高校生の雪の悩みや苦しみとは…
まずは、この話に興味持っていただきありがとうございます。気ままに、のんびりと書き足していく予定のまだ未完成な一冊ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
無駄に寒くて、無駄に空気が澄んでて、無駄に空の青が綺麗だ。
無駄。無駄。無駄。全部消えてなくなればいいのに。なんて思う私の隣で、嬉しそうに彼女は言う。
「よし、綺麗に撮れた。雪ー、見て見てー。空の写真めっちゃ綺麗に撮れたよ。」
スマホを空にかざしながら歩いていた彼女が満足そうにこちらを見てにんまりと笑った。
「おー、確かに綺麗だね。私も好きだよ、空。」
嘘はついていない。無駄だと思ってる私にだって、この空は綺麗に見える。矛盾している?そんな事は無い。私が無駄だって思っているのは、この子と見る空だ。一人で見たかったなとしみじみ思う。
「雪と見れてよかった。」
私の心を読んだかのように、さらさらな肩までの髪をなびかせながらくしゃっと笑う。はっきり言って、凄く可愛い。心がじわっとなるように口が勝手に動く。
「私も四葉と見れてよかった。」
これもあながち嘘ではない。また矛盾?これに関してはそうかも知れない。私の中には、好きな彼女と嫌いな彼女が存在する。
邪魔だったのか髪を耳にかける彼女。白くて細い腕が目に付く。
「ねぇ、四葉、またやったの…?」
白くて肌触りが良さそうな彼女の腕に赤い蚯蚓腫れのような傷跡が見える。
「実はね…。あはは、なんか色々考えちゃうくせが治んなくて…。」
嫌い。嫌い。大っ嫌い。私はこんな彼女が大嫌い。
「ん。とやかく言う権利はないけど、程々にしないとリストバンドに収まんなくなるよ。」
彼女に2人のお気に入りのバンドのリストバンドを渡す。これが彼女の平和と精神の安定を保ってくれるアイテム。それと同時に私の精神の安定も保ってくれる。
「ありがとう。あはは、やっぱり雪は塩だねー。それが楽でいいんだけどね。」
「それはどうも。」
「あ、雪、ごめん!亜子ちゃん達が、面白い遊びを今日やるって言ってたから早く行かなきゃだった!それじゃ、先行くね!」
「うん。」
颯爽と駆けていく彼女の背中を見ながら、そもそも、私と四葉は一緒に登校する程の仲じゃないと周りに思われてるはずだからいつも時間をずらして行くけどね。なんて思う。
教室に入ると、大きな笑い声が聞こえてくる。
「あっははは。亜子最っ高ー。結衣の彼氏奪っちゃうとか、やり過ぎじゃんー。」
絶対やりすぎって思っていないな。それよりも、騒がしい。動物園へおかえり。と言いたくなるのを堪える。四葉が言ってたゲームの内容が大体だが想像できる。
女子の中の一人が私に気付いてまた笑う。
「あーーー、雪女が来たよーー。凍えちゃーう。あはは」
ご覧の通り、私はいじめられている。原因は単純で、遊びのお誘いを断ったからだ。さらに、元々ルックスも成績もいい四葉をグループに入れたかった亜子達にとって、私は邪魔者だった。もちろんそれを知った上で四葉は亜子達と関わっている。
「どいて。そこ、私の席なんだけど。」
他人の席の前でうじゃうじゃ邪魔くさい。と言いそうになったが、何とか丸く言えた。
「うわ。無視?ないわー。」
「まあまあ、そろそろ授業始まるし、今日はこの辺りにしとこ。ね?」
こういう事を言うのもまた、四葉の嫌いなところだ。