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959話 【6ターン目】スペックによるごり押し

 【アイシア】の【緑王絶対封印】と、俺の重ねの兵法を用いた【魚尾砲撃】がぶつかり合いそれぞれがしのぎを削っている。

 ぶつかり合う度に強度を増す【封印】の鎖【緑王絶対封印】と、ぶつかり合う度に相手の強度を【侵略】し弱体化させる毒球と極太レーザー。

 再生し続ける蔓を溶かしながら【アイシア】へと極太レーザーが伸びていっていることから形勢は俺に有利ってことだな!



 「くっ、やはりスキル【緑王降霊】と【上位権限】が凍結させられていることが力不足に繋がっていますね……」


 【アイシア】は本来顕現権限スキルの上位互換を持っており、さらには種族としての最高峰の力を発揮できる【上位権限】も同時に保有している。

 だが、この次元戦争のルールによってそれらは使えない状態になっているのだろう。

 【封印】の力を司っているわりに、自分自身もスキルを使えなくさせられているのは滑稽なこった!



 「その侮辱、聞き捨てなりません!

 それならこれはどうですか!」


 【アイシア】は蔓の一部を曲げて伸ばし始め、極太レーザーの軌道とは別方向から俺を直接狙いに来たようだ。

 昔の俺だったらこの攻撃の対応に焦っていたに違いない。

 だが、今の俺には八本の尻尾がある!

 【アイシア】を狙い続けている尻尾のうち半分を別軌道から攻めてきている蔓の鎖を迎撃に向かわせた。


 

 「貴女も別方向にスキルを放てるタイプでしたか、これは予想外でした……!

 仕方ないので今回は時間いっぱいまで粘り次のターンに託すとしましょう」


 【アイシア】は形勢不利の状態を覆せないと割りきったのか、これまで俺に向かわせてきていた蔓の鎖を防御に回し始めた。

 【封印】の力を宿しているだけあって、【封印】の対象がそれを拒んでいなければより強固な鎖となるらしく【アイシア】の間際まで極太レーザーを照射できているのにも関わらずそれ以上攻撃を踏み込ませることが出来なくなってしまったのだ。


 こうなりゃ、やけくそで極太レーザーを全部毒球に変えて弱体化を狙うか……?


 そう思い意識を一瞬だけ【アイシア】から離した瞬間、ふと気がついた。

 ……来るっ!?



 俺はすぐさま極太レーザーを推進力にしてその場から緊急回避していく。

 すると、先ほどまで俺が立っていた場所には菱形の手裏剣が8個突き刺さっていた。

 これは【ラクヨウ】のものだな!



 「ちっ、外したか!

 【アイシア】ちゃんは【ランゼルート】のお気に入りだから自由に動ける俺が助けに来たぜ!

 ド派手に参上だ!」


 どうやら、前のターンで俺と戦っていたアメコミ忍者の【ラクヨウ】が割り込んできてしまったようだ。

 こいつ、派手好きなわりに気配を隠すのが上手いから

、あの時に攻撃することから意識を外していなかったら俺でも気づけなかったかもしれないな……

 派手な性格と適性が合ってなさすぎるぞ!



 「【ラクヨウ】さん、来てくださりありがとうございます!

 これで2対1です。

 流石に二人で挑めば形勢逆転でしょう」


 「……さっきまで戦ってたやつが追いついてこなければだけどな!

 あいつ、【ランゼルート】ほどじゃなかったが相当頭のおかしい動きしてきたぜ!」


 あぁ、【ラクヨウ】が誰と戦っていたのかおおよそ検討がついた。

 ……多分【釣竿剣士】と戦っていたのだろう。

 包丁次元でそう呼ばれるメンバーといえば【釣竿剣士】くらいだからな。

 


 「そんなわけでド派手に速攻でケリをつけてやるぜ!

 スキル発動! 【比翼炎禽(ひよくえんきん)】!」

 「私も続きます!

 スキル発動!【緑王絶対封印】!」


 味方を得たことで再度攻勢に出てきた聖剣次元陣営。

 蔓の鎖と炎翼の矢が一挙に俺を仕留めようとしている光景は、見るものによっては絶望を抱かせるほど圧巻なものであった。

 迫り来るエネルギーの圧がそれを思わせるはずだ。


 だが、俺だって負けていられない。

 運動能力強化も、【深淵纏縛】も重ねの兵法も使ってるんだ。

 ここで仕留めるのは難しいにしても何とか手傷を増やしておきたいところだ!

 

 だからこそ俺は尻尾から出していた毒球を全て極太レーザーへと変化させて高速軌道で相手二人へと向かっていく。

 レーザーの放射方向をそれぞれ別方向にすることで縦横無尽に回避していくことが可能になったため、俺を追いかけてくる蔓鎖や炎翼の矢を避け続けることに成功したのだ!

 前進していっているとはいえ回避に専念しているからこそ出来る芸当だな!


 ……そして!



 「危ない【アイシア】ちゃんっ!?」


 俺の包丁が【アイシア】の喉を切り裂こうとしていたがその軌道上に【ラクヨウ】が割り込んできて左腕で受け止めてきた。

 その影響で【ラクヨウ】の左腕はキレイに断絶され、地面にポトリと落ちたあと光の粒子となりきえていってしまった。



 「ああっ、【ラクヨウ】さん……

 私を庇ってそんな……」


 悲嘆に暮れている【アイシア】を俺はさらに追撃しようとしたが、俺の視界が暗転し身体が光の粒子となっていく感覚が伝わってきた。

 ……ちっ、時間切れか!





 【Bottom Down-Online Now loading……】

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