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977話 爆弾魔の記憶

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日はボマードちゃんと草原エリアをあてもなく彷徨っている。

 何かを目的にしているわけじゃなくて、ただボマードちゃんと雑談をしながら歩いているだけってことだ!



 「こうやって草原エリアを歩いているとボトムダウンオンラインがサービス開始したばかりのことを思い出しますよね!

 いや~、あの時はデバフのせいで他の人に歩くスピードも追いつけなかったですけどね!」

 

 確かに、あの頃まともにプレイヤーが活動できていた場所はこの草原エリアだけだったからな。

 他の四方エリアはレイドボスたちが占有している状態でプレイヤーの居場所なんて無かったから難民キャンプのようにこの草原のそこらかしこにテントや簡単な建物が乱立していたぞ……

 【槌鍛冶士】の元鍛冶場がまだ残り続けているのはその名残でもある。


 

 「あのチュートリアルからここまで長い道のりでしたけど、あの時はまさか【包丁戦士】さんとここまで仲良くなるなんて思ってませんでした!

 いや~、【検証班長】さんと引き合わせてくれた時から急に他のプレイヤーの方とも親交が深まりはじめて楽しくなってきましたからね!

 一時期はこのゲームを辞めようかと思ったこともありましたけど続けて良かったと心から思えますよ!

 それもこれも【包丁戦士】さんのおかげですよ~!」


 ボマードちゃんは満面の笑みを俺に向けてきた。

 その屈託のない素直な感謝の言葉には流石の俺も恥ずかしくなってきたぞ!

 この素直さがボマードちゃんの良さだよな……

 俺もまさかチュートリアルの最中に泣いていたコイツとここまで関わることになるなんて思っていなかったから、今目の前に広がっている草原エリアの風景を併せて感慨深いものがあるぞ!


 

 「あの頃の私は自虐的にどれだけ自分にデバフを重ね続けられるのか試していましたからね……

 いや~、【包丁戦士】さんにあのタイミングで再会しなかったら身体が動かなくなってそのままゲーム引退していたかもしれないと考えるとやっぱり運命の赤い糸で私たちは結ばれているんですよ!

 そろそろ結婚も視野に入れてもいいかもしれませんね~!」


 誰が誰と結婚するんだよ……

 過去に想いを馳せていても相変わらずの頭お花畑娘で逆にちょっと安心したな。

 引退とか辞めていたかもしれないというワードが珍しくボマードちゃんの口から出てきていたので少しセンチメンタルな気分になっていたのだが、それが一気に吹き飛ばされてしまったぞ!

 これが爆弾魔の本領発揮というわけか……

 


 「そこまで言われちゃうと照れますね!

 いや~、私がいくら可愛いからって誉めても私しか付いてこないですよ!

 誉めなくても【包丁戦士】さんには付いていきますけどね~!

 【包丁戦士】さんとなら例え地獄でも一緒です!」


 そこまで付いてこられても困るんだが……

 というよりそもそも俺は地獄に行くつもりなんて更々ないからな!

 なんで人を勝手に地獄送りしようとしてるんだ……



 「だって【包丁戦士】さんが天国にいるイメージが湧かないですし……

 いや~、地獄の方が【包丁戦士】さんにはピッタリですよ!

 何なら地獄で仕切ってそうですし!」


 お前は俺にどんなイメージを持っているんだ……

 どいつもこいつも俺に対する変なイメージを持ちすぎだろ!

 等身大の俺を見れば可憐な乙女であることは一目瞭然だというのに!



 「【包丁戦士】さんが可愛いのは分かりますよ~!

 ワイルドな性格に可愛い顔っていうギャップが【包丁戦士】さんの魅力ですからね!

 【風船飛行士】さんもチュートリアル中にナンパしてきていたくらいですし、【検証班長】さんも私同様にメロメロですから間違いないですね~!」


 大声では言えないことだが、俺もアイドルイベントで入賞してるからな……

 やろうと思えば多くのプレイヤーを魅了した例があるので俺自身も疑っていない。

 今でこそ多くのプレイヤーに悪名を知られてしまっているので滅多にないことだが、初期の頃はよく声をかけられたものだ。

 これもまた懐かしい記憶だな……




 【Bottom Down-Online Now loading……】

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