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937話 隔絶次元

 さて、ルル様からのお墨付きをもらったところで五芒星の魔法陣に突入したいわけだが、このまま突っ込んでいいんだろうか?



 【我であれば問題ないであろうが、お前の基本スペックでは突入した直後に消え去ってしまうのは目に見えておろう。

 これまでの深淵奈落が我の強度に耐えられぬのと同じように、ここから先の領域はお前の存在が耐えきれず消滅するであろうな。

 故に先ほどお前に移植した我の細胞を含めた【P細胞(エルル)】を2つ同時に励起するのだ!

 重ねの兵法を利用できるお前だからこそ提案できる打開策だ】


 うーん、聞くだけで不安になる説明だな……

 この先に待っているものがそれだけ不穏な場所であるというのはよーく分かったが、ルル様の細胞を励起すれば問題ないらしい。

 これもライセンス認証要素の一つってわけだ。

 一々凝ってるのは感心するが、その一方で面倒くさいとも思っている。

 行き来する時は必ずルル様の細胞を使わないといけないわけだからな!



 というわけでさっそく試させてもらうぞ!

 スキル発動!【深淵纏縛PP(クラスト・エルル)


 

 俺がスキルを発動させると俺の姿はいつものルル様の緑ゴスロリフォームへと変化していた。

 それでも一部異なっている点がある、それは翼だ!

 ルル様が説明していたように俺の背中には漆黒の両翼が顕現していたのだ。

 それ以外は特に見た目での変化はなさそうだけどな……


 だが、姿はほぼ同じと言えども身体に満ち溢れる力はより強大なものになっていた。

 ただでさえレイドボス末端クラスの力を一時的に行使できるのにそれが強くなったのは自分でも恐ろしい。

 フル稼働させてしまえばすぐに燃料切れになるのはプレイヤーの定めだが、それでも短期決戦には充分有用なものだ。


 そして変化があったのは力の増大以外にもあった。

 なんとスカートの中から濁った緑色の触手を生み出すことが出来るようになったのだ!

 うおっ、結構自由自在に操れるんだなこれ……

 まるで自分の手足のように器用に動かせるようで、下手すればプラモデルの組み立てくらいは出来そうなほど緻密な動きをさせることが出来た。

  

 触手で包丁を握らせて持っていた木の実を砕いたり刻んだりしてみたんだが、普通に手で持っている時と遜色のない動きをしてくれたからな!

 まさに第三の腕のようだ!


 そんな触手を五芒星の魔法陣にチョロっと伸ばしてみると……




 なんともなかった!

 よしっ、これで魔法陣の中に入れそうだ。

 というわけで突入だ!

 俺は翼をはためかせそのまま五芒星の魔法陣の中心へと降り立つ。

 すると宝石のように美しくもこの世の全てを否定するような禍々しさを放つ魔法陣は、俺が中央に立つと黒く淀み始めた。

 俺を包み込むように淀んでいく周囲に視界が遮られていき俺の意識さえも淀みプツリと途切れてしまった……







 混濁する意識の中、俺は身体が解体され別の場所へ移動されていく不思議な感覚を覚えた。

 次元天子による次元戦争参加のための転送の際のものと似ているが、あれは神々しさや神聖さを感じさせてきていた。

 しかし、それに対してこれはその真逆、邪悪さや禍々しさの集約されたものである。

 そして俺が次に目を覚ました時、目の前には見知らぬ光景が広がっていた。









 【隔絶次元 ?????】



 【RA……






 そこには俺の身体よりも大きい瞳が目の前に現れていたのだが、その正体を探ろうとした矢先に身体が弾けとんでいってしまった……

 



 【Raid Battle!】



 【深淵域の管理者】



 【エルル】


 【???】【上位権限】【ボーダー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【深淵へ誘い】


 【冒険者を堕とす】


 【深き真価を見極め】


 【境界に流転する】


 【封印された夢想が解き放たれし時】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、死にました!

 誰だよ今の俺なら行けるって言ったやつ!

 


 【カッカッカッ、行くことは出来たであろう?

 しかし、行った後に無事でいられるかは別の問題だのぅ……

 領域の力に耐えられたとしても別の要因で死なぬとは言っておらんかった故にな】


 なんという屁理屈……

 まさかレイドアナウンスが流れている最中に死んでしまうとは思わなかったぞ!

 レイドアナウンス中は無敵時間じゃなかったのか?



 【物事には例外というものもあるのだ。

 我ですらレイドアナウンスというプレイヤーへの猶予期間中はダメージを与えられぬのだが、この世界の理を歪ませるものであれば可能であろう】


 ルル様ですら出来ないことをしてくる存在があの場所にはいるというわけか。

 【隔絶次元 ?????】というエリアのアナウンスが流れたが、これまで次元天子によって転移させられていた【特異次元】とはまた別のネーミングなのは深淵種族由来のものだからなのか?

 それとも全くの要素によって付けられているのかは不明だが、俺の次なる進むべきミチはあの場所を安全に闊歩することだな!


 深淵奈落関係はその領域で行動出来るようになるまでが大変だが、それによって得られるリターンも大きいので挑むかちのある場所って断言してもいいだろう!

 やはり俺が掴むべき力はここに眠っているというわけだな!







 ここまでの深淵奈落の階層にもまだまだ見落としがあるぞ。

 故にたまには後ろを振り返るのも良いのぅ……


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] プラモを作れる触手! 地味に欲しいですねー 絶対にそれ出して外には出れないですが
[一言] 追いついた記念! これからも応援してます!
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