967話 【8ターン目】大結集!大乱闘!
さて、雑談を交えながらも部屋に罠を仕掛けつつ聖剣次元の【ランゼルート】たちを待っている俺たちだったが……
……来たか!
「どうやら待たせてしまったようだね?
その分存分におもてなしさせてもらうよ!」
「ここが最終決戦の地ですか……
嫌な思い出が甦りますね……」
「ド派手に戦えそうないい場所じゃねぇか!
燃えるなぁ!」
俺たちの予想通り聖剣次元の三人……【ランゼルート】、【アイシア】、【ラクヨウ】が一緒にこの王の間へと足を踏み入れてきた。
三者三様な反応だったがヤル気満々なのは皆同じのようだ。
それなら遠慮は要らないな?
【釣竿剣士】、仕込みを起動してくれ!
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!
釣竿一刀流【怪力】!」
聖剣次元のプレイヤーたちが部屋に足を踏み入れたことを確認し、【釣竿剣士】が地面に強い衝撃を与えていく。
ただ地面を強く叩いただけなのでこれだけでは到底ダメージを与えるには到らないが……
「なにっ!?
ド派手に爆発してきたぞ!?」
そう、入口周辺に『拡散スイカの種』を仕込んで置いたのだ!
強い衝撃によって爆発を起こす『拡散スイカの種』は包丁次元で爆弾として扱われている。
普段は【槌鍛冶士】お手製のカプセルのようなものに保存しているのだが、今回は時間もあったので任意のタイミングで爆発させられるように罠として利用させてもらった。
「いきなり罠とは卑怯な手を使ってきましたね!?
やはり包丁次元は悪辣な常識が蔓延しているみたいです」
「生産プレイヤーとして誇らしい戦いかたです!
戦場なら当然の行いですよ!」
そうして口論になった【アイシア】と【釣竿剣士】はお互いの主義主張をぶつけ合いながら戦闘を開始し始めたようだ。
この戦いの勝敗は何とも読めない。
お互いに万全の状態だったら流石に【アイシア】が圧勝するだろうが、今回の戦いはスキルなどが縛られた状態だ。
【封印】の力を持つ【アイシア】であれば無理矢理その制約を解除できるかもしれないが、その後ペナルティを受けることは容易に想像できる。
【槌鍛冶士】の身体もそれで一回消滅してたからな!
だからこそ、その縛りを受けた状態で【アイシア】がどれだけの力を捻出してくるかが【釣竿剣士】の勝機に繋がるはずだ。
「それならオレは安牌でこいつを相手にするンゴwww
他二人に比べたら一番戦いやすそうだからなwww
オレとの相性的な意味でなwww」
「おっ、お前が相手か?
いいぜド派手なバトルを始めようじゃん!」
【風船飛行士】と【ラクヨウ】の戦いも始まったようだ。
【ラクヨウ】の戦いかたは投擲武器や遠距離攻撃スキルを多用するものなので【風船飛行士】とはすこぶる相性が良い。
何せアビリティでそれらの攻撃の操作を奪い取ることができるからな!
後は【ラクヨウ】の近距離戦闘適性がどれだけ高いかが気になるところだ。
「ワタクシは皆様の後ろから適宜サポートさせていただきますわ!
致命傷になりそうな攻撃を確実に防いでみせましてよ!」
【トランポリン守兵】お嬢様は特定の誰かと戦うのではなく、全体的に守りを固める方向にしたようだ。
神出鬼没な盾となるトランポリンを生み出せるので、タンクプレイヤーなのにも関わらず後衛も兼ねることが出来るのが【トランポリン守兵】お嬢様だからな。
その強みを活かして俺たち三人をサポートしてくれよ!
「承知いたしましたわ!
ワタクシが立っている限り、豪華客船に乗ったつもりで構えてくださって結構ですわよ!」
大船ではなく豪華客船に乗ったつもり……とはこんな戦場でもお嬢様ロールプレイが冴えてるな!
それでこそ【トランポリン守兵】お嬢様だ。
そして、俺以外の役割も決まり戦闘も始まっているわけだが律儀に俺が構えるのを待っている騎士がいた。
そう、【ランゼルート】である。
「僕たち以外はもう既に戦いを始めているようだよ?
そろそろ僕たちも再戦といこうじゃないかっ!」
【ランゼルート】はこれ以上待ちきれなかったようで聖剣で俺に斬りかかってきた。
文字通り一騎当千の力を持つ【ランゼルート】による斬撃は俺の胸元を切り裂こうとしていたが、身体を仰け反らせることで間一髪回避していく。
……俺が巨乳だったら間違いなく攻撃が当たっていたな。
こういう時だけは断崖絶壁のような俺の胸に感謝できる……が、それはそれで複雑な気分だぞ!?
そんな複雑な気分になっている俺だったがそれを【ランゼルート】が待ってくれるわけもなく次なる攻撃が迫ってくる。
最適化された真上からの振り下ろすような斬撃は西洋剣の形である聖剣とは相性がいい。
まるで叩き潰すかのような剛直な一撃は横に逸れた俺の頬を僅かに掠め、切り傷が一つ増えることとなった。
俺を傷物にしやがって……!
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