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978話 歴史的ツンツンツンデレ

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 ……と、ログインしたところでまたもや俺に用事があるやつがいるらしい。

 ログインした俺の前に立っていたのは腕を組ながら尊大な態度を取っている幼女……【菜刀天子】だ。

 俺たちに負けてロリ化したので視覚的な威圧感はかなり軽減されたな!



 「それは私も気にしているので触れないでください。

 いくら私の精神が気高いままであったとしても、見た目がこのように幼くなってしまっていては威厳を保つのが困難ですからね。

 プレイヤーは特に視覚情報に頼りきっているので、なおのこと私への畏れを以前より感じなくなってしまいました。

 私の落ち度とはいえ屈辱なことこの上ないです!」


 【菜刀天子】はプレイヤーを導く立場であったのでそのプレイヤーたちからの畏敬の念を集められなくなったのが自分自身で認められないのだろう。

 


 「……それも劣化天子、あなたが力をつけ多くのプレイヤーを味方につけた上で私に勝利した結果なので誇らしさもありますよ。

 私が思ったようには導くことは出来ませんでしたが良くも悪くも包丁次元らしい見事な成長を感じます。

 私があなたをはじめて観測してからかなり時間が経ちましたがきっちり次元戦争で勝利を収め続けてきたことがその証拠です。

 先の聖剣次元との戦いも次元天子の立場を定められていたAI内での事前予測では、私以外は聖剣次元の勝利を支持していましたことからAIの予測を大幅に上回っていたのでゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】の計画は見事成就したと言っても過言ではないでしょう!」


 9対1で【ランゼルート】の勝利だと予想されていたのか……

 まぁ、普通に考えたらそうなるよな……俺だって客観的に見たらそうするし!

 むしろ、自分の次元だから贔屓目に見ているとはいえ【菜刀天子】が俺の勝利を信じてくれていたことが意外だな。

 カタログスペックだけで見たら俺の勝ち目なんて見出だす方が難しいというのに。

 


 「べっ、別に劣化天子が強いと思っていたわけではないですからね!

 ただ、劣化天子は強さというよりここぞという勝負で引き寄せる悪運が優れていますからね……

 これは数値では測れない、直に見てきた私だからこそ予想できた結果というわけです」


 ツンデレかよ……っ!

 貴重な【菜刀天子】のデレ要素を垣間見た俺は不覚にもテンションが上がってしまった!

 今日みたいに露骨に俺を誉めてくる【菜刀天子】はかなり珍しいぞ!

 メタ的に言うのならば、やはりそれ相応の結果を出せばきちんと好感度が上がるシステムなんだろう。


 ……と考えていてもやはり俺のことを信頼してくれていたのは嬉しいな!

 【菜刀天子】とも長い付き合いだし、腐れ縁に近いものを感じていたが改めて自分のことを言われると照れ臭さと嬉しさが相まって胸の内が熱くなってきた。

 出会ったばかりの頃はふとした瞬間に俺をキルしてきたプレイヤーキラーの俺の生き写しのような行動を取ってきていたが、こうやって会話が平穏に続くようになったのはAIとしての成長だろうか?


 

 「お互いに成長したということですよ。

 私も劣化天子から学ぶこともありましたし、私から見て劣化天子も芯は変わっていないにしても外層レベルでは他のプレイヤーたちとの関わり方が変わってきていますからね。

 ゲームという特殊環境下でより実践的な行動方法を身につけたということでしょう。

 対立することがあってもその敵対感情をお互いに成長の糧としてきた例を劣化天子は何度も見てきたはずです」


 ……たしかに、俺がこれまで戦ってきた多くのプレイヤーたちはそのようにして強くなり、何度も俺の前に立ち塞がってきていた。

 漫画とかで友情や絆の力が更なる強さを生み出す……という展開をよく見るが、俺の場合は敵対心、復讐心で相手を焚き付けてきたというわけだ!



 なにせ俺はプレイヤーキラーだからな!

 包丁次元全体が俺を仮想敵として一致団結して挑んでくるので、結果として他でギスギスすることも減り全体的な地盤が固まっていったのかもしれない。



 「それが良いことなのか悪いことなのかは今の私には判断できませんけどね。

 特に劣化天子にはほとんどメリットのない傾向ですから……

 私の言えたことではありませんが、あなたも不器用なヒトですね」


 ハッ、いったいなんのことやら?

 俺は俺のやりたいようにやっているだけだ。

 憐憫の情を抱かれる謂れはないぞ!







 あなたのこと、何となく分かってきましたよ……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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