あふれる面もお持ちでおられるのです。現に、公爵が支援しているグーテンモルゲン孤児院にだってーー」

「ノムラのオブラートなんだよ!」

 マゼンタが口を挟む。ノムラのオブラート?

「……お嬢さま。それを言うなら『ノブレス・オブリージュ』です」

 なるほど。ノブレス・オブリージュか。わかりやすく言えば『貴族の務め』という意味だ。

「次ッッ!」

「はぁ……っ」

 バーミリオン将軍の声に、思わず吐息を漏らしたのは、チェルシーだった。やっぱりおかしい。初めて会ったときは凛とした表情でこの国のことを教えてくれていたのに。いったい、どうしちゃったの!?

 チェルシーは、一歩前に出ると、スッと背筋を伸ばして言う。

「10番、チェルシー・ギョクローゼ(Gyokurose, Chelsea)と申します。歳は22歳です。実家の伯爵家では、国じゅうの茶葉を検品・等級分けして独占販売させていただいております。また、僭越ではありますが、わたくしは、ハロ語を始めとして、世界各国のさまざまな地域の言葉を習得しておりまして……その数は200ヶ国語ほどにまでなりましょうか……試しに、いくつか話してみせましょう――Nice to meet you. Ravi de vous rencontrer. Piacere di conoscerti. Encantado de conocerlo. Freut mich, Sie kennenzulernen.」

 な、何語!?

 あ、でも、 “Nice to meet you.” はわかる。確か『よろしくお願いします』という意味だ。




「11番、リリコ・ジャマスルネン(Jamasurnen, Lirico)16歳よ。男爵家の――いえ、準男爵の娘です。わかってるわよ、騎士爵だもの。正確には貴族じゃないって言うんでしょ?でも、茶葉製造業者として、現場監督としての誇りは誰にも負けない。お父さんが作るお茶は本当に美味しいんだから!!」


「12番、シャオメイ・リー/李暁迷(Li, Xiaomei)15歳アルヨ!『蒼穹そうきゅう国』から来たネ!ココには興行で来たヨ。東洋演劇集団『翠星戯班すいせいぎはん』の看板娘アル。『シャオ』て呼んでネ。パンダさんパワーーーッ!!!」


「13番、ポンコ・ミハエル(Michael, Ponko)15歳、男爵の娘よ。れっさーれっさー♪」


「14番、ラナ・パディ(Paddy, Rana)17歳、田舎の農家の娘なの。平民よ。田んぼにはカエルさんがいっぱいいてね、カエルさんのすごいところは……」


「15番、コフレ・パルファム(Parfum, Coffret)21歳、子爵の娘よ。父は王国化粧品組合で理事長を務めているの。だから、わたしもメイクが大好き!コスメのことなら、わたしにまかせて!」


「16番、ブレイド・パック(Puck, Blade)17歳、男爵の娘です。ねえ、わたしとホッケーで勝負しない!?」


「17番、トラム・レイルロード(Railroad, Tram)21歳、レイルロード子爵の娘で、父は鉄道管理局長をしています。わたしも鉄道旅が大好き!」


「18番、オルカ・シャマ(Sama, Orca)22歳、子爵の娘よ。父は海運業を営んでいます。シャチが好きなの」


「19番、ヴィヴァーチェ・スフォルツァート(Sforzato, Vivace)19歳。家族で旅芸人一座をやっていて、わたしはピアノ担当ね。この国には興行で来たはずだったのだけど……」


「20番、レプティア・スキンス(Skinks, Reptia)17歳、男爵の娘だよ。『レプ』って呼んでね!ほら、この子、みてー!かわいいでしょ!?わたしのペットのトカゲちゃんだよ!」


「21番、ポモ・トイプー(Toypoo, Pomo)14歳、男爵の娘よ。うちのトマト農園で採れたトマトは最高なのーーー!!」


「22番、パピヨン・ヴァネッサ(Vanessa, Papillon)18歳、ヴァネッサ男爵の娘。父は王宮専属の仕立て屋をしています……これでいいかしら?」


「23番、リオ・ヴァッセル(Vessel, Rio)17歳、子爵の娘です。よろしくお願いします」


「24番、ホアホア・シャオ/小華華(Xiao, Hua-Hua)16歳デす。東洋ニある『桜華おうか国』からまいりましタ。実家は、路地裏デ営んでル、小さな中華料理屋『小小飯店シャオシャオはんてん』ですケド、地元自治体から『第18代・花娘はなむすめ』選ばれタ、ノデ、ワタシ、特産品PR、していマスです。桜華観光大使、務めテおります。どなたさまも、ヒトしく【お・も・て・な・し】させテいただきます♡」

注釈)

“パンダさんパワーーーッ!!! - PANDA-SAN POWER!!!”――[Mei Yamazaki]

“れっさーれっさー♪ - Lesser Lesser!”――[Mihane Ishii]

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