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909話 煽りペド

 「ふひひっ、スキル発動【想起現像】ぅぅ……

 さらにability【粉骨再身】……」


 緑髪の根暗女【骨笛ネクロマンサー】はスキル【想起現像】とabilityを同時に発動させてきた。

 それと同時に現れた【想起現像】の砂が骸骨となり行動を始めていく。

 今回の骸骨は……骨格の形と短剣を持っていることから【短剣探険者】骸骨だろう。

 

 それなら俺も一緒に前に出て【短剣探険者】骸骨と攻めに転じるか!



 「その骸骨はいつ見てもモンスターにしか見えないのらよ……

 でも、すぐに倒してやるのら!

 スキル発動!【暴虎馮河(ぼうこひょうが)】なのら!」


 【ペグ忍者】は鉤爪のようにしたペグから黄色いオーラが溢れ始めた。

 そのオーラは伸びるようにして鉤爪ペグを補強していく姿はまるで爪を研ぐ獰猛な虎のようだ!

 そしてまず先に【短剣探険者】骸骨を葬ろうとしてきたが間に俺が割って入り、俺の十八番である包丁の腹による受け流しで攻撃を凌いでいく。


 ……もちろん、このままではじり貧で俺がダメージを受ける未来はそう遠くないのだが、俺の後ろには優秀なバッファーがいる!



 「ふひひっ、【包丁戦士】さん待っていてくださいねぇぇ……

 スキル発動!【堕音深笛】ぃぃ……」


 【骨笛ネクロマンサー】は後方で骨笛に口をつけて演奏を始めていき、ガシャドクロのような形をした深淵の黒い霧で俺を覆っていく。

 骨に覆われるというのは何とも言い難い微妙な気持ちになるが、それでも全身から力が満ち溢れてくる。

 ふははは! これで【ペグ忍者】のスピードにもついていけるぞ!


 【骨笛ネクロマンサー】からの支援を得て調子に乗った俺は包丁で連続切りを繰り返し【ペグ忍者】に少しずつダメージを与えていっている。

 逆風、袈裟斬り、横凪払いっ!

 通るっ、通るぞ攻撃がっ!

 【堕音深笛】に使い手は何人もいるが、【骨笛ネクロマンサー】のバフはやっぱり格別だな!



 「単体でも厄介な【包丁戦士】しゃんがさらに厄介になったのらね!?

 補助用員が控えてるのは反則なのらよ~!!

 こうなったら出し惜しみなんて出来ないのら。

 スキル発動!【聖獣毛皮μ(ミューン)】!

 さらに続けてスキル発動!【虎月伝心】なのら~!」

 

 スキルの発動によって【ペグ忍者】の身体が紫混じりの白い装束に覆われていく。

 髪の毛の色も上書きされていき、装束同様に白色がメインでメッシュのように紫色の髪が少し生えている感じになった。


 そして、【虎月伝心】の発動で【ペグ忍者】がチュートリアル武器のペグを掴み、短い両手を上空に向けて掴んでいるペグにエネルギーを注ぎ込んでいく。

 そのまま白光が点滅しながら周囲から集まっていき、エネルギーがたまった頃に白光の粒子が拡散していったのだ!


 あれを食らうのはまずい!

 俺や【骨笛ネクロマンサー】のような深淵に染まったプレイヤーが聖獣のスキルを受けるのは致命的だからな!



 「ふひひっ、もったいないですけどとりあえず骸骨を犠牲にしますねぇぇ……

 スキル発動!【深淵顕現権限Φ(ファイヌル)】ですぅぅ……」


 【骨笛ネクロマンサー】は自ら呼び出していた【短剣探険者】骸骨を生け贄に捧げて身体を深淵の黒い霧で作り替えていった。

  【骨笛ネクロマンサー】は尻尾のような突起を身体に生み出した。

 そして、そのまま突起から蜘蛛糸を飛ばして俺共々後方へと引っ張り間一髪攻撃を回避することが出来た。



 「それは見たことのない【深淵顕現権限】なのらねぇぇ!

 非常に興味深いのらよ!

 【検証班長】しゃんが知ったら飛んで喜ぶのら!」


 そんなことを言いつつも周囲にペグを投げて【ペグ忍者】得意の陣地戦術……通称ワイヤー猫ハウスを形成して縦横無尽な動きで俺たちを翻弄し始めた。

 相変わらず動きがうるさいやつだ!

 


 「そういえば【包丁戦士】しゃんはこの戦術に負けたことがあったのらね!

 闘技場イベント一回戦負けの【包丁戦士】しゃん!

 今回も前と同じように倒してあげるのらよ~!」


 ピョンピョン跳ねながら俺を煽ってきている【ペグ忍者】。

 くそっ、人が気にしていることで煽ってきたな!?

 ……いや待て冷静になれ、あいつは俺を怒らせようと煽ってきているんだからそれに乗ってやる義理なんてない。

 ここは極めてクールに対応するべきだろう。



 「やーいぺったんこなのら~!

 後ろにいる【骨笛ネクロマンサー】しゃんから半分胸を分けてもらった方がいいのらよ~!」

 「ふひひっ、あてぃしですかぁぁ……!?」


 あぁん!?

 そういうお前もペドボディもぺったんこ! 貧乳どころかナイ乳じゃないか!

 人のこと言えたものかっ!?

 俺はこれ以上ないコンプレックスを刺激され完全に頭に血が上ってしまった、自分でもまずいと思いつつもこればっかりは止められない。



 「【ペグ忍者】はこの姿になりたくてこのゲームをやってるから問題ないのら~!」


 もー頭に来た!

 スキル発動!【深淵顕現権限P(エルル)】っ!


 俺は木陰に隠れていたモブプレイヤーをひっそり生け贄に捧げて深淵の黒い霧を生み出していく。

 そこに包まれ変質した俺の背中には、右側にだけ骨の翼が生えていた。

 

 スキル発動!【堕枝深淵】!


 俺は詠唱破棄してスキルを発動し黒い枝を【ペグ忍者】へと伸ばしていく。

 これで【ペグ忍者】を雁字搦めにしてやるぞ!






 だが、追い込まれたはずの【ペグ忍者】は不敵な笑みを浮かべていた。

 ……何故?


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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