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91話 生産プレイヤーの意地

 準決勝では摩訶不思議現象を次々と起こしてきた【風船飛行士】との戦いを見事制して、今回とうとう決勝戦だ。


 【風船飛行士】……あいつは、ゲーム内で満喫しながらスキルやアイテム、abilityを数多く隠し持っていた。

 案外、プレイヤーの中では一番俺にプレイスタイルが近かったのかもな。

 俺も【フィレオ】や【深淵顕現権限】みたいな独自の固有スキル、ミュー素材の鞭、ability【会者定離】を持ってるしな。


 だが、決勝戦の相手は俺と対極のプレイスタイル……というよりビルドのプレイヤー【釣竿剣士】だ。

 こいつはability【現界超技術】というリアルの超人的な剣術(?)をこのゲームに持ち込んできた文字通りチートプレイヤーに半分足を突っ込んでいる花飾りが似合う女の子だ。

 俺も包丁が似合う可憐な乙女としてプレイヤーたちに認知されているだろうし、ある意味双極か?

 (可憐な乙女として知られてなかったり、双極でなかったりする。)


 いや、知られてるって!!

 謎の天からの声を少しだけ反応して、あとは無視して進める。

 ともかく、リアルチートなあの花飾りの少女を倒すためには文字通り全力でいかないと勝てないだろう。

 間違っても一回戦の【ペグ忍者】との戦いのように、力の温存をしていれば負けるのは確実。

 万能の対応力を誇るらしい(【釣竿剣士】談)釣竿一刀流には、その万能さを越えられるような一点特化のような動きを心がけていくことになるだろうなぁ。

 

 最上の万能さに対してデメリットありの中途半端な万能さで対応しようとしても勝てるわけないからな。

 だからこそ、文字通り死ぬ気で勝ちに行かせてもらう。

 泣いても笑ってもこの決勝戦が最終試合だ!


 「そういうことです。

 この勝負、私が勝ってあなたをそろそろ本格的に【無限湖沼ルルラシア】のレイドボス攻略戦に引き込ませてもらいます!

 いえ、今までもそれなりにはやってくれていましたが……

 エリア名称を判明させて特殊ギミック1つ解除してくれていますし……」


 だろ?

 【釣竿剣士】は闘技場バトルフィールドに転送されてきてすぐに俺に向けてこう言ってきたが、たしかに俺はなんだかんだ貢献していると思うぞ。


 「そうかもしれませんが、モチベーションとても低いじゃないですか……

 モチベーションは生産プレイヤーの行動源、それをここで叩き治してあげますよ!」


 なんで……こうなった……???


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」


 まあ、お前ならそう返してくると思ったよっ、と!





 お互いに話の切れ目がなんとなく読めていたのか、ほぼ同時にフィールド中央まで駆け出し始めた。


 俺は包丁を上段で構えての突撃。

 それに対して、【釣竿剣士】は釣竿を一度ケースに戻して低めの姿勢で寄ってきている。


 あの行動、この姿勢……

 導き出される結果は一つしかない。


 「先手必勝です、釣竿一刀流【抜刀斬】っ!」


 手数が多いのは結構だが、今まで大盤振る舞いしすぎたようだぞ?

 その技が来ると思ってたぜ!


 俺は上段で構えた包丁を手前に出し、腹を向けてガードをする姿勢を取った。

 何度か見た技なので、軌道に合わせて包丁を置くくらいならなんとか出来るぞ!

 ……まあ、速すぎてかわすのは無理だが。


 「ふふふ、読めていたのは流石ですね!

 ですが、それでガードするだけなんて芸が無いのではないですか?」


 甘い、甘いぞ!

 砂糖を直舐めするよりも甘い考えだ、それは。

 俺が分かっている行動に対策を打ってないとでも?


 俺は包丁でガードしている手とは別の手をポケットに突っ込み、俺の生産プレイの賜物であるガラスケースを掴み、そのまま【釣竿剣士】にぶつけた。


 そして、ガラスケースがぶつかった衝撃で割れると爆発した。


 「こほっこほっ、爆弾ですか!?

 いや、火薬の香りがしないのはおかしいですね……

 いったい何が起きたんですか」


 くっくっくっ、これは拡散スイカの種爆弾だぁ!

 お前が常々言っているだろう?

 これくらいのかくし球を作るくらいは……


 「当然だろう?生産プレイヤーならなぁ!!!!」


 俺は追加でポケットにある別のガラスケースの中身を取り出し、驚きで口を開けている【釣竿剣士】の口のなかに無理やり突っ込んだ。

 美少女の口のなかに無理やり突っ込むのは……背徳感があっていいなぁ!!


 「んんんぐぐんん!?!?

 口から煙がっ!!??

 こほっこほっ、爆発の煙と合わせて喉が焼けるように痛い……です……」


 そうだろそうだろ!!

 これはケムリダケの魚肉ハンバーグだ。

 食べると、渇き状態と煙が出るという妨害アイテムだ。


 俺の生産プレイを甘く見てたな?

 普段見せてないだけで、まだまだ手札はあるってことを思い知っただろう!

 

 「くっ……けほっ……

 そうですね……ごほっ……

 生産プレイヤーなら……自分の既得権益を守るために情報を秘匿するのが……んんっ、当然ですよね!!

 そして、あなたの生産プレイ言われた通り、少々甘く見積もりすぎていたようです。

 ですが、かくし球があるのはあなたに限ったことじゃないですよ?

 釣竿一刀流【精霊穴球】!

 来てください、潤いの沼魚っ!」


 【釣竿剣士】は釣竿を振り回し、釣糸を宙で輪のようにすると、そこから魚が降ってきた。

 そして、【釣竿剣士】の身体に沼水のようなものを振りかけて帰っていった。


 これは……まさか……


 「ゲーム風に言うのなら……召喚術……のようなものです。

 このゲームだと、釣った魚の力を一時的に借りられる技です。

 本来現実では精霊のような存在から力を借りるためのものなのですが、ゲームで使うと少し勝手が変わっていましたね……

 こちらも悪くはないですけれど」

 

 つまりさっきの魚は?


 「水を出して、渇き状態を回復させてくれましたね。

 ただそれだけですが、この場ではそれでも充分でしょう?」


 ぐぬぬ、その通りだ……

 水を出せることを想定してなかったから、あれでかなり有利に立ったと思ったのに振り出しか……

 これは相当手札を切らされそうだ……









 やはり、このプレイヤーは……

 いえ、プレイヤー……?


 【Bottom Down-Online Now loading……】





アンケート第二弾です。








次元戦争のメンバーについてです。








是非コメントお願いします。









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