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99話 考察会議は踊る!~質問釣竿ユニーク編~

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!


 今日は昨日布石を打っておいた攻略のヒントに対する質問権について、【釣竿剣士】と【検証班長】に相談するぞ!








 そのために、久しぶりに来ました。

 検証班の拠点【メッテルニヒ】!

 新緑都市アネイブルの樹木製建物の1つを間借りしている【メッテルニヒ】は、全エリア検証班から集めた情報を集約するための場所となっている……らしい。

 理由は【検証班長】のログイン場所が新緑都市アネイブルだからという。


 「また【包丁戦士】さん、検証材料を持ち込んで来たんですね?

 こうも毎回とびきりのネタを、ボクのところに持ってきてくれるのは【検証班長】として大歓迎です」


 新たなネタに興奮しているのか、上気した顔で俺に迫ってくる【検証班長】。

 眼鏡に白衣、そして痩せ型長身という見るからに研究職っぽい外見のこいつは、この次元きってのブレインだからな。

 多少オタク気質があるみたいだが、それでも頼りになるやつだ。


 「そこまで持ち上げられると照れますね……

 それで、どんなネタを持ってきてくれたのでしょう?」


 ぐいぐいと押してくる【検証班長】。

 検証のことになると、普段の冷静なイメージからうってかわってこういう一面が出てくる。

 まあ、ずっと冷静でいられるよりも人間味があっていいと俺は思うがな。

 それに、検証に対する冷静さを失うわけでもないみたいだから、この場としても問題もない。


 「……私も呼んだということは、無限湖沼ルルラシア攻略についてですか」


 【検証班長】と一緒にいたのは、花飾りの少女【釣竿剣士】。

 闘技場イベント決勝の相手だったやつだ。


 ああ、その通り。

 レイドボス攻略についてだ。

 ここに二人を呼んだのは他でもない、【【攻略のヒント】を確認できる権利を付与しました(1回)】というものをイベント報酬で手に入れたからだ。


 俺はこれを無限湖沼ルルラシアのレイドボス攻略に使おうと思っている。

 それで、このヒントはある程度どんな解答を得られるのかこっちで操作できそうなんだが、どんな質問を送るのか相談したくてな。

 このどん底ゲームの運営がわざわざ答えてくれるっていうんだ、俺1人で下手な質問をすると【釣竿剣士】にどやされそうだし。


 「ふふふ、案外協力的になったじゃないですか。

 これは決勝戦で私が奮闘した甲斐があったようですね」


 ……まあ、そういうことにしておこう。

 とりあえず、そのために無限湖沼ルルラシアのトッププレイヤーの【釣竿剣士】とこの次元のブレインと言っても過言ではない【検証班長】を呼んだっていうのは理解できたようだな。


 「ええ、この次元のブレインと呼ばれると大袈裟な気はしますが、君がそういうなら存分に頭脳を発揮しようじゃないか。

 任せてくれるといいでしょう!

 それで、どの程度質問範囲は絞れそうですか?」


 話が早くて助かる。

 【検証班長】の速やかな司会進行は、この次元の攻略スピードを何倍も早めている……と掲示板でも噂になっているからな。



 ……質問は完全にテキスト打ち込み式だから、こっちで1から10まで内容を考えないといけないぞ。

 

 「それなら、手っ取り早くあの棘亀の弱点を聞くのではダメですか?

 そこを突けば攻略がスムーズに行くと思いますが……」


 「たしかに、手っ取り早いのはそれだろうね?

 だけど、その質問だと穴があるっていうのはわかるかな?」


 穴っ?

 いや、俺も分からない。

 俺もその質問がいいかな?と思ってただけに【検証班長】の突っ込みで驚いてしまった。

 

 「例えるなら……プレイヤーがボクしかいない状態で、弱点が【フィレオ】って言われたらどうだろうか?

 ボクは【フィレオ】を使えないのに、それが弱点と言われてしまっても、そのヒントを活かすことができないんですよ。

 ……完全に無意味な質問だったと思いませんか?」


 あー、なるほど。

 使える人がいないスキルとか、攻撃方法とかだったらゴミのような情報になるのか。


 「……危なかったですね。

 私や【包丁戦士】さんだけだったら、かなり大きな損失になっていたかもしれません。

 流石は【検証班長】さん、生産プレイヤーの鑑です!」


 ……検証班は一応生産プレイヤー……なのか?

 (当てはまるような、当てはまらないような気がする)


 いや、だから、この声何?

 決勝戦辺りからずっとこの幻聴が聞こえるけど、いまいち締まらない言動しかしてないし、役に立たないぞ!

 ほら、ラノベとかだとよくあるじゃん、脳内で解説してくれる存在みたいなやつ。

 あれくらい有能になってきて出直してくれ。




 ……思考が逸れたな。

 それで?

 弱点を聞かないなら何を聞くんだ?


 「そうですね……候補はいくつかありますよ。

 分かりやすいのは……レイドボスの名前を聞くというのはどうでしょう?

 エリアの名前が分からなければ、そちらを優先しましたがそれは【包丁戦士】さんが判明させてくれましたからね。

 新緑都市アネイブルの時は、ジェーのギミック解除になるとは知らず、ボクたち【検証班】が偶然やってしまいましたが……

 エリアの名前はレイドボスの何かしらのギミックを解除する効果があるようです。

 新緑都市アネイブルはジェーの極太レーザーのチャージ速度の低下。

 無限湖沼ルルラシアは棘亀の特殊防御の一部を剥がす……みたいに」


 ほほう!

 そりゃ面白い!

 この【包丁次元】では、名前が知られたやつはデハフが付与されるという謎の環境になっている。

 だからこそ、みんなプレイヤーネームじゃなくて2つ名で名乗っている。


 それを逆手に取って、レイドボスの直接弱体化を狙うのはありか!

 いいね。


 「あー、それはもう少し待ってもらえませんか?

 私も一応、レイドボスの名前は探しているんですよ。

 実はそれに関するユニーククエストを進行している最中です」


 ふぁ!?

 この【釣竿剣士】また情報を隠し持ってたな?



 ん?ユニーククエスト……俺も隠し持ったわ!

 二人とも聞いてくれ、あの棘亀を無限湖沼ルルラシアにある大穴に近づけると、レイドバトルで特級の支援を受けられるっていうユニーククエスト俺受けてたわ!


 「……お二人とも……」


 「「はい」」


 「なんでそんな重要な情報を隠し持っているのだろうか!!

 ボクがその情報を知っていたら増える選択肢も消せる選択肢もいっぱいあるんですよ!!

 それにユニーククエストは、取り返しのつかないクエストです。

 何人か、失敗したことのあるプレイヤーを検証班でも把握していますが、事前に報告してくれたら解決できたものも多くあったんですよ。

 それをみんなみんな、失敗してから報告するものだから……」


 お、おう。

 【検証班長】も知らないところで苦労してるんだな……

 取り返しのつかない情報を後から教えられても、困るだけなのは……たしかにそうだな。

 これに関しては俺が悪かったな。


 「すみませんでした……

 とりあえず私のユニーククエストについて説明します。

 どうやらソロ限定で発生するクエストで、沼地をある程度の深さまで潜ったら発生しました。

 【北の秘められた名称石板を探せ】というユニーククエストです。

 このクエストを受けると、沼地の何処かに石板が出現するみたいで、それに名前が書かれているようです。

 九割方、探せるエリアは探したので、もうそろそろ見つかると思いますよ」


 おー、【釣竿剣士】はそんなことをしてたのか。

 レイドボスの名前を知れるなら、プレイ時間を大幅に割くのをも悪くない。

 だから【釣竿剣士】はスキルとかが増えてなかったんだろう。

 

 ……エリア全体を探すだけで、膨大な時間がかかるから仕方ない。







 

 ようやく滞っていた攻略が進みそうですね。

 ……それにしても底辺種族【検証班長】、侮れないです。


  【Bottom Down-Online Now loading……】

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