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嫁に浮気されたら、大学時代に戻ってきました!  作者: 万和彁了
シーズン・2 地獄のGW新歓合宿とサークルクラッシャー(物理)のカナタくん!そして時空歪曲の『ファーストキス』

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第47話 合コン前に面接ですか?!

 参天浪と俺は六本木にやってきた。そして交差点近くのコンビニの前でキリンさんと合コン相手の女子たちが来るのを待っていた。


「しか(それがし)は思うのだがな」


 皇都大学数学科参天浪が一人、古間太郎が眼鏡をくいってしながら高速道路にかかれたroppongiの文字を見ながら何かを宣い始めた。うぜぇ。

 

「おや。太郎殿は何を見つけたのじゃ?拙者達に言うてみよ」


 同じく参天浪の1人である越廼次郎が偉そうにその先を促す。うぜぇうぜぇ。


「せやせや。小生は太郎にぃのいんすぴれーしょんに期待しておるで!」


 そして参天浪最後の一人、気府羅(けふら)三郎がキラキラした目で太郎を見詰めている。うぜぇうぜぇうぜぇ。


「六。すなわち、(太郎)(次郎)(三郎)。我ら参天浪に相応しい数字に思うのだが如何に?」


「流石じゃ太郎殿。その観察力侮りがたし」


「せやな!小生たちの今日の日に相応しい論理的帰結やな!!」


 さっきからこうやって街中で見つけたものと数学と自分たちを搦めてはバカ話ばかりしている。


「うわぁ。意味わかんない…?!うぜぇ!わけわかんなくてうぜぇ!何が参天浪だ!中二病って名乗れや!」


 参天浪。三人の名前が郎で終わるから参天浪だそうだ。なお最後のロウの字は季節に応じて変わる予定らしい。来月には浪から楼になるとか…くっそどうでもいい!なおすべて自称である。


「お前ら…本当に今日合コンだってわかってんの?」


「ああ、わかっているとも。男が4、女が4」


 うぜぇ太郎君が宣う。


「そのうち、幹事の常盤殿とキリンさん殿を除いた場合」


 うぜぇうぜぇ次郎君が続け。


「カップルの組み合わせは9通り!!選びたい放題やで!!」


うぜぇうぜぇうぜぇ三郎君がオチをつけた。いいやオチてない!!


「ばーか!ばーか!ばーーーかーーー!!だれが場合の数の話してんだよ!!?もっとこう自分が選ばれる確率とか考えて!!今のままのウザさだと0%だよ!0%!カップル不成立だからな!!」


「常盤殿は何をいってるのだ?我らは皇都大学。コーダイ生だぞ」


「高学歴であるぞ」


「頭いいんやで!!」


「あほ!このあほぅ!あほおおおおおお!いいか!?だったらなんで今お前らに彼女がいないんだよ!!?あん?!」


 世の中学歴だけで彼女が出来るのなら苦労はしないのである。学歴だけなら前の世界の俺だってモテモテじゃなきゃおかしい。


「某には姫という思い人がいる」


「左様。拙者らには姫がいる」


「小生らは好きなんや!姫が!!」


 そして参天浪は息を合わせて。


「「「片思い中だから、彼女出来ないのは仕方がない!!!」」」


「彼女が出来ない言い訳に楪を使うんじゃないよ!!あーもう。何これ…感じとは言えぶっちゃけけっこう合コンというイベントを楽しみにしてたのに…。こんなにうぜぇとは…!!」


 参天浪マジでウザい。理系の俺ですらわけわからん数学の理論をひたすら喋り倒すノリにまじでついて行けない。それだけならまだいいんだけど、こいつらとにかく変人!放っておくとプラプラと歩き出すし、関数電卓をぱちぱちはじき出したり、タッチパネルPCでなにかの計算プログラムを組みだしたり、ノートを地べたに広げて何かの数式を討論しだしたりと散々である。まじフリーダム。楪も数学に夢中になると周りが見えなくなるけど、こいつらに比べれば全然マシですよ!!普段からこんな感じらしい。だが頭の良さだけはガチ。あと美容室に放り込んでみたら、意外と顔は悪くなかった。俺みたいな濃い系ではなく、どちらかと言えば塩や醤油系の顔。太郎は鬼畜眼鏡系イケメン。次郎は貴族系イケメン。三郎はショタ系イケメンである。顔がいいからさらにウザいんだよね。イケメンでも許されない奇行のラインを平気で超えてくるのが参天浪である。


「ハリウッドくんお待たせぇ。いえーい!」


 そんな困っている俺のところにキリンさんがやってきた。1人で。


「あははいぇーい。こんちはキリンさん。…どうして一人なんですか?」


 これあれですか?女子が来なくって合コン不成立とかって流れ?参天浪を見ると、状況を察したのか、あからさまに落ち込んだような顔になってる。なんだよ。ちゃんと楽しみにしてたのか。


「だいじょぶだいじょぶ。女子たちはもう少ししたらくるよー。…先にちょっと男子たちのことを面接させて?いいよね?」


 キリンさんが参天浪の方を見ながら冷たい声でそういった。目もひどく真剣だった。ぶっちゃけ怖い。ウェーブした明るい茶髪に派手めなお化粧、そしてボディコン系肩だしミニスカートワンピにストールを肩にかけたゆるふわエロエロお姉さんスタイルなのにすごく底冷えするような圧を感じる。睨まれてる参天浪達、明らかにビビってる。


「ふむふむ。顔はいいね。うん。でもそれはどうでもいいかな」


 キリンさんは直立不動になって横にならんだ参天浪の周りをゆっくりと回り始める。舐め回すように彼らを見てる。


「頭もいいんだよね。まあいいことだけど、もっと大事なことがあるよね」


 キリンさんは太郎の前に立って下から覗き込むように彼をじーっと見つめる。美人でその上セクシーなキリンさんに見詰められて太郎は落ち着きなくソワソワしだす。


「そうだよね。そう。そうだよ。そういうの。うん。そういうのがいいの」


 キリンさんはさらに次郎の前にたって彼の手の上に手を重ねる。次郎の顔が赤くなりキリンさんから目を逸らす。


「だよね。だってそうだもの。だからそのままだといいよね」


そして最後に三郎の前にたちその頬を撫でる。三郎は顔を真っ赤にしてお目目をグルグルさせてしまう。


「こういうのだよね。こうあるべきなんだよね。これこそがあるべき姿だといいのに」


 キリンさんはヒールをつかつかとならせて俺の傍によってきて。グッと親指を立てて。


「ごーかくだよ!!ちゃんとじょしーたちに会わせてあげるぅ!」


「ええ…今のは何のテストだったんですか?」


「…女の子相手に優しくできるかどうかだよ。下心しかない奴なら動じないよね。この子たちは初心な反応で可愛らしかったよぅ。だからきっと女の子と付き合ってもその子にひどいことはしないよね」


「ああ、なるほど。確かに…」


「私は将来はお見合いおばさんになるって決めてるんだぁ。だからちゃんとした人たちを引き合わせてあげたい。乱暴な男の子はのーさんきゅーでーす!だめー!」


 胸の谷間の前でキリンさんは両手を組んで可愛らしくバッテンマークを作る。


「じゃあ行こうかなぁって言いたいんだけどぉ!さっきちょっと君たち変な話し方してたし、なんかノートを地面に広げて話し合ってたりしてたよね。ぶっちゃけ声かけるのすごく勇気必要だったよぅ!」


「ふっ。某らはいつでも自然数のように自然体なのだが」


「その通り。拙者らは虚数のように人々からは理解されず」


「そして複素数の如くありのままなんや!」


「お前らの存在そのものが無理数なんですけど…」


 キリンさんはまるで慈母のように微笑んでいた。


「そう。かわいいね。だけど。普通の女の子にはちょっと…ううん。超キモがられる」


「ですよねー!あはは!ウケるー!…ううっ」


 女子がキモいって言ったらゲームオーバーですよ。それでゲームセット。いくら顔が良かろうが、頭が良かろうが、学歴があろう、金があろうが関係ない。


「ハリウッドくーん。何とかなんないのー?何とかしないとケーくんと穴兄弟にしちゃうぞー!」


「それ罰ゲームなんですか?まあ一応対策は用意してあります。…ギリギリまで使いたくなかったけど」


 俺はとある人物に電話をかける。すぐにその人は電話に出てくれた。


「軍曹…頼んだ…」


「sir.Yes,sir!!このボクにお任せあれ!!」


 俺は参天浪に向かって、スマホを向ける。


『全員傾注!!』


 スマホから厳めしくそして綺麗なミランの声が響く。


『昨日ボクは貴様ら蛆虫を死ぬほど鍛え上げた!!なのにもう堕落したのか!!』


『『『NO!Sir!!』』』


 参天浪はその声を聞いてびしっと背筋を伸ばして直立不動になる。


『貴様らと来ればやれ数学だの論理だのと女の子が悦びもしないことばかり宣ってオナニーするだけのクズ虫め!恥を知れ!!』


『『『Sir,Yes,』』』


『古間太郎!お前の趣味は何だ?!』


()の趣味はキャンパスの休み時間にやるバトミントンです!!仲間たちと汗を流すのが好きです!さー!』


『越廼次郎!!貴様の好きな本はなんだ!』


おれ(・・)が好きなのは青年向けのアート漫画です!あとはスポーツ誌です!サー!』


『気府羅三郎!!貴様が学校で学んでいるのはなんだ?!』


オレ(・・)は数学で世界の問題を解決したいって思いながら日々学んでおります!サー!』


『そうだ!昨日の地獄を思い出せ!!お前ら変人共をまっとうな人間にしてやったボクの演技指導を!!お前らは今日という日を逃せば一生童貞のままだろう!!世界の神秘は知ることができても、それを誰とも分かち合えない孤独という地獄に落ちるのだ!!将来の伴侶が欲しいんだろう!?』


『『『サー!イエス!サー!』』』


『そうだ!その意気だ!…いいかい。君たちがいいやつだってことは知ってる。だけどね。たまには世間に合わせてみようよ。嘘をつくのとは違う。素のキミたちは素敵な人たちだよ。だけど知らない女の子から見たらきっと怖いよ。だからね。まずは優しくしてみよう。演技でいい。世間様に合わせて、女の子にペースを合わせてあげて。そうしたらきっと向こうも君たちの事を知りたくなるはずだよ。本当の、素敵なキミたちをね。がんばれ!』


 昨日ミランは一人一人に合わせた話し方や、振る舞い方を徹底的に参天浪達に仕込んだ。こいつらはいい奴らだが、ちょっと癖が強すぎる。女ウケって言われるようなことだし、端から見れば痛いかも知れないけど、それでも彼らはすごく頑張って演技を学んだ。自分をより良く魅せて、いずれ素の本当に素敵なところを女の子に見てもらうために。


「ああ、俺がんばってみるよ。ありがとう伊角さん」


「うん。おれもやってみせるよ。サンキュー伊角さん」


「おれ滅茶苦茶頑張るから!ありがとうございました伊角さん」


 参天浪は俺のスマホに向かって礼をする。


『ふふふ。がんばれ。じゃあね。あっカナタ君』


「なに?」 


『ボクに向かってこのド淫乱ゲロカスビッチって罵っ…』


「ミラン!さよならー!」


 俺は通話を容赦なく切ってやった。ぱちぱちと横から拍手が聞こえてきた。キリンさんが手を叩いている。


「いいねー。そういう青春のノリ―すてきー。うんうん。そうだよね。恋愛には男の子も真剣に痛いくらいに向かい合わなきゃねぇ。カナタくん!今日は頑張ろうね!」


 両手でグッジョブするキリンさんに俺も親指を立てる。合コン成功させてやりたい。そう思った。



***港区女子。それは女の中の女。恋の全ての悦楽を知った女王である***




 キリンさんの案内で俺たちは綺麗でどでかい商業ビルの中に入った。そこに彼女のお目当てのプランがあるそうだ。エントランスで女の子たちと合流する前に、キリンさんは言った。


「今日は相手がどこの学校に行ってるとかそういうしゃかいてきすてーたすを聞くのはなしね。あと本名も禁止。渾名で呼び合ってね。互いにすてーたすを放り出して個人を見てあげて欲しいから」


 というわけで、渾名を名乗ることになった。一応渾名で呼び合うことを綾城が想定してくれていたので、彼らの渾名は既に決まっている。綾城が適当に決めてくれた。


 古間太郎こと、フェルマー。

 越廼次郎こと、コーシー。

 気府羅三郎こと、ケプラー。


 全員苗字をもじって偉大なる数学者の名前にこじつけた。恐れ多い!とか参天浪は反対してたけど、楪が『いいんじゃないですかーしらんけど』の一言で黙らせた。数学科の姫つおい。

 そして女子たちがやってきた。みんな普通に可愛かった。どれくらいかわいいかというと、参天浪と彼女たちがカップルになって大学生らしく授業サボって昼間からエッチしまくってたら俺はきっと腹が立ってしかたがないくらいには可愛い。何この合コン、超大当たりだよ…。


「じゃあ紹介するね。右からユリちゃん」


 黒髪ロングで清楚な感じで可愛い。太郎と目が合って少し恥ずかしそうに微笑んだ。


「真ん中がカエデちゃん」


 明るい肩にかかるくらいの茶髪で小悪魔っぽい感じで可愛い。次郎と目を合わせて口元に手を当てて微笑んだ。


「左の子がツバキちゃん!」


 金髪をサイドでちょこんと結んでいて可愛い。三郎と目が合って元気そうに微笑む。


「えーっとうちのは右からフェルマー、コーシー、ケプラー。仲良くしてあげてね。今日はよろしくねー」


 女子たちはにこやかにしている。雰囲気はいい感じだ。男子たちもまあ緩い笑顔を浮かべてる。というかアガってるっぽい。だけどこれくらいなら十分許容範囲かな。むしろそういう女の子と出会ってドキドキで嬉恥ずかしい気持ちを大事にして欲しい。


「じゃあ午前の部開始だよー!」


 キリンさんに連れられて俺たちはエレベーターに乗る。様子を伺うと。うちの馬鹿どもと向こうの女子たちがぎこちないながらも何かを話していた。


「滑り出しはいい感じだね」


 俺の肩に手を乗せて耳元でキリンさんが囁く。なんというか色気がすごい。エチエチ!ドキドキ!ムラムラ!ってさせられてしまう。男というか、雄のハートをくすぐってくるような感じなのだ。


「そうですね。ただうちのは女子慣れしてないからなぁ」


「でもうちの子たちもそうだよ。男子が周りに全然いないからねぇ」


「俺は幹事だし、出来ればどこの学校行ってるとか職場とか教えてくれたら嬉しいんですけど。むぐぅ」


 キリンさんは俺の頬をネイルで押してくる。


「だーめ。ひ・み・つ。あの子たちがどこの子なのかわかったら、私の正体もわかっちゃうからだーめ」


 この人の本名も職場も俺は何も知らない。キリンさんも語ろうとしない。なおケーカイ先輩も知らないそうだ。よく知らんやつとセックスできるよね。リア充こわい。


「女の子は秘密で輝くみたいな?」


「ふふふ。そうだね。可愛らしい秘密はいっぱいあってもいいよねぇ」


 他愛もない話をしながら目的の階についた。そしてとあるイベント会場に連れてこられる。そこにはテーブルが並べられており、食材と鍋やフライパン、まな板包丁、そして電気コンロが置いてあった。


「港区流!合コン術!第一の奥義!!ドキドキお料理教室!さあみんな!お料理を楽しもー!いぇーーい!」


 キリンさんはテンション高くそう言った。一体どんな意図がこのイベントにあるのか?お料理教室って合コンでありなのだろうか?俺はキリンさんの底知れぬ(はかりごと)に戸惑いを隠せなかったのだ。

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