915話 蒼い炎の砲台
「さてwww仕切り直していくンゴwww
スキル発動!【青龍偃月】www」
「ボクも続きますよ。
スキル発動【塞百足壁】!」
【風船飛行士】は俺に対抗すべく新たなスキルを使ってきた。
そうして現れたのは青龍偃月刀だった。
青龍偃月刀は長い柄の先に湾曲した刃を取り付けたもので、刃は幅広で大きくなっているものだ。
柄の長さは刃の大きさに対してやや短めになっているというのが特徴で、片手で使うことを考慮してこの長さになっているらしい。
【風船飛行士】はその青龍偃月刀を握るのではなく、宙に浮かせて操作している。
風船偽竜をあの精度で操作できる【風船飛行士】の並列思考能力あってこそ出来る芸当だな。
聖剣次元のMVPプレイヤーの【ランゼルート】も同じスキルを使って似たようなことをしてきたが、あいつは【上位権限】AI……つまり高性能な演算機のようなものだから比較対象としてはスペックが違いすぎる。
【ランゼルート】は出来て当然だったのだ。
むしろ、それに近い形で動かせている【風船飛行士】が異様だろう。
AI並みの演算能力があるってことになるからな!
そして【検証班長】は漆黒の霧から生み出した壁を俺の周囲に生み出し、逃げ道を塞ごうとしてきた。
……ちっ、アスレチックみたいにどんどん壁が生えてくるな!?
ただでさえ【風船飛行士】が操作する【青龍偃月】を受け流すのに手間取っているのに、そんな茶々入れてくるなよっ!
非常に鬱陶しい!
前に戦った時は黒い壁で直接押し潰そうとしてきていたが、その時より今回のように地味に嫌らしい妨害の方が【検証班長】らしいといえばらしい。
自分の戦い方というものを一度見直してきた証拠だろう。
「ボクもなんとか自分だけで戦えないか試行錯誤はしてきましたけどね……
【邪神像】や【深淵顕現権限щ】といった身を滅ぼすかもしれない力の行使までやってみましたけど、それでも【包丁戦士】さんには敵わなかったですからね。
そうなれば原点に戻って頭脳で勝負するしかないよね?
ボクはあくまでサポート役、それが【包丁戦士】さんと戦い続けて実感した力の壁のようなものだよ」
力の壁……つまり直接戦闘で敵わないと認めたってことだろう。
そもそも頭脳担当の【検証班長】が直接戦闘をしようとするのは迷走気味だったし、冷静になっただけともいう。
……それに、次元戦争で【ペグ忍者】と行動していて分かったが直接戦闘で【検証班長】が俺に勝てないように、俺は【検証班長】に頭脳戦で勝てないのも事実なのだ。
そこを誇らずしてどこを誇るんだ?
「やれやれ、【包丁戦士】さんに諭されるとはボクも堕ちるところまで堕ちたってことだろうね。
でも、だからこそ、この戦いを【包丁戦士】さんとのぶつかり合いの最後にしたいと思っています。
この戦いは【包丁戦士】さんに対するケジメみたいなものですっ!
だからこそ、今回こそは勝たせてもらうよ!」
【検証班長】よ、よく吠えた!
【風船飛行士】も【検証班長】も纏めて葬り去ってやろう。
本当はこの後の【オメガンド】と【プシーナク】の戦いまで温存するつもりだったが、お前らの心意気に全力で応えてやろう!
まずは【失伝秘具】ー【夢幻銀鍵】起動!
俺が【失伝秘具】ー【夢幻銀鍵】に深淵の黒い霧を纏わせると、それに反応した鍵が空中に浮かび上がりその場で高速回転し始めた。
そしてそこから繋げるのはこのスキルだ!
スキル発動!【夢幻深淵】!
俺がスキルを発動させると夢幻エネルギーと呼ばれるミチのエネルギーと深淵の力が同時に膜のように俺の身体に張り付き始めた。
そして俺は鍵穴へと走り抜けていく。
俺がその鍵穴を通り抜けると俺の装備が黒セーラー服衣装へと変化し十二枚の羽となった。
そして、狼包丁が浮遊することが可能になったようだ。
「これが【包丁戦士】さんの新たなフォームっ!?
壮絶な力を感じますね……
【深淵纏縛】よりも格段に禍々しさが増してますよっ!?」
「これはステッキ次元と十字架次元がいた次元戦争【死屍累々城塞バンデッド】での戦いでもやってたなwww
オレは遠くに行ってたからちらりとしか確認できなかったが、ヤバすぎワロタwww
化け物が正体だろお前www
ただ、セーラー服なのは【包丁戦士】だとしても眼福スグルwww」
ただ、この黒セーラー服フォーム深淵環境でも無い通常環境だと燃費が非常に悪く、持ったとしても一分が限度だ。
そして、スキルを使ったらその制限時間も一気に消し飛ぶので次の一撃で決着をつけてやるよ!
スキル発動!【魚尾砲撃】!
十二本フルバーストだああああぁぉぁぁぁぁっ!!!!
俺は背後に浮いている十二枚の羽からそれぞれ極太レーザーを放ち、【風船飛行士】と【検証班長】を纏めて狙っていく。
それに対抗しようと相手の二人も行動を起こしてきたようで……
「オレも全力でいかせてもらうwww
スキル発動!【覇道逆鱗】www」
「ボクもサポートしますよ。
スキル発動!【塞百足壁】!」
【風船飛行士】が放った蒼い炎を誘導するように黒色の壁が形成されていき、まるで砲台から炎が放たれているような見た目となり俺の十二本の【魚尾砲撃】と激突していく。
ぐぐっ、爆風がここまでっ、来るとはっ!
力の方向性を上手く整えてきたなっ!?
さて、どうなりましたでしょうか。
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