一枚の紙切れ
たった一枚の紙切れ
俺の文字でたった一言
「少しくらい休んでいいんだ」
だけど君は走り続ける
たった一枚の紙切れ
君の文字でたった一言
「今日も死に切れなかった」
そして君は手首を切った
首を吊った君の口から
「死にたくない」の言葉が漏れる
俺はそれに気が付いてた
君はそれでも首を締め付ける
もう嫌だ
君はただ咽び泣いた
俺が代わりに生きよう
そう思った事もあった
もう無理だ
君は歩き疲れて
俺が代わりに生きよう
そう思った事もあった
たった一枚の紙切れ
俺の文字でたった一言
「今日もよく頑張ったな」
君は満足することを知らない
たった一枚の紙切れ
君の文字でたった一言
「今日も一日辛かった」
そして君は頬を殴った
壁に打ち付けられる頭
「もう辞めたい」と泣いている
俺はそれに気が付いてた
君はそれでも頭を打ち付ける
もう駄目だ
君はぽつりと呟いた
俺が代わりに生きよう
そう思った事もあった
もう嫌なんだ
君が傷付くのは
俺が代わりに生きよう
そうした事もあった
君の中で蠢く感情
悲しみ辛さそして虚しさ
優しさはとうの昔に捨てた
怒りもとうの昔に捨てた
もう嫌なんだ
君が傷付くのは
俺が代わりに生きよう
そうした事もあった
早く死にたい
なんていうなよ
俺はそこに居るから大丈夫
全て任せてゆっくり眠れ