第6話 実地訓練
カイムとリオンが一躍、有名人になってから3週間が経っていた。新入生は学園生活になれ、少数のグループで修行するものもいれば、1人で修行するもの、多人数で修行するものと色々だ。
カイム達は、新たにリオンを仲間に入れ、5人で活動していた。
「えっと、皆さん、今日も授業お疲れ様でした。さてさて、後3日後に実地訓練があることは知ってましたよね?」
教師のライラが生徒に向かってそう言うと、少数の生徒…いわゆる不真面目な生徒達は、
「めんどくせー。」
「聞いてないし。」
とかそんな言葉が飛び交う。
「はいはい、静かに。」
手をパンパンと鳴らすと、生徒達は渋々、口を閉じた。
「ちゃんとグループを作ってくださいね。6人以上8人以下ですからね。では、またあした。」
「起立、礼。」
「「さようなら」」
カイム達5人は後1人をどうするかを中庭で話合っていた。
「さて、どうするの?」
ルーシェは不安そうに皆に問いかける。ミーナはずっと読者をしている。
「僕は実力がない奴とは組まないぞ。」
ご機嫌ななめなリオン。
「そりゃそうだけどよぉ…」
ロイドも不安を隠せない。
「…本当にどうしようか?」
(もし参加出来なかったら、軍に入隊するときに響いてしまう。かといって実力のないものを選んでも…)
さすがのカイムも焦りの表情。
「はぁ〜」
溜め息が漏れる。その瞬間、
「ん…」
カイムとリオンが何かの気に反応した。気を感じる方に視線を変える。後ろにいた。後ろにいた女の子に気がつかなかった。
「君、いつから?」
カイムが真剣な表情で訪ねると、
「その男の子が、そりゃそうだけど。と言った時からだ。」
(こいつ…気配を消せるのか?)
「人数で悩んでいるのだろう?なら私を加えてくれないか?」
「…いいんじゃないか?」
リオンはおもむろに腰をあげる。
「見た感じ、僕と同じくらい実力はある。認めたくないがな。」
「リオンが認めた…」
ルーシェとロイドはポカーンとしている。
「俺も良いと思う。君が良ければ是非。」
「ありがとうございます。私は、神凪刹那。セツナとお呼び下さい。」
「刹那は東方の出身か?」
リオンが問う。
「はい。私は侍というより、忍者のほうに近いです。」
リオンは刹那の背丈以上ある剣をみた。
「それは、刀か?」
「はい。これは、名刀"正宗"といいます。私の愛刀です。」
「凄いなあ…」
思わず感嘆の声をあげてしまうカイム。
刹那は謙遜した様子で、
「いえ…聖剣にはかないません。」
ニコっと微笑んだ。その表情を見る限りは可愛い女の子なのだが、すぐに険しい表情に戻ってしまう。
「―へぇ〜そうなんだぁ。」
刹那とルーシェは早くから打ち解けて会話を楽しんでいる。
「刹那ってどうして今までどこかのグループに入ってなかったの?」
不思議そうに首を傾け、ルーシェは刹那に聞いた。
「恥ずかしながら、私は人と上手く喋れなくて…」
顔がほんのり紅潮する。
「?なんで今は普通に喋れるんだ?」
ロイドは剣の手入れをしながら刹那に問い掛けた。
「それは、何故か皆さんの姿を見ていると不思議に喋れたんです。」
「そっか。俺が友好的な雰囲気出してるからかな♪」
「ふん…」
リオンは鼻で笑い、ロイドは、
「笑ったな〜」
「笑って悪いか?」
回りの皆も笑っている。そうして過ごしていると、
―3日後
学園の生徒達は小型の飛空挺に乗りこみ、連合軍が魔物の掃討戦を行っている、場所へと飛んだ。惨劇が起こることも知らずに…