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979話 深淵の運命

 【Raid Battle!】



 【深淵域の管理者】



 【エルル】


 【???】【上位権限】【ボーダー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【深淵へ誘い】


 【冒険者を堕とす】


 【深き真価を見極め】


 【境界に流転する】


 【封印された夢想が解き放たれし時】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日はアビスの方にログインしてみたぞ!

 他の次元のこととはいえ、深淵の天敵になり得る【ランゼルート】を倒したんだからぜひとも労ってもらいたいものだ。


 


 「カッカッカッ!

 またもや次元戦争で勝利したようだのぅ!

 二度も勝てたのならばそれは偶然ではなく実力。

 流石は我が見込んだ同胞、我の目に狂いは無かったというわけだ」


 ルル様は緑色の触手を蠢かせながらカラカラと笑い声を上げて喜んでくれた。

 見た目で表情が分かりにくい分、喋り方や動きで感情を表してくれるので下手すると人型の【菜刀天子】よりもその時の気持ちがダイレクトに伝わってくるぞ!

 ……もっとも、ルル様はその分自分に不都合な情報をあえて隠しつつ本当のことしか言わないので深く関われば関わるほど難解な存在だというのも理解しているつもりだ。

 それが深淵種族が陰湿と言われる理由の一つだろうからな……



 「順当に聖なる力を操る相手を倒しておるのは我としても好ましい傾向だのぅ……

 深き闇は眩い光であっても呑み込めねば話にならない故にな!

 光にかき消されてしまうような矮小な闇ではこの先に進むことは出来ぬのだ!」


 この先……それは俺が進もうとして即死してしまった深淵奈落の先にある【隔絶次元 ?????】のことだろうか?

 あそこにもいつか再挑戦したいところだが今の俺にはあの即死に抗えるような手段はない。

 挑むにしても俺が新たな力を手に入れてからになるだろうな!

 


 「カッカッカッ!

 その意気だ!

 例え偉業を成し遂げたといえどもお前はまだ道半ば……

 ここで満足して停滞するのではなく、さらなる深みへ邁進することこそが我らの宿命であるからな!

 それを自覚しているのであれば我もとやかく言うまい」


 どうやらルル様は俺がどう動くのか見極めようとしていたらしい。

 深淵奈落を進み続けているのが現状俺くらいなので仕方ないことではあるが、俺に期待を寄せすぎだと思う……

 俺と同じように深淵に染まりきったプレイヤーが他にいればどうなったのか知りたいところだが、そんなのは仮定の話でしかない。

 ボマードちゃんや【トランポリン守兵】お嬢様、【骨笛ネクロマンサー】、【検証班長】はそれぞれ深淵細胞を扱うプレイヤーだがその力に振り回されていたり、力の一部しか引き出せていなかったりしているからなぁ……


 俺のように多数の深淵細胞を操るプレイヤーがいて、俺の横に並び立つような存在がいたらルル様は今より喜んでいただろうか?

 あるいは両者を競い合わせるために裏で暗躍していたかもしれないな……


 そう考えると俺の負担は結局プラスマイナスゼロだろう。

 ……考えていてもなんとも言えない結果しか導き出せないのは手詰まり感が半端ないぞ!?


 

 「そもそも、深淵細胞の力をプレイヤーが扱うこと自体がイレギュラー的ではあるがな。

 我ら深淵種族はいわゆる『敵キャラクター』をコンセプトとして産み出された存在である故に、討伐時に手に入るスキルは除外するとして……プレイヤーがその力を身に宿して扱うなど王道とはされておらんのだ。

 【勇者】が【魔王】の力を使うことなど大衆は求めておらんだろうからのぅ……」


 そうか? ちょっと昔のラノベではそういうのも流行ったらしいけど……

 まぁ、それでも王道ではないのは間違いないか。

 そういう展開はあくまでも飛び道具的扱いだからこそ伸びたジャンルというのはよく言われていた話だ。

 つまり前提として【勇者】が正義の光を扱い、【魔王】が邪悪な闇を操る……という認識が大衆の共通認識だからこそだな!


 これは古代からその傾向にあり、今の俺たちがどう足掻こうと変えられないものでもある。

 そして当然のことだがゲームとしてはプレイヤーが主役であるので人のエゴの塊である【大罪】の力ならもとかく、純粋な闇の概念に近い【深淵】の力を主流として活躍するプレイヤーというのは想定していなかったに違いない。

 だからこそ深淵種族に種族転生するためのハードルは通常プレイでは満たせないような鬼畜条件ばかり詰め込まれていたのだろう。


 それを偶然満たしてしまった俺は運が良かったのか悪かったのか……


 

 「我としてはお前のような存在を同族に迎え入れられたのは僥倖だと思っておるぞ。

 故に運が良かったのであろう!

 カッカッカッ!」


 ルル様の笑い声を聞いていると不思議とそんな気分になってきた。

 あぁ、俺の道のりは間違っていなかったのだろうな……




 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

811話の後書きに【リフレクトミラーディフェンダー】……通称リデちゃんのイラストを描いていただいたのでつけさせていただきました!

素敵なイラストなのでぜひ見てみてください!

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