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97話 レベル1だけど最弱です!

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】


 はい、今日も元気にログイン!

 昨日でようやく長かった闘技場イベント【煌めく血濡れの闘技場】が終了した。

 ……昨日のアナウンスでこのイベント名を初めて知ったが、やけに物騒な名前だよな……?

 闘技場のイベントって考えると別に間違っていない言葉のチョイスだが、それでも引っ掛かるものはある。



 いやー、毎日戦闘ずくめで流石に俺も疲れたかな。

 しばらくはのんびりとスローライフを過ごそう。

 今回戦闘イベントだったから、次回は生産イベントでしょ(確信)。

 それなら、激しく身体を動かす必要もないし安心できそうだ。


 

 ログイン場所に現れたのは恒例の【菜刀天子】だ。

 こいつ、イベントの時以外は基本的に新緑都市アネイブルにある王宮で待機しているから、ログインするたびに毎回会うことになってしまう。

 そんな【菜刀天子】は、俺がログインしてきたのを見計らって声をかけてきた。


 「闘技場イベントお疲れさまでした。

 代表戦で2枠を使って出場してくるとは呆れましたし、その1枠を1回戦で負けさせてしまうなんて情けないとは思いましたが」


 ぐぬぬ、突っ込みたいが……

 これらに関しては俺も思うところがあるし、おとなしく憤る気持ちは胸の奥底に抑えておこう……

 まさか【ペグ忍者】に負けてしまうとはな……

 あいつ、種族転生とかいうスペックの底上げしてたし、それで俺のあいつに対しての相性も良くなかったからなぁ……

 それでも【釣竿剣士】が勝てていただけに、俺が負けてしまったのは不甲斐ない。


 あっ、種族転生についてせっかくだし聞いてみるか。

 あれってシステム的にはどうなってんの?


 「遠慮なく聞いてきますね……

 もう少し、次元天子である私に対して敬意を払ってください。

 まあ、底辺種族【包丁戦士】にそれを求めるのも酷ですか……

 はぁ……いいでしょう。

 種族転生について説明しましょう」


 さっすが【菜刀天子】!

 いよっ、天子っ!

 最高だぜ!


 「……種族転生というのは、底辺種族からの脱却ですね。」


 脱却?

 どういうことだろう。


 【菜刀天子】はそんな俺の疑問に答えるかのように話を続ける。


 「底辺種族はレベル上限が1で固定されていますからね……

 どれだけ頑張ろうとしても、身体能力や機能拡張はされません。

 精々、abilityやレイドボス関係から手に入るスキルが次第に増えていくだけです」


 えっ?

 これまじ?

 前に【菜刀天子】がレベル云々について話していたから、このゲームにその概念自体は存在しているのは分かっていた。

 だが、俺たちプレイヤーの初期種族である……いわゆる底辺種族はレベル上限が1だから種族転生しない限り、身体スペックや特殊能力など向上していかないということみたいだ。

 他のゲームだと、種族によって特典があったりするからそれの恩恵を受けられていない底辺種族はどう考えてもデメリットの塊でしかない。


 流石はプレイヤーに人権のないゲームだぁ……

 レベル1だけど最強です!……みたいなことをやりたいプレイヤーじゃなければ種族転生は必須じゃないのかこれ!?


 「その通りです。

 この種族転生を終えたプレイヤーが増えない限り進まないグランドクエストもあるので、さっさと底辺種族【包丁戦士】も試練を乗り越えてください」


 そう……種族転生をするためには無条件とはいかない。

 誰かが出す……それこそ【上位権限】持ちや【ギルドマスター】のような特別に付与された役職持ちの種族から受託した試練を乗り越えて初めて種族転生できる……と思っている。

 この辺なら【ペグ忍者】が既に種族転生しているから、直接聞いた方が早いんだろうが、あいつは闘技場イベント中に「検証班から高値で買って欲しいのら~」とか公言してたし、高値を吹っ掛けられるので憶測だけにしておこう。


 そういえば、【菜刀天子】からも種族転生の試練を受けることってできるのか?

 

 「……できるのか、できないのかと言われるとできますね。

 ですがそれは次元に1つしか存在できない【次元天子】の所有権をかけて私を正々堂々打ち破るというものです。

 ……他の次元ではこの試練を乗り越えて、プレイヤーが【次元天子】として君臨しているところもあるようですが、運営からもらった情報によると、あの次元は特殊な状況みたいですからね。

 少なくともこの次元で、私の試練をクリアできるのは……今は無理でしょう。

 私の試練はもうひとつありますが……アナウンスを見てもらうと分かると思いますが、その種族はロックされている状態なので、はやくグランドクエスト進めてください。

 東西南北のレイドボスを倒せば、解放されますから。

 どちらにしても、試練突破出来たとしても、かなり先になるのは間違いないですね、それほど私と底辺種族たちとは格差がありますから」


 なるほどな、つまり一度他の種族に転生してから、レベルを上げて挑むような試練ってことか。

 ……言ってしまえば【次元天子】は種族としても上位種族なんだろうな。

 他のゲームでも、レベルを上げて種族進化させていくものとか、派生させていくものとかあったりしたが、このゲームは種族を上書きしていくものなんだろう。


 というか、さらっとこいつの【???】という種族、ジョブ欄について触れてきたな。

 あれちょっと気になってたんだけど、グランドクエストの進行で解除される系統のものだったのか。

 ……達成条件的になんとなくオチが読めているが、どっちになるのかは気になるところだ。

 元ネタ的にどっちもあり得るからなぁ……



 その後も話は続いていき、なんと八時間が過ぎていた。


 だらだら話していたらいつの間にか1日が過ぎていたようだ。

 種族転生についての話が終わったあとは、【菜刀天子】による罵倒を交えた日常会話をひたすら聞いているだけだったが、こういうのんびりとした1日も悪くないな。


 ……管理AIとの好感度稼ぎをしておいたような形だが、この【菜刀天子】、初期に比べるとだいぶん俺に寄り添って話をしてくれるようになったから、地道な好感度稼ぎも無駄じゃない……はず!











 打算的ですが、まあ、そういうのもありでしょう。

 こういうのも悪くないですね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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