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猫の惑星〜この星の人類は滅亡しました~  作者: BIRD
第1章:最後の人類
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第2話:顔の上に乗らないで

 眠ってる間に人類滅亡しちゃって、最後の1人になった俺。

 古代文明研究チームの保護人間としての生活が始まった。


 ま~た乗ってる。

 俺はそう思いながら、顔の上半分を覆っている毛皮を掴んだ。


「ンニャッ?!」

「どうしてお前は、人の顔に乗ってくるんだ?」


 俺がワシ掴みにしたのは、1匹の白猫。

 生後3ヶ月の仔猫で、古代文明研究メンバーの息子ミカエルだ。

 猫の生後3ヶ月は、人間の5歳くらいだと聞いた。

 首の後ろを捕まれたミカエルは、手足を脱力させて無抵抗でブラ下がっている。


「ごめんごめん、つい乗りたくなっちゃってさ。鼻や口をふさいだりはしてないよ?」

「まあ、初日よりはマシだが……」


 ミカエルはコールドスリープから俺を目覚めさせるときに、顔に乗っていた猫だ。

 自発呼吸を始めた俺を、危うく窒息させるところだった奴。


「乗るならここにしてくれ」

「はぁい」


 ワシ掴みでブラ下げていたミカエルを、胸の上に乗せてやった。

 デカい猫だと重くて苦しいが、チビのミカエルならなんでもない。

 できればチビのままでいてほしいもんだ。


「今日はママお泊りだから、ボクここで寝ていい?」

「いいよ」


 胸の上で伏せながらキュルンとした目でおねだりする仔猫に勝てるわけがない。

 快諾してそのまま二度寝を決めて、ゴロゴロ言ってる音を聞きながら眠りに落ちた。



 翌朝……


「……どうして、こうなった?」


 起きて顔を洗いに行って、鏡を見た俺、呆然。

 胸から首元にかけて、数ヶ所赤くなった部分がある。


 虫刺され?

 いや違う。

 これは所謂キスマークというやつ。

 俺以外に人間がいない世界で、誰がつけたのか?


 謎が解けないうちに、部屋に誰か入ってきた。


「タマ、ごはんだよ」


 って。

 まるで猫に餌やりするみたいな台詞と共に入ってきたのは仔猫ミカエル。

 俺より先に起きて、食事を持ってきてくれたようだ。

 仔猫もフォースが使えるらしく、空中にレトルトパウチとお椀とスプーンを浮かべて運んでいる。


「これ、ミルク味で美味しいんだ。ボクのオススメだよ」


 ミカエルがオススメするレトルトパウチは、言わずと知れた仔猫用ウエットフード。

 人間が絶滅した世界にお粥なんかは無いので、胃の機能が回復するまで食うのは仔猫用離乳食である。


 しかし、なぜ俺は仔猫にお世話されているんだろうか?


 疑問に思いつつ、お椀にウエットフードを入れて、スプーンで掬って口に入れた。

 ほんのり甘いミルク味。

 美味しいか不味いかと聞かれれば、美味しい方だ。

 しかしやっぱり人間の俺には薄味過ぎる。


「あれ? その赤いのどうしたの?」

「あ~多分、虫に刺されたかな? 痒くないから平気だよ」


 膝に乗って俺を見上げたミカエルが、謎のキスマークに気付いた。

 痒みは無いが、他に原因が浮かばないので虫刺されかもと言っておこう。



挿絵(By みてみん)



【第2話の裏話】

流動食としては老猫用もあるんですが、カロリーは仔猫用の方が高いです。

ミルク味は、実際に仔猫たちに離乳食を与えてみて一番食いつきがいい物でした。

そしてやっぱり人間が食すには薄味過ぎです(←味見した作者)

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