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第4話 デート?

あの会話以降葵ちゃんの態度が変わってしまった。


これまでは俺の後ろを遠慮がちについてくるだけだったのに今では手をつないでいる。


どういう心境の変化だろう。服とご飯をあげただけでこんなになつくなんて。

チョロインってやつか? 違うか。


「うふふ、真白さん。まるでデートですね!」

「そうだね」


否定すると落ち込んでしまいそうだったので葵ちゃんの言葉には極力肯定するようにした。

幸福を与えるのが俺の役目だからな。


「次はどこに行きたい?」

「どこでもいいんですか?」

「うん。葵ちゃんが行ってみたい場所ならどこでも大丈夫だよ」

「えーっと、映画も見てみたいし、本屋さんにも行ってみたいし、雑貨屋さんってとこも見てみたいしそれから――」

「落ち着いて! 今日1日じゃ回りきれないよ。今日しか来れないわけじゃないんだしいくつかはまた今度に回してもいいんじゃないかな? とりあえず1つだけ目的地を決めよう」


興奮したように早口でまくし立てる葵ちゃんだったが俺がそう言うと納得したようにうなずいてくれた。


「それもそうですね、じゃあゲームセンターってところに行ってみたいです!」

「わかった。ゲーセンは確か2階か」


葵ちゃんは歩くのに合わせてつないだ手をぶらぶらさせる。

とても楽しそうだ。

よかった。初めはおとなしかったし楽しんでくれるのか心配だったけど俺との時間を楽しんでくれているようだ。



ゲーセンに着いた。

爛々と光る店内にはゲーセンならではの騒音が鳴り響いている。

最初はこの騒音が苦手だったんだけど慣れてくるとそうでもないというか、むしろ心地いいまであるんだよな。


今日は平日昼過ぎということもあり相変わらず小さな家族連れと俺たちぐらいしかいなかった。


ふと葵ちゃんの顔を見るとお宝でも見つけたかのように目をキラキラと輝かせていた。

そうだよな、俺も小さい頃初めて連れてきてもらったときは似たような表情をしていたと思う。

ゲーセンは子どもにとって夢のような場所だからな。


「やってみたいゲームとかある?」

「真白さんのオススメで!」

「じゃあまずはこれにしようか」


俺が選んだのは近くにあったテーブルエアホッケーだった。

白いパックを互いに打ち合い相手側のゴールに入れたら得点となり最終的により多くの得点を取った方が勝ちというあれだ。

葵ちゃんにもルールを簡単に説明して勝負を開始する。


「えいっ!」


はじめは慣れない手つきだったがだんだんと上達していく葵ちゃん。

どうやら飲み込みが早いらしい。


「悔しい! もう一回しましょう!」

「ああ、いいよ」


そして彼女は負けず嫌いだった。意外な一面が知られて嬉しい。


「うふふ、ようやく楽しそうにしてくれましたね! 真白さん」


無意識のうちに笑っていたようだ。うわべだけじゃない。本心から。

そうだな、せっかくの機会だ。俺も楽しむか!


「次はあれがやってみたいです!」


葵ちゃんが指さしたのはカーレースゲームだった。

カーレースゲームってコンシューマー版もたくさん出てるけど実際に運転席に座ってプレイできるのはアーケード版ならではだよな。


「ええっと、こうですか?」

「うん。座席の右下にレバーがあるでしょ? それを引いたら座席とハンドルの間の距離を調整できるんだ」

「できました!」

「それじゃあお金入れるよ」


コースを選び対戦を始める。

俺もまだ免許取れてないんだけど運転ってなかなか難しいよな。

ゲームでこれなら実際はどうなんだろうかと思ってしまう。


「ううっ、CPUさん強いです……」

「確かに……」


結局1位はCPUだった。おかしいな? 難易度イージーのはずなんだけどなー。

ちなみに俺は3位、葵ちゃんは6位だった。


「悔しいですけど切り替えて次行きましょう!」


それから俺たちはメダルゲーム、リズムゲームといろんなゲームを楽しんだ。

そして――


「すごいです! 本当にとっちゃいました!」


俺たちは今クレーンゲームをしていた。

どうせなら何か形に残るものをプレゼントしたいと思っていたところ、葵ちゃんがあのぬいぐるみがかわいいと言ったのでとることにしたのだ。

こう見えて俺はクレーンゲームが得意だ。今回も200円でとることができた。


「葵ちゃん。はい、どうぞ」

「えっ? 私がもらってもいいんですか!?」

「もちろん。今日の思い出の証として、どうかな?」

「ありがとうございます! 嬉しい……大切にしますね!!」


そう言ってぬいぐるみを抱きしめる彼女の表情は心の底から嬉しそうだった。

なんてことはないただのうさぎのぬいぐるみ。

今はそれが2人を結びつけてくれるような気がした。

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