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猫の惑星〜この星の人類は滅亡しました~  作者: BIRD
第1章:最後の人類
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第4話:発掘品を組み立てる

 研究所に保護されて1週間経った頃。

 遺跡調査に出ていた研究チームが、発掘品を持ち帰った。


「タマ、この文字は読めるかい?」


 問いかけながら、モリオン博士が差し出したのはA4サイズの紙。

 フォースでヒラヒラと空中を舞って手元にくる紙を受け取って見ると、書いてあるのは日本語だ。


「読めるよ。これは何かの説明書だね。組み立て方が書いてあるから」

「おお! それはこの箱に入っていたんだが、これが何か分かるかい?」

「って、いきなり箱が現れた?!」

「ああ、これもフォースの一種で瞬間移動だよ」


 ……フォースすげぇ。


 床の上にパッと現れたのは段ボール箱。

 SFでいうところの物体引き寄せ(アポート)というやつか。

 現れたのは、某通信販売サイトの箱だ。

 まさか人類滅亡後も残っていたとは。

 二千年前の段ボール箱がほとんど劣化せずに残っているということは、保管場所の環境が良かったんだろうな。


「開けてみてもいい?」

「もちろん。君が使えそうな物なら使うといいよ」


 モリオン博士はそう言ってくれたけど。

 俺は既に箱の中身が何か分かっている。


 箱を開封してみると、中身の状態も良い。

 まあ、そもそも使用期限の無い物だからな。


「これは猫用ですよ。組み立てておけば誰か使うかな?」

「ほうほう。それは興味深いな」


 箱から取り出した物を部屋の角で組み立てる。

 モリオン博士が興味津々だ。


 一方……


「おお! これは良い物だ!」

「我々の遊び心を刺激する、素晴らしい物だね!」

「発掘した甲斐があったよ」


 って言いながら、空いた箱にダイブするキミタチ。

 それはただの包材だ。


「おーいみんな、メインはこっちだぞ~」

「わぁ! それなぁに?!」


 組み立て終わった俺が呼びかけたら、ちょうど部屋に来たミカエルが真っ先に駆け寄った。

 箱に夢中だった猫たちが、ハッと気づいて振り返る。


「キャットタワーっていう遊具だよ。登ってごらん」

「わ~い!」

「あぁ、一番乗りをミカエルにとられてしまった」


 残念がってるけど、キミらさっきまで見向きもしなかったじゃないか。

 わらわらとキャットタワーに群がる猫たちを眺めながら、俺とモリオン博士は苦笑した。

 キャットタワーは透明なカップ付きで、入った猫の肉球などが見える。

 多分、肉球鑑賞用に透明にしてあるんだろうな。

 今この世界では、肉球を眺めて楽しむ人間は俺しかいないけど。


 その後……。


「これは昼寝するのにちょうどいいな」

「仮眠用にしよう」

「休憩室に置いたらいいんじゃないか?」


 っていう提案があり、キャットタワーは猫たちのフォースで休憩室へ移された。



挿絵(By みてみん)



【第4話の裏話】

画像の透明カップ部分は、キャットタワーの組み立て方説明書には「宇宙船ボール」って書いてありました。

猫に遊具を買ってあげると、中身より包材に夢中になるのはお約束(笑)

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