957話 【6ターン目】ムキムキのビルドアップ
【6ターン目】
【行動を選択してください】
【使用可能コマンド「攻撃」「自陣強化」「ターン終了」】
【使用不可コマンド「ユニーク」】
【ユニット【包丁戦士】運動能力強化①】
【ユニット【釣竿剣士】】
【ユニット【風船飛行士】】
【ユニット【トランポリン守兵】】
【スキル【深淵纏縛】【竜鱗図冊】【魚尾砲撃】【近所合壁】】
もう何度目になるか分からないが俺たちの視界にぼやかしが入り、それぞれのターンが始まっていく。
前のターンでは守りの要となる【トランポリン守兵】お嬢様を呼び出したが、毎回宮殿内部にランダム転送される戦闘形式ではかなり重宝するユニットとなるだろう。
単身ではぐれても守りに徹することで味方が合流するまで時間を稼げるし、そうでなくとも制限時間ギリギリまで粘り続けて相手一人を釘付けにする作戦も取れる。
もちろん、俺たちと合流出来れば攻めと守りのコンビネーションで圧倒的力を発揮してくれるだろうからな!
特殊支援要員の【風船飛行士】が単身でいるよりも安心感は抜群である。
「なんか話の流れで貶されててワロタwww
オレを引き合いに出す必要あったか?www」
特に必要なかったが、何となく嫌がらせでな!
一方的に恨み辛みをぶつけられ続けたんだからこれくらい仕返ししたってバチは当たらないだろう。
「いえ【包丁戦士】様も頻繁にプレイヤーキルをしているので一方的ではないと思いましてよ?
もちろんバチは当たると思いますわ!」
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」
……そ、そうか。
MVPプレイヤーという尊厳は無く、味方に非難されているというチームワークも引ったくれもない会話をしているがそろそろこのターンの動き方を決めるべきだろう。
「増えてた【アイシア】とかいう美人はどんなやつンゴねぇ?www
タイマンになったらナンパしたスグルwww」
最悪な状況が脳裏に浮かんだが、俺の持つ【アイシア】の情報を共有していく。
【アイシア】は【槌鍛冶士】と同様の存在で、レイドボスであるのと同時にプレイヤーでもある【森人】……つまりエルフだな!
鎖や錠鍵を使った物理攻撃や、【封印】の力を行使してくるからかなり厄介な相手だろう。
だが、幸いなことに【アイシア】は……
【精霊緑王】【上位権限】【封印守人】【森人】【プレイヤー(偽)】という五つの要素を持つ存在だから召喚コストもリソースが5ポイントも必要だったはずだ。
つまり、これで5ターン目までに手に入った12ポイントのうち9ポイント分の内訳が判明したということだ!
「【ラクヨウ】召喚で2ポイント以上、「攻撃」で1ポイント以上、スキル【比翼炎禽】で1ポイント、【アイシア】召喚で5ポイント。
合計9ポイントは最低でも見えてるなwww
あとは「攻撃」コマンドの使用ポイントでの時間差異と【ラクヨウ】の要素が分かれば丸裸に出来るンゴねぇwww」
流石【風船飛行士】、頭脳担当として呼んだだけあって他のやつにも分かりやすいように情報をすぐに取りまとめてくれたようだ。
俺がちょくちょく話していた敵に関する情報もしっかり頭に入れている辺りただのチャラ男じゃないのは明白だな!
「それでこのターンはどうしますか?」
「やはり新たなスキルを……」
「いや、ここはオレの運動能力強化をしてだなwww」
……「自陣強化」コマンドの中にある運動能力強化は俺に一回付与したが、その効果量が不明である。
ここにポイントを費やしていいのか悩みどころだ。
だが、【ランゼルート】に対抗するには少なくとも何回か付与したい。
特に至近距離で攻撃を撃ち合うやつにはな。
「ということはお前と【釣竿剣士】かwww
無難過ぎてワロタwww」
「異論はありませんわよ。
ワタクシにも付与していただきたいですが、まだ一度も戦闘を行っておりませんのでその後に再び提言しますわ!」
というわけで、「自陣強化」からの「運動能力強化」!
対象は【包丁戦士】に1ポイント、【釣竿剣士】に2ポイントだ!!
コマンド選択を終えると俺と【釣竿剣士】に光が降り注ぎ身体が強化されていく。
前のターンに1ポイント既に強化を終えていた俺は新たに1ポイントを追加、【釣竿剣士】は俺と均等になるように2ポイントの強化を付与した形となった。
そうしていると俺たちの身体が光の粒子となり視界が歪んでいく……
どうやら向こうはよっぽど俺が憎いのか、俺たちをさっさと始末したいらしい。
ここまで果敢に攻められるとおちおち考えを纏める余裕もないが、今回は【風船飛行士】の助力もあって割りとすぐに決まったので強化を終えている。
先ほど「攻撃」コマンドが使われた時と同じ現象が起きているが、このまま戦いに進んでも今回は準備万端というわけだな!
全くこれだから劣化天子は……
その甘い考えが身を滅ぼすのですよ?
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