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『神々』と紡ぐ物語  作者: NOみそ(漫画家志望の成れの果て)
6/9

元貴族の冒険者、ウマの合った女商人と初依頼をこなす

貴族の家族から追放され、ひとり街へと向かうクリス。


道中出会った女商人フィラと意気投合し、


街まで一緒に行くことに・・・。


生活のために、冒険者ギルドに登録をした彼に、

ギルド受付が勧めてきた初依頼の内容は・・・。



頂いたアイデアを使わせていただいての更新です。


ありがとうございました!

 ~~~~~~~~~~~~~


「それで、明日は薬草採取っスか?」


「うん、採取場所は草原や森になるから、

 今夜はもうまずいかなって」


 同じ席で夕食を食べながら話すクリスとフィラ。


 ちなみにここは、冒険者ギルド提携の食堂だ。


「冒険者カードがあれば、大盛りサービスなんですよ」

 と、ギルド受付の女性レナに勧められて、クリスは食事に来たのだが。


「あ、早くも再会っスね」

 と、さっき別れたばかりの女商人フィラとばったり。


 せっかくなので一緒に食事を、というわけである。



 会話の内容は、クリスが先ほど受けた依頼についてだった。


『薬草採取』、

 新人の冒険者にはおすすめの依頼らしい。


「ま、定番っスね。

 薬草を見分ける鑑定能力。

 周りの魔物を察知できる索敵能力。

 何より地味な作業を延々とこなす根気と、冒険者としての素質を見る試金石みたいなものっスから」


「はぁ・・・、そうだったんだ」


「ま、あくまでウチの想像っスけど」


「さいですか・・・」


 冗談まじりの何気ない会話。


 クリスにはそれがやけに楽しい。


 果実水をちびちびやっていたフィラが、ふと思いついたように言う。


「あ、ならウチもついて行っていいっスか?」


「・・・はい?」


 ちなみに、この後クリスが泊まる先は、

 フィラの紹介で同じ宿となった。



 ~~~~~~~~~~~~


 ――で、翌日。


 穏やかに晴れた空。


『平和』な『原っぱ』と書くにふさわしい、緑あふれる平原。


 クリスはフィラと共に薬草の採取に(いそ)しんでいた。


 本で得たつたない知識を頼りに、

 クリスは眼と鼻、さらには舌を使って薬草を判別していく。


「いいの?商人の仕事は」


「店を持っているわけじゃなし、

 一日くらいどうってことないっスよ」

 フード越しにケラケラと笑うフィラ。


「それに、クリス君と一緒にいれば、魔物の素材とか沢山()()()()そうっスから」


「さいですか・・・」


「あ、クリス君。

 その薬草は育ちすぎっス。

 葉の緑色が濃いっスから」


「あ、ありがと」


 ひょっとして、フィラは自分の事を心配して一緒に来てくれたのだろうか。


 うぬぼれと思いつつも、クリスはそんな気がしてしまう。



 ――ちなみに、昼休憩までにクリスは、六匹のホーンラビット、

 十匹のビッグビーに襲われた・・・。


『平和』な『原っぱ』のはずだったのだが・・・。


 短剣と木剣を駆使して、何とか倒したクリスに向かってフィラは言った。


「ポーションと毒消し要るっスか?

 倒した魔物半分と交換でいいっスよ」


「ありがと・・・」


 いやフィラさん・・・、

 あなた自分だけ何か魔物よけの道具を使っていますよね、絶対・・・。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 昼になり、宿で作ってもらった弁当を食べる二人。


 食べながらフィラは、質の良い薬草の基本的な見分け方や効果について説明してくれた。


「日当たりの良いところで育った薬草は、茎も日陰の薬草より太くて、葉っぱも分厚く育つんスよ。

 出来たポーションも、日陰より日向のもののほうが効果が上になるっス」


「じゃあ、日陰の薬草は使えないってこと?」


「いいえ、日陰の薬草で作ったポーションは若干効果が弱い反面、日向のものより刺激が弱いんスよ。

 血を流しすぎた場合やヨボヨボのお爺さんの怪我に使うなら、身体への負担が少ない日陰ポーションがおすすめっスね」


「そうなんだ・・・!」


「ま、普通はそんな風に分けてポーションを作ったりしていないんスけどね。

 取った薬草は全部まとめて、ごった煮って感じだそうっスよ、あはは」


「そうなんだ・・・」


 ――などという、『薬』にならなくもない会話をしながら、二人は昼食を終えた。


「ところで、クリス君いいっスか?」

 口元をふいたフィラが言う。


「さっき倒したビッグビーなんスけどね、

 あれって一つの巣にいるのはせいぜい十数匹程度らしいっスよ」


「そうなんだ。

 まあ、普通の蜂と違って、一匹一匹がネズミ並みの大きさだからね」

 と、クリスも話題に乗る。


「さっき十匹の群れを倒したっスよね。

 つまりあの群れの巣には、もうほとんど蜂がいないって事っスよ」


「・・・そうだね」


「ちなみに、ビッグビーのハチミツってすごく美味しくて貴重なんスよ。

 商人ギルドか薬師ギルドに持っていけば、高額買い取り間違いなしっス」


「へ~・・・」


「・・・」


「・・・」


「巣、獲っちゃいましょうよ」


「やだよ!」

 即座に拒否するクリス。


 先ほどの戦闘で死ぬ思いをしたからだ。


 それに対してフィラは、

「まあまあ、サービスで『毒よけ』をあげるっスから」

 と、収納ボックスから薬瓶を取り出した。


「これを飲んでおくと、しばらく毒が効かなくなるんスよ。

 これでいくら刺されても大丈夫!」


「でも痛いじゃないか!」


「『痛みよけ』もあるっスよ。

 飲んでおくと、しばらく痛みが感じなくなるんス。

 これで死ぬまで戦えるっスよ!」


「・・・」


 結局、毒よけに痛みよけ、さらに戦闘後にポーション提供を条件に、

 クリスはフィラと一緒に巣を探すことになった。


「大丈夫。

 戦闘になったらウチも援護するっス」


「本当に~・・・?」


 平原を抜け、一番近い大木の群生地へ入る二人。


 ビッグビーの巣は、特定の大木に造られるからだ。


「でも、ここから巣を見つけるのは大変だね・・・。

 どうするの?」


「まずクリス君。

 この『魔物よけ』を身体にふりかけてください」

 と、粉袋を取り出すフィラ。


「やっぱり使っていたのね、魔物よけ・・・」

 と、ぼやきながら、服にその粉を付けていくクリス。


 フィラはさらに、

 先ほど仕留めたホーンラビットとビッグビーを一匹ずつ取り出す。


「ビッグビーは肉食で、仕留めた獲物の肉片を巣に運ぶんス」


「うん」


「そして、仲間の『匂い』に敏感なんスよ。

 ビッグビーをつぶすと、その『匂い』は強く周りに広がるっス」


「分かった!

 その『匂い』で仲間のビッグビーをおびき寄せて、

 ホーンラビットの肉片を巣まで運ばせようっていうんだね?」


 そして、巣まで道案内してもらおう、という作戦である。


 という事で、木剣でビッグビーの死骸をつぶすクリス。


 そして、その横にホーンラビットを並べて、

 二人は『道案内』が訪れるのを待った・・・。



 ~~~~~~~~~~~


「まさか、こんなスムーズにいくとは思わなかったっス」

 たった今、数匹のビッグビーを倒したクリスに向かって、フィラは言った。


 そして、二人は目の前の大木を見上げる。


 かなり高い位置にある幹と枝の付け根には、牛一頭に相当するサイズの蜂の巣が出来ていた。


「あれが、ビッグビーの巣・・・」


「いや~、初めてみたけど・・・でかいっスね」


「中にまだ蜂が残っているかな?」


「どうっスかね・・・よっと!」

 と、いきなり巣に向かって石を投げつけるフィラ。


 カツン、と音がして巣に当たったが、中からビッグビーが出てくる気配はない。


「大丈夫みたいっスね。

 じゃ、クリス君、お願いするっス」


「よし!」

 と、クリスは『走行』のスキルを発動した。


 大木の幹を垂直に走って登り、巣のある枝へ。


「じゃ、落とすよ~」

 と、枝にまたがった状態で、クリスは巣の先端部、すなわち大木に張り付いている部分を短剣で斬り始めた。


 ゴリゴリ・・・、

 硬い・・・。


 これは、下から石をぶつけるくらいでは、到底落とせなかったろう。


 ボウガンの矢でも果たしてどうか・・・。


 しばらくして、


「フィラ!」

 と、クリスの合図と同時に、先端が斬り終えられ、巣は真下へと落下した。


「はいっス!」

 と、そのまま巣は、待機していたフィラの『収納ボックス』にすっぽりと入り込む。


「やったっス!

 こんな完璧な状態でビッグビーの巣が手に入るなんて・・・!」

 と、興奮気味のフィラ。


 それを見て、クリスも嬉しくなる。


 静かな大木の群生地の中、二人のハイタッチの音が響いた・・・。


【つづく】


















ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!


そして・・・、


『思わぬ臨時収入を得たクリス。

その使い道は?』



あなたの想像・・・いえ、創造されたアイデアをコメント欄にてお贈りください!


簡単な一言だけで結構ですので・・・!


『装備品購入』とか、『教会へ寄付』とか、『個室付き浴場へ』とか・・・。




物語の続きを紡ぐためにも、


どうぞよろしくお願いします・・・!


――というお願いをお聞きくださり、

本当にありがとうございました!


最新話では新たなお題を募集中ですので、

どうぞよろしくお願いします・・・!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです!フィラとクリス君のかけあいがとても楽しかったです。 [一言] 装備品購入がいいと思います!フィラもノってきそうなテーマですので。あと、もしよければ第五部分に書いた感想の子を…
[良い点]  面白かったです。アイデア使っていただきありがとうございます。 [一言]  少し豪華をしながら、次の仕事のために装備を整えるのはどうでしょう?もちろん、フィラの助言ありで。なんならフィラか…
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