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963話 【7ターン目】歴然とした力の差と検証力

昨日は2話更新しています。

読んでいない話があるかたはそちらからどうぞ!

 「どうした!

 まさか守ってばかりで僕に勝てるのかな?」


 【ランゼルート】の聖剣による猛攻をチュートリアル武器の包丁で捌きつつ、立ち位置を変えたりしているが相手は勇者のジョブを冠しているだけあって隙がない。

 


 「当然だよ。

 今でこそ【上位権限】や【次元天子】で能力が上がっているけど、この【勇者】のジョブは君たち正式なプレイヤーと同じ条件で色々な種族の【上位権限】レイドボスたちに対等であると認めさせたことで与えられたものだからね。

 つまりそもそもの話、この世界での年季が君たちとは違うってことさっ!」


 底辺種族としての最高峰にいるという自信が【ランゼルート】から伝わってくる。

 最弱の種族という立場でありながら、知恵と努力で他種族と対等な立場まで登り詰めた実績がそうさせるのだろう。

 そして、ゲームをプレイする時間しかこの世界にいない俺たちよりも常にログインし続けている状態の【ランゼルート】の方がこの世界に適応できている。

 ……つまり、身体の動き一つ取っても頭で考えた動きをスムーズに違和感なく動かせるわけだな!



 だからこそ、【ランゼルート】は強い。

 聖剣による一撃を相殺するために俺が包丁で切り込むと、すぐさま軌道をずらし俺に少しでも衝撃を与えようとしてくるのだ!

 成功率99パーセントほどの俺の包丁の受け流しでさえも、この【ランゼルート】のボトムダウンオンライン適性の高さによって対策されてしまっているわけである。


 

 「そういうわけさ!

 君は僕と対等なスペックなら勝てると思っていただろうけど、むしろスキルという手札が縛られた状態だと僕の意表を突くことすら出来なくなっている。

 通常の戦闘技能で僕が上回る以上、もう勝機が無くなったわけさ」


 ぐうの音も出ない正論である。

 本来なら真っ正面で勝てないのならスキルに頼って相手の隙を突くようにするべきなのだろう。

 

 実際、俺は攻撃するときの視線や腕の向きにフェイントをかけたりしているのだが、憎らしいことにこの【ランゼルート】は全く引っかかってくれない。

 サイドステップで戦闘のテンポを変えようとすれば俺に合わせて元のテンポに引きずり込んでくるし、攻撃のピッチに緩急を組み合わせても自分のペースを崩すことなく応対される。


 まるで暴風を切ろうとしているような虚無感すら覚えるほど見事なものだ!

 スキルをお互いに温存しているのでその技量がより際立つのもあるが、相当に厄介だぞ!?



 「そういう君も大したものだよ。

 技量で見るなら、これまで会ったプレイヤーの中で釣竿次元の【師匠】と、君のお仲間釣竿使いの女の子の次くらいに手練れだと思うからね。

 ほらっ、僕のこの攻撃にもきちんと対応してくる」


 そんな雑談を交えながらも俺に横凪ぎで聖剣を振るってくる【ランゼルート】。

 剛直な一撃ではあるがそれでいて俺に行動を縛ってくる。

 横に逃げればそのまま切り裂かれ、上や下に逃げ込むほどの時間の余裕もない。

 このように相手の選択肢を狭める攻撃に対応するのは非常にやりたくない。

 ……なんで俺の行動を相手に決められないといけないんだよっ! ってなるからな。

 そんな戦いをしても気持ちよくはなれないし、身体が拒否反応を起こしてしまう!


 だからこそ俺は螺旋階段をかけ登りながら【ランゼルート】へ切り上げの斬撃……逆風を放っていく。

 これが攻防一体の手だ!


 階段上方では対応しにくい角度から切り込んだ結果、【ランゼルート】はここに来て初めて消極的な守りの剣を振ってきた。

 この角度では俺を直接切ろうにも往なされてカウンターを受けてしまうであろうということを見抜いていたからだろう。

 ……ちっ、勘のいいやつめ!



 「そんな小手先の技だけじゃ僕は倒せない。

 攻撃で凌ぐというのは悪くない考えだったけど、そんなことばかりして体力がいつまで持つのか見物だよ」


 うるせー!

 そんなことお前に言われなくても分かってる!

 何でもかんでも一々解説しやがって……


 それが圧倒的自信によるものだとは分かっているが、だからこそ鼻につく。

 「お前の手なんて見透かしている」と言わんばかりの口頭解説はそれだけで相手を苛つかせる。

 何せこうやって戦っていても勝てるための攻撃の手応えが更々ないからな……

 相手も自分も【ランゼルート】の言葉を真実だと確信してしまうからである。


 

 「君たちがこの攻撃に何ポイント使ったのかは知らないけど、これだけ戦闘を続けていても終わらないということは1ポイントだけではなさそうだね?

 少なくとも2ポイント……もしくは3ポイント。

 その間僕の攻撃を一人で受けきれるだろうか?

 君の仲間たちは二人がかりでようやく凌いでいたけれど、君はこのまま援軍無しで一人でやり遂げるつもりかな?」


 当然だ、プレイヤーキラーならなァ!

 このままお前の戦い方をじっっっっくり観察分析判断させてもらうとしよう。

 【検証班長】仕込みのこの検証力……活かさせてもらうぞ!




 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] 対人戦なPKはかなりの強みですよね( 'ω')?
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