965話 【8ターン目】必殺調整人
【8ターン目】
【行動を選択してください】
【使用可能コマンド「攻撃」「自陣強化」「ターン終了」】
【限定解除コマンド「ユニーク」】
【ユニット【包丁戦士】運動能力強化②】
【ユニット【釣竿剣士】運動能力強化②】
【ユニット【風船飛行士】】
【ユニット【トランポリン守兵】】
【攻撃③】
【スキル【深淵纏縛】【竜鱗図冊】【魚尾砲撃】【近所合壁】】
そうしてしばらく戦っていると視界が暗転し、俺たちは再び黄金宮殿の外に押し出されていた。
どうやら「攻撃」の時間がいつの間にか終わってしまっていたようだ。
「今回はそれなりに戦えましたね。
やはり【ランゼルート】さんが規格外だっただけで、他のプレイヤー相手なら拮抗できるようです」
「とは言っても強かったことには変わりないがなwww
こっちが一人多かったからなんとか戦えてただけだぞwww
【釣竿剣士】なら一人で何とかなったかもしれないが、もう一人を相手にするには少なくともオレと【トランポリン守兵】が一緒じゃないとキツインゴwww」
ん?
お前たちは三人一緒に戦っていたのか?
「【アイシア】さんと戦っている最中に、【風船飛行士】さんと【トランポリン守兵】さんの戦場に突入して乱戦になりましたね。
こっちも向こうもお互いに味方の手の内を知っている組み合わせだったようで、邪魔し合うわけでもなく無難に戦っていました」
「【釣竿剣士】が敵を連れてきた時はヒヤッとしたンゴねぇwww
連れてきたのが【ランゼルート】だったらどうしようかと思ったぞwww」
「そうなれば顔面蒼白ものですわね……
ワタクシもあの殿方とは極力邂逅を控えさせていただきたく思いますわ!」
包丁次元全員から嫌がられる【ランゼルート】だが同情の念はない。
それだけあいつが普通のプレイヤーから見て化け物じみた存在だというのは一度戦えば分かることだからな!
自業自得だ!
……まあ、お前たち三人が他のプレイヤーと戦っていたんだから分かっただろうが、今回は俺が【ランゼルート】と一騎討ちしていた。
「それで生きてるのが【包丁戦士】クオリティだよなwww
一人であいつとヤリあえるのは人間止めてるぞwww」
そうか?
【釣竿剣士】ならやってくれそうだけどな。
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!
……まあ、出来るのと戦いたいのとは話は違いますけど」
【釣竿剣士】がイケるならお前たちでもなんとかならないか?
やり遂げてくれるとこの戦い非常にやりやすくなるんだけど。
俺がそう問い詰めると【風船飛行士】が呆れたようにおどけて俺に楯突いてきた。
「その【釣竿剣士】も人間止めてる動きをしてるメンバーの一人だwww
異世界人に並べる時点でお前の方がおかしいンゴwww
何でオマエラはあの気持ち悪い動きに対応できるんだよwww
運動能力強化があるとはいえ常識的に考えてアリエナイwww」
「ワタクシも目とスキル操作で追いつくのがやっとですわね……
ワタクシ自身の身体で【ランゼルート】様の動きに対応できるとは思えませんわ!」
どうやら普段から支援系の動きを交えて戦っている【風船飛行士】と【トランポリン守兵】お嬢様だと近接攻撃メインの肉弾戦は難しいようだ。
並みの相手ならともかく【ランゼルート】相手だからここで出来ないと断言しても責めるやつはいない。
俺や【釣竿剣士】だって対応出来ているだけで、攻略の目処は立ってないからな……
やはり【包丁戦士】【釣竿剣士】のどちらかがいない状態で【ランゼルート】と戦いを続けるのは危険行為のようだ!
というわけで俺と【釣竿剣士】の強化にリソースを割くことになったが、ここまで来ると使い道が限られてくる。
「自陣強化」!そして「スキル凍結解除」!
我らの身に再び宿れ!【堕枝深淵】【現界突破】!
ここで俺と【釣竿剣士】の必殺技をそれぞれ解禁することになった。
特にスキル【現界突破】は序盤から【釣竿剣士】が要望していたものだったので、【釣竿剣士】が俺の横で表情を緩ませている。念願叶ってホッとしているのだろう。
これで釣竿一刀流の規模と威力を一時的に上昇させることが出来るからな!
そして俺が解禁したのは【堕枝深淵】、ルル様の必殺技である。
【ランゼルート】が敵視しているのは【ガルザヴォーク】だが、同じ深淵の長であるルル様の力であればより戦闘を拮抗状態に持ち込めるのではないか……という淡い願望も込めてこのスキルを選んだ。
……あと、【ユニーク】コマンドがようやく解禁されたがどうやらこれは戦闘中に使うものらしい。
それにしてもこの効果は中々面白い!
迂闊に使えないが確実に勝ち筋を俺に示してくれるものだから使いどころを間違えないようにしておこう……
【Bottom Down-Online Now loading……】