あの日の星屑に花束を
忘れられない光景があるんだ。
目を閉じて。息を吐いて。色褪せた遠い想い出に視線を向けて。
そうするとほら、視えてくる。
夜半の空。
流れる星屑。
たなびく光。
──それに負けじと目を輝かせて、釘付けになっていた君。
あの夜、僕が惚けていたのは、星ではなく君にだった。
アレからもう何年だっけ。
毎年見たよね。二人で肩を寄せ合って。
空き地から。
河原から。
山から。
穴場から。
病室から。
僕だけになってからは、いつも君の眠る場所から。
今年も僕は花を持って空を見上げている。
あの日見た星屑を。
今はもういない君と。