僕
おはようございます、こんにちは、こんばんは、
青空 ナツメ と言います。
この作品が初めての投稿になります、ぜひとも読んでくださったら嬉しいです。
そして誰かの心に届くことを願って.
この世界は、誰のために作られたのだろうか。
そんな誰かの問いに、『少なくとも、君のためではない』と言ってしまいそうになる時がある。
僕には、幸せが見える。
正確に言えば、
「自分が触れた人が、自分と一緒にいて、幸せなのかどうか」
が分かる。
そんな特殊能力のようなものを持ち合わせてしまった僕だが、割と使いこなせているという自信がある。それを確認する相手がいないのがちょっと残念なところであり、ちょっとの優越感を感じるポイントなんけれども。
例えば、今隣にいる親友、一ノ瀬和真は、僕といる時の幸せ指数がとても高い。
今日は特に絶好調だ。大体いつもは90の数字を頭の上に浮かべているが、今日は特段期限がいいらしい。96の数字が踊っている。
「っなぁ!かける!!!ついに新曲出たな!な!!!!俺ほんとに好きなんだよこのバンド!そしてそれを分かり合えるお前と出会えた!これは奇跡だ!!!」
この文面でおわかりいただけただろう。彼は相当アホである。僕が自分の名前をひらがな表記で脳内変換してしまうくらい。翔。近頃はしょうって読む人が多いんだけども。まぁそんなことはどうでもいい。
「僕もかずと会えたのはほんとに奇跡だと思うよ、なかなか居ないでしょこんなマイナーを好きな男2人が同じ大学のサークルなんて」
淡々と述べたつもり、あくまでつもりだったが。
「ほんとだよな!?やっぱ運命ってやつだな~」
前述したように、彼は相当なアホだが、冷めた僕をも鼻で笑わせてしまう彼を好きな僕もかなりの馬鹿なのである。
だけど、僕は嘘をついた。つかざるを得なかったからだ。奇跡は起こるものじゃない、起こすものだし、運命は繋がるものじゃなく、繋ぐものだ。偶然なんかじゃない、少なくとも、特異な僕にとっては。
この能力で、僕は『奇跡と運命を必然にできる』わけだ。自分の都合だけじゃなく、相手の幸せと照らし合わせて。
これは互いに合理的で、人との付き合い方に困らない方法だ。そう自負していた。この時の僕は。間違いなく間違えていないと思っていた。