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974/2211

974話 幽刻に誘われて

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 聖剣次元のMVPプレイヤー【ランゼルート】と死闘を繰り広げた俺だったがなんとか勝利することに成功したのだ!

 ……まぁ、今回のルールがMVPプレイヤーの撃破じゃなくて相手陣営の全滅が勝利条件だったら俺たちの負けだったから、ルールに全面的に助けられてしまったわけだ。

 その辺は俺たちが勝ちやすいように【山伏権現】がかなりテコ入れをしてくれたからなんだが、それでもギリギリ……これ以上ないほど紙一重の勝利だった。

 俺が【聖突破魔剣】に特攻する前に俺以外のトッププレイヤーたちが立ち塞がってくれなかったら確実に負けていたので、本当に薄氷の上の勝利なのである。



 ……そして、戦って分かったことがある。

 スキル発動!【渡月伝心】!


 俺はスキルを発動しとある人物にメッセージを飛ばしていく。

 すると三十秒後、俺の目の前には山伏のような姿とサラリーマンのような姿をまぜこぜにしたカオスな見た目のやつだ。

 基本は山伏衣装なんだが、ネクタイをしていたり、キッチリメガネをキメて、髪は七三分の状態でワックスで固めているようだ。


 この時代錯誤な服装をしているやつは見覚えがある。

 ゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】だ。



 【どうも、ゲーム運営プロデューサーの山伏権現です。

 まずは、ここまでこのゲームを楽しんでいただけたようで、プロデューサーとして感謝を!

 これからもこのゲームをよろしくお願いします!】


 カンペでも読んでるんじゃないかという疑いすらある毎度恒例の挨拶だ。

 一応お偉いさんなので挨拶くらいはきちんと聞いてやるつもりだ。


 

 【それで、聖剣次元との次元戦争を終えて呼び出してきたってことは【幽刻修験堂への招待状】を受け入れるということでいいのかな?】


 ……やはりお見通しだったか。

 というより聖剣次元と一対一で戦わせたのは俺をそう誘導するためだったんじゃないか?

 


 【うーん、そういう面もあるけどやっぱりそれ以上に【ランゼルート】君に勝たせてはダメだったからね。

 あの子に勝てるプレイヤーの基準は相性でも実力でもなく、『面白い』プレイヤーだろうと思っていたからこそ君に託したのさ!

 そして君は二度も勝利を成し遂げた。

 一度目は【上位権限】レイドボスたちの力を借りて、二度目はプレイヤーの力で……ね。

 やはり、招待状を渡したのは間違いじゃなかったようだ】


 そう言ってもらえると頑張った甲斐があるってものだな!

 


 【【株式会社幽刻修験堂】への入社資料は君の家に送っておいたから時間のある時に目を通して必要な書類は返送して欲しい。

 ……でも、急いでるわけじゃないから本当に余裕があるときでいいよ。

 君は今、リアルでは凄いところにいるみたいだし書類を確認できるのは……一ヶ月後くらいかな?】


 平然と俺の状況や居場所を加味してくれているのは助かるが、この【山伏権現】はデタラメなことを言っているのではなく本当に俺は一ヶ月後くらいにしか家に帰れない場所にいる。

 何故分かったんだ……?


 

 【位置情報もこのゲームから抜き取れるからね。

 君たちはこのゲームをプレイ開始する時にその情報たちを【株式会社幽刻修験堂】に全て共有し、会社側からそれらを利用できるという取り決めに合意した上で始めているからね。

 今さら非難しても聞く耳は持たないよ?】

 

 何を今さら……

 位置情報まで見られているのは驚いたが、このプレイヤーに人権のないゲームで遊んでいるやつがここで非難することはないだろう。

 愚痴ることはあるかもしれないけど。


 

 【それで決め手はいったい何だったのかな?

 いくつかそれかな……っていう候補は思い当たるけど、君が【ランゼルート】君との戦いで実際に何に惹かれたのか興味があってね】


 まずは【ランゼルート】の在り方だな。

 あれほど自己矛盾を孕みながらも強い意思をもって行動している存在を生み出した【株式会社幽刻修験堂】そのものに興味が出てきた。

  

 そしてもう一つは黄金宮殿だ。

 全面的に金ぴかなのは悪趣味だと思ったが、構造は悪くなかった。

 まるで実際に存在する何かを参考したように思えるが、あんなものの土台になる宮殿なんて俺の知識にはない。

 ……つまり、【株式会社幽刻修験堂】並びに【山伏権現】は一度本物の黄金宮殿を見たことがあるってことになる。

 そんなミチなる建造物を見る機会が得られそうなのは俺としてはこれ以上ないほど得難い経験となるからな!



 【なるほどね。

 それなら良かったよ!

 君と直接会える機会を楽しみに待っているから、入社処理を終えたら今後のことも話したいしこっちから会いにいくつもりだ。

 君も楽しみにしておいて欲しいよ!】


 そういうことになった。






 なんという契約をしてしまったのでしょう……

 全くこれだから劣化天子は……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] あれれ〜、おかしいぞ〜。 なんで次元天子は契約のヤバさを知っている?
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