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945話 弁慶の泣き所

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は【骨笛ネクロマンサー】の深淵細胞を取り込んだことによって生まれたデメリットについて調査していくぞ!

 




 

 「さて、まずはボクと同じ落下ダメージについて調べてみようか。

 これが即死で一緒だったら特定が楽ではあるけど……」


 そんなわけで一回飛んでみるか!

 スキル発動!【天元顕現権限】!


 俺は左肩から黄金色の翼を生み出し、両腕で【骨笛ネクロマンサー】の腹の前で手を組み浮かび上がっていく。

 ……くっ、こいつもそこそこ胸がデカイな!?

 腹の上部周辺に手を置いているのに飛翔の揺れで胸も揺れて時折当たってくる。

 悔しい……悔しい……っ!!


 

 そんな俺の苦悩に気がつかない【骨笛ネクロマンサー】は空を飛んだ感想を述べ始めた。


 

 「ふひひっ、これは面白い感覚ですねぇぇ……

 こんな感覚現実では味わえないですから飛行できるスキルを手に入れたくなりますよぉぉ……」


 そんな感動の声をあげているがこの飛翔の目的を忘れていないだろうか?

 

 「えっ?」


 さあ、墜ちていくといい!

 そーら!

 俺は掛け声と共に【骨笛ネクロマンサー】を掴んでいた両手を離し、その身体を空中へ放っていく。

 そうなれば飛行手段を持たない【骨笛ネクロマンサー】が辿る道は一つしかない。



 「ふひひひひひひひひひひひひひひぃぃぃぃぃ!!

 墜ちてますよぉぉぉぉぉぉぉ……っ!!!!」


 そう、自由落下だな!

 上空から地面に落下した【骨笛ネクロマンサー】はそのまま落下ダメージを受けてしまい立ち上がれない様子だ。 

 ……だが光の粒子になっていないので即死ではないようだ。

 このまま動けない【骨笛ネクロマンサー】は検証の役に立たないので俺は腰に提げている包丁を引き抜きそのまま【骨笛ネクロマンサー】の首を刈り取った!

 うん、これで大丈夫だ!






 「まさか平然とキルされるとは思っていなかったですねぇぇ……

 流石はプレイヤーキラーの【包丁戦士】さんですぅぅ……」


 これについては仕方ないだろう。

 だって身体の回復を待つよりも一回死んでもらったほうが身体機能復活が早いんだから……



 「これは検証でも証明されているので【包丁戦士】さんの言う通りですね。

 実際、ログイン地点が固定化されていなければ死に戻りする方が効率がいいです」


 だろ?

 プレイヤーの命よりも効率を重視する……これが人権のないボトムダウンオンラインを生きるための秘訣だ!

 




 ……で、次はどうするよ?


 「攻撃耐性でも調べてみましょうか。

 ボクみたいに【生命花】の力に弱くなっている可能性もありますし。

 まずはおあつらえ向きなスキルがある【生命花】の力で調べましょうか。

 ボクもこのスキルで初めて気がついたくらい【生命花】で攻撃手段がないからね……」

 

 「ふひひっ、あのスキルですねぇぇ?

 いきますよぉぉ!!

 スキル発動!【濁流万花】!」


 【骨笛ネクロマンサー】か勢いよくスキルを発動すると胸元から背中にかけて濁った水の花弁が突き出し、そのまま【骨笛ネクロマンサー】を葬り去った。





 【骨笛ネクロマンサー】死んだけどこれって耐性下がってるからなのか?

 誰が使っても即死する自刃スキルだと思うんだが……


 俺は今更ながら【検証班長】に聞いてみた。

 本来は【骨笛ネクロマンサー】が死ぬ前に聞くべきだったんだが、あいつが勢いよくスキルを発動したので聞きそびれてしまったのだ。


 「うーん、あれは耐性が下がっているわけではなさそうですね。

 ボクが【濁流万花】を使うと花弁が貫通するまでもなく触れた瞬間に死んじゃうからね……

 それなら次は……」


 ……という感じで聖獣スキルをいくつか試していくと明らかに激しい反応を見せるものがあった。

 それは【波状風流】だ!


 「……【流動】の力が弱点になっていましたか。

 本来ダメージを受けないはずのスプリンクラーから出る風でダメージを受けているのは明らかに異質ですから間違いないでしょう。

 これは御愁傷様ですね」  


 【検証班長】は可哀想なものを見る目で【骨笛ネクロマンサー】を見ながらそう宣告した。

 【骨笛ネクロマンサー】には悪いがこれは致命的だな……

 何せクラン【コラテラルダメージ】の敵対クラン【冒険者の宴】は竜人に種族転生したプレイヤーが多い。

 なので自ずと【波状風流】を愛用している敵とマッチングしやすいのだ!


 

 「ふひひっ、あまり嬉しくない結果になりましたねぇぇ……

 ですが実戦になる前に気がついて良かったですぅぅ……

 これを意識して戦い方を組み立てればいいですからねぇぇ……」


 思ったよりもポジティブだった【骨笛ネクロマンサー】。

 だがその考え方は正しい!

 何故なら今は【骨笛ネクロマンサー】の新たな戦い方を模索するための集まりだからな。

 弱点が分かったならそれを前提にして戦い方を変えればいいのだ!

 





 このお陰で新たな戦術が組み上がったり、組み上がらなかったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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