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猫の惑星〜この星の人類は滅亡しました~  作者: BIRD
第8章:滅びる種が託すもの

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EPILOGUE

 人類の起源はアフリカにあるという。

 人類、猿人アウストラロピテクス原人ホモ・エレクトス→旧人(ホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・ネアンデルターレンシスなど)→新人ホモ・サピエンスへと進化が進んだ。

 人類は、二足歩行をすることで自由になった「手」で、道具を使うようになり、火を利用するようにもなった。

 人類は、あかり、暖房、調理、猛獣からの防御に火を利用してきた。



「猛獣からの防御か。今はネコ科の猛獣には効果が無いかもしれないな」


 赤々と燃える焚火の前で、当代のケニア王パンジャが言う。

 確かに、今ではライオンも火を使う。

 パンジャは狩りで得たインパラの肉を焚火で炙り、俺に御馳走してくれている。


「そうだね、今は猛獣が起こした火を調理に使う時代だものね」


 そう言うと、俺は焼き立ての骨付き肉にかぶりつく。

 インパラはウシ科に分類される偶蹄類、肉は牛肉に似た味がする。

 ライオンと肩を並べて焚火を眺めるなんて、人類滅亡前は思ってもみなかったよ。


 1万年前に初めてケニアを訪れて以来、俺は雄大な自然や夕焼けに魅せられて、頻繁に遊びに行くようになった。

 俺のフォースでライオンたちを癒すこともよくある。

 王家の子供たちの出産の際には呼ばれることが多く、パンジャの誕生時にも立ち会った。

 生まれて間もない赤ん坊時代からパンジャと既知の中となり、一緒に原野でキャンプを楽しむことも多い。

 パンジャは見た目の変わらない俺を追い越して、今では貫禄のある王様になっている。

 俺とは親友だと言って「様」付けや敬語は断られ、タメ口で話す仲だ。


「そういえば、凍結卵子の複製化を断ったんだって?」

「うん」


 ふと思い出したように、パンジャが訊いてくる。

 ケニアに残る古代遺跡の中から、クローン技術の文献が見つかったのは最近のこと。

 ケイトの卵子を複製&人工授精して子供を複数人作ってはどうかとアニーに言われたけど、俺はやっぱりやめておくよと断っている。


「同族を復活させなくてもいいのかい?」

「死んだ両親や友人知人が戻ってくるわけじゃないし」


 人類の時代は終わったんだ。

 俺はそれを無理に復元する気は無い。

 他に人間がいなくても、寂しいとか悲しいとかいう気持ちにはならない。


「俺には、ネコ科の友人たちがいるからね」


 俺は穏やかな気持ちでそう言うと、膝の上で丸くなって眠る白猫を撫でた。



   ───END───

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