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932/2209

932話 喜怒哀楽のカニ!

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 昨日は【ハリネズミ】たちから海戦ユニーククエストの話を聞いたが俺の知らないところでクランメンバーが頑張っていたのは素直に嬉しい話だった。

 あいつらには今後もほどほどに頑張ってもらいたいところだな。

 

 そして海エリアの話を聞いていたら久しぶりにあいつに会いたくなってきた!

 ちょっくら顔を出しに行くか!










 というわけでやって来ました海エリア……のカニタマ居住島。

 俺、【釣竿剣士】、【トランポリン守兵】お嬢様くらいしか来たことがないこと場所には海エリアの【上位権限】レイドボス……カニ幼女の【カニタマ】が生息している。

 今日はこいつに会いに来たわけだ。



 「……当方に何の用事カニか?」


 背中に紅葉のように赤いカニの鋏をつけている幼女は、出会って早々に頬をぷくっと膨らませながらそう尋ねてきた。

 長いこと会いに来なかったからか若干不貞腐れているように見える。

 こいつは総座長というレイドクエスト名なだけあって他者との触れ合いを大事にするタイプなのだろう。

 こうやって拗ねているのは見た目相応で可愛らしいものだが、本当の姿は炎と氷を操る超巨大なカニなので笑えないところもある。



 【カニタマ】と話がしたくてな。

 この前【金剛島海域エイプモンド】のレイドボスであるダイヤモンドオコゼ……【ウリール=イニミクス】をプレイヤーたちが倒したわけだが、それについて情報でももらおうと思ってな。

 手に入れたスキル【輝毒呃洛(きどあいらく)】の有用性が俺には分からないんだ。

 あの結晶を生み出すスキルはプレイヤーが使うと本人の腕も結晶化されてしまうからな!



 「プレイヤーも難儀な身体をしているカニね……

 当方が使えばこんな感じになるカニよ。

 【輝毒呃洛(きどあいらく)】!」


 【カニタマ】は見本を見せるようにして輝く液体を周囲に撒き散らし始めた。

 うおっ、危なっ!?


 近くにいた俺は危うくその液体に触れそうになったが間一髪でかわすことに成功した。

 そして俺の代わりに液体が触れた地面から結晶が湧き出てきたようだ。

 


 「一回出せば形を自由に変えられるのがこのスキルの面白いところカニね~

 例えばこんな風に!」


 【カニタマ】は満面の笑みを浮かべながら【輝毒呃洛(きどあいらく)】で生み出した結晶を操り、蟹の鋏の形にして開いたり閉じたりしてきた。

 ……はじめが液体で、そこからただの結晶になったかと思えば最後は蟹の鋏か。

 本当に自由度が高いスキルなんだな!

 そう思い蟹の鋏結晶を撫でるようにして触れると……


 げっ、俺の腕が結晶化したぞ!?

 形を変えても毒の効果は残ったままなのか!?



 「当然カニよ!

 深海種族のスキルはそんな甘いものじゃないカニ!」


 「どや」という擬音が聞こえてきそうなほど得意気な表情の【カニタマ】。

 やはり自分の種族の凄さを見せられて嬉しいのだろう。

 それはどの種族の【上位権限】レイドボスでも共通しているな!


 ……それでそんな風に自由自在に毒を操るにはどうしたらいいんだ?

 なんとなく予想はつくけど。



 「当方たちと同じ種族になることが前提条件カニね~

 【ウリール】と同じ種族なら特に自由が利くようになるけど、そこまで拘らないなら別の深海種族でも出来るカニ!

 それが深海種族のスキルの良いところカニよ!

 海は分かれているようで一つ!」


 謎理論だが、システム上可能なのだからそれに納得するしかないだろう。

 つまり、深淵スキルを操る俺のように深淵細胞を各種揃える必要はなく、深海種族のどれかに種族転生すれば済むというわけか。

 なんという厚待遇なんだ……



 「他の種族はそんなに酷い待遇カニ……?

 当方たちは来た者に楽しんでもらえることが第一だから出来るだけ権限をそっちに寄らせているカニ!

 流石に最低でもあの森人種族に負けるつもりはないカニよ!」


 【カニタマ】はやけに【槌鍛冶士】を敵視しているな。

 ただ、森人に種族転生した時のメリットとかってよく知らないからその辺はなんとも言えない。

 俺にマスクデータとして存在しているらしいが、特に恩恵を感じたこともないし……



 「……?

 そういえばどこからか森人種族の気配が……?

 まさかこの領域に入り込んで来たカニ!?

 あの逃げるしか脳のないあやつらしい存在感の薄さ……

 見つけ出して排除するカニ!」


 そういって【カニタマ】は俺の前から去っていってしまった…… 

 たぶん【カニタマ】が察知した気配は俺のものだろうが、エッセンスレベルなので気づけなかったんだな。

 あー、怖かった……






 何処にいるカニか!?

 徹底的に調べ尽くすカニ!!!!!!!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] めっちゃ嫌われてるやん! 槌鍛治士は何したんだ?
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