968話 【8ターン目】正義と暴食の渇望(挿し絵あり)
さっきのターンで【ランゼルート】の動きはあらかた見させてもらったし、そろそろ今回の俺の切り札を披露しようじゃないか!
スキル発動!【深淵纏縛PP】!
スキルを発動させると俺の背中から突き出るようにして骨翼が生え、そこから漆黒の双翼へと変化していった。
さらに俺の服も黒いもやに覆われて、新たな服へと変化させていく。
そして、黒いもやが晴れた時、俺が着ていた服は緑色がメインで、黒色のフリルのついたゴスロリへと変化していた。
これがルル様のゴスロリフォームバージョン2だ!
安定して使える変身形態の中では最も俺が信頼し、そして警戒している姿でもある。
【ランゼルート】よ、この尊大なる姿でお前を相手取ってやろう!
「前に戦った時よりも随分と力を蓄えたようだね。
だけど、僕には変身せずともこれがあるのさ!
すべての道は【正義】に通ずる!
さあ、僕にその道を歩む力をっ!」
【ワールドアナウンス】
【聖剣が義憤に駆られる】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の目覚め】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の渇望】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の鉄槌】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の寄る辺】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の先導者】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の体現者】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』正義の剣先】が強制セットされました】
【【ランゼルート】の称号【『sin』絶対正義】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号に【『sin』暴食の目覚め】の存在を確認】
【罪は負の連鎖で繋がったり、断ち切られたりする……】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の目覚め】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の渇望】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の飢忌】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食狂姫】が強制セットされました】
【暴食は食べ散らかしたり、味わったりする……】
【大罪域の風が吹き荒れる】
【【ランゼルート】に正義の力が貸与されました】
【【包丁戦士】に暴食の力が貸与されました】
毎度恒例、やけに長いアナウンスが流れるのを聞きながら聖剣で襲いかかってきた【ランゼルート】。
俺はそれをスカートの中から伸ばした枝の触手たちで絡めとろうとしていくのだが、まさに一刀両断!
まるでバターでも切るかのように俺の触手たちがどんどん切り捨てられていっているので、時間稼ぎくらいにしかなっていない。
「それはそうだろうね。
なにせ僕の【正義】の力は深淵のような負の側面にある力に特効を持つのさ!
つまり、深淵の力を纏った君は今全身弱点となっているわけだ」
全身弱点乙女……なんかR18モノのタイトルにありそうな存在と化した俺だが、スペックによる差を埋めた分相性で不利になってしまった。
【ランゼルート】の間合いに入らず、触手を伸ばして距離を保っているから俺のダメージにはならないがその分こちらを有効打を相手に与えることが出来ない。
お互いに大きな力を解放したわりにはチマチマした戦い方をしているのがなんともいじらしい。
まぁ、玄人らしい戦いといえばそうなんだがこうやって時間をかけていると再びターンが終了してしまう可能性がある。
そうなるとこれ以上攻撃力が上がった【ランゼルート】を止められなくなるので多少危険を冒してでももっと攻めにいかないといけない。
……というわけでスキル発動!【堕枝深淵】!
俺は詠唱破棄した簡易版のスキル【堕枝深淵】で【ランゼルート】を絡めとろうとしていく。
黒い茨が【ランゼルート】の足元へと伸びていき動きを妨害していく。
流石の【ランゼルート】も移動の要である足をしつこく狙われているので俺の方へと踏み込むことが出来ず、聖剣で都度凪払っているが問答無用!
この勢いのまま身体の一部を封じさせてもらうぞ!
「くっ、陰湿と言っていいほどしつこい……
そうまでして僕の足が欲しいのかなっ!?」
ああ欲しい!
……まぁ、足じゃなくてもいいんだが。
神絵師の腕を食べたいという言葉もあるように、お前の身体の一部を喰えたらその力の一端を得られる気がするしな!
「流石は【暴食】の大罪を烙印されているだけあるね。
まさか相手の身体を喰らおうとするなんて……
見た目に反してなんておぞましい発想をするんだ!?」
そんなに驚かなくても良くないか?
強くなろうとする感情は誰しもあるはずだからな!
その感想には非常に共感できます。
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