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96話 お礼参り

 【イベントバトルリザルト】





 【あなたの勝ちです】






 【代表戦順位優勝!】





 【包丁が血を求める】





 【包丁の煌めき】





 【報酬はイベント終了後配布されます】






 【今しばらくお待ちください】




 「というわけで、今回のイベント【煌めく血濡れの闘技場】終了です。

 底辺種族たちにしてはよく健闘したと、一応は褒めておきます。

 ですが、この程度で満足しているようでは私の視界に入れる価値が無くなってしまうので精々精進するように。

 ポイント交換所はこの後、各地の闘技場で解放されるので忘れずに確認しておくように。

 底辺種族である貴方たちの矮小な脳で忘れないことができるかは分かりませんが、交換期間は一週間なので必ず確認するように」


 なんか、丁寧な忠告をしているのにかなり上から目線っていうのが絶妙なバランスだな。

 

 「同志よ、やはり……ツンデレですな?w」


 「うーん、これはツンツンツンデレですぞw」


 「ほうイベント交換所の告知ですか、大したものですね」


 「はぁ……【菜刀天子】さま……結婚してっ!」

 

 「ぬふふふ、ボキの【菜刀天子】たそはいつ見ても最高ですな~」


 「ヌカコポォっ!」





 【菜刀天子】への声援に不純物が混ざりすぎているが、決勝戦の余韻による高揚感と、イベントが終わって肩の荷が下りた安心感と脱力感で、俺も含めた会場のプレイヤーたちは満面の笑みを浮かべていることだろう。


 あっ、バニー服モードは解除されたな。

 5分普通に過ぎたからしかたないが……

 そして、完全に深淵の気配が俺から消え去ったあと、あの無機質な声が俺の脳内に鳴り響き始めた。


 【個人アナウンス】


 【種族限界値を超えたスキルの使用】


 【スキルの効果により【Bottom Up】!】


 【【包丁戦士】の深度が20になりました】


 


 【Bottom Up】……だと!?

 今まで【Bottom Down】しか無かったが、逆バージョンもあったのね。


 今まで上がり続けるしかなかった深度の数値が、ここにきて下がった。

 これは良いことなのかどうか分からないが、ルル様が戦闘中に語りかけてきた内容からするとあんまり良くないことの気がする。


 そして、【種族限界値を超えたスキルの使用】というのは十中八九【深淵纏縛】を使ったデメリット……みたいなものだろう。

 俺達底辺種族が、その身の丈に合わないスキルを使用することでデメリットが発生しているのはもう皆知っていることだろうが、【深淵纏縛】はそれらとはさらに一線を画している。

 このスキルを使うための容量が他のスキルよりも必要だったからこそ、俺のパラメーターである深度を犠牲にして無理やり発動したということになった……気がする。


 こういう考察は【検証班長】の方が得意だから、俺はテキトーなことしか言えない。

 



 ……でだ、イベントも終わったことだしなにをしようか。

 本当はポイント交換所とかで、今回貯めたポイントを使ってみたいんだが、今イベントが終わったばかりでめっちゃ混んでる。

 ヤバイ、濃厚な肉壁だ。

 いくらプレイヤーキルが好きな俺でもこの人数は流石に捌ききれない。

 しばらくは近寄りたくないし、別のことをして過ごそう。


 そうだ、せっかくだし今回の試合でお世話になったやつにお礼でも言いに行くか。











 はい、来ました。

 俺がいるのは新緑都市アネイブルにある、ほのぼの市場だ。

 話の流れ的には【深淵奈落】でルル様のところに行くはずだろ?そう思ったやつもいるだろうが、決勝戦で試合の流れを左右していたのは序盤で使ったりとどめで使った毒物料理だ……と俺は考えている。

 なので、はじめにここにお礼参りだ。


 おーい、野菜屋のおっちゃん!

 今日も来たぞ~!


 そうして店頭に現れた野菜屋のおっちゃんを、とりあえず挨拶代わりに包丁で切り裂き死に戻りさせた。

 そして、中央広場から走って戻ってきた野菜屋のおっちゃんに話しかける。


 おっちゃんから買った野菜のお陰で大会に優勝できたわ!

 ありがとな!


 素直にお礼を言う。

 生産プレイヤーには横の繋がりが重要だからな、こういう機会にお礼を言っておくと好感度稼ぎができる!(打算的発想)


 「これはこれは……光栄なことですな!

 これからも、このおっちゃんから野菜を買って欲しいのですな!

 貴方のような可憐な見た目の乙女に使われる食材も喜んでいることでしょう。

 ……まあ、可憐なのは見た目だけですがな……」


 軽くディスられたような気もするが、本当にいつも世話になっている店の店主だし、おおめに見てやるか。


 「それにしても、優勝とは凄いですな!

 そうだ、せっかくの記念……おっちゃんからもお祝いさせて欲しいですな!

 これをプレゼントとしてあげよう」


 そう言って俺に手渡してきたのは黒光りする葡萄だ。

 おっちゃん、この葡萄はいったい……?


 「とあるルートから手に入れた隠しエリアにしか生えていないって噂の葡萄ですな!

 その粒1つ齧るだけでワインを飲んだかのような酩酊状態になるという……面白い果物ですな。

 あの猛毒食材を扱えた【包丁戦士】さんならきっと面白い使い方をしてくれると信じてプレゼントですな!

 ……ちなみに、その葡萄の名前は分からなかったですな……」


 ほう、中々面白そうなものじゃないか!

 サンキューおっちゃん!

 また来るからな~


 そう言って再び野菜屋のおっちゃんを包丁で突き刺し、満足した俺は大会で疲れたこともあってログアウトした。

 あー、楽しかったぜ。








 ……まったく、底辺種族【包丁戦士】の行動は本当によくわかりませんね。

 どんな思考回路をしているのでしょうか……



 【Bottom Down-Online Now loading……】

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