表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

907/2207

907話 【バットシーフ】後輩と竜の秘宝

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 昨日はユニーククエストのためにプレイヤーキルしている最中、【荒野の自由】が乱入して来たので泣く泣く逃走したところで終わった。

 後で掲示板を覗いてみたら「【包丁戦士】ザマァw」とか「流石【荒野の自由】!」とか書かれていて、世論の流れをしみじみと感じてしまったのは秘密だ!

 ……いつものことだけどな。




 

 とりあえず、【荒野の自由】が来る前にポイントを稼がないといけないという制約がある以上、悠長にプレイヤーキルをやっていてはこの劣勢な状況から逆転することは出来ないだろう。

 つまり、非常に残念ながら今回はプレイヤーキルを避けて大将首を狙うしかない!

 そう、【オメガンド】か【プシーナク】の首だ!


 ただ、【プシーナク】は普通にレイドボスなので今のように包丁次元の戦力が二分割されている今勝ちにいくのは無理だろう。

 それなら狙うのは【オメガンド】一択となる。

 ただ、その【オメガンド】も元レイドボスというだけあって、スペックが激落ちした今でも強力な存在である。

 単騎特攻しても先に倒れるのは俺になるだろうからそれは止めておこう。



 そうなると打つ手無しなんだよなぁ……

 どうすりゃいいんだ……


 しばらく頭を抱えて玉座でうずくまっていたが、ここにいても仕方ないので新緑都市アネイブルのほのぼの市場に繰り出してきた。



 とりあえず【オメガンド】陣営っぽいプレイヤーを何人か倒して道端に切り捨てながら散策していくと、【バットシーフ】後輩が俺に向かって手を振りながら駆け寄ってきた。


 

 「先輩!

 昨日は大変だったみたいッスね……

 まさか【荒野の自由】に邪魔されるなんて御愁傷様ッス!」


 昨日の俺のことを聞いたんだな?

 俺と一緒に機戒監獄に投獄された【バットシーフ】後輩は【荒野の自由】にびびっているんだろう。

 少し血の気のない顔をしていた。

 明日は我が身ってわけだ!


 お前こそ調子はどうなんだ?

 ポイントはきちんと稼げてるのか?


 たまに頼りない【バットシーフ】後輩を心配して現状について聞いてやった。

 すると、【バットシーフ】後輩は浮かなそうな表情で俺に胸の内を打ち明けてきた。


 

 「実は前に先輩と協力して盗み出した竜の秘宝があるじゃないッスか、俺の使い道に悩んでるッスよね。

 今回のイベントで役立つこと間違いなしなんッスけど、使い道が多すぎて俺っちじゃ決められないッス!」


 あー、そういえばきちんと盗めてたんだな。

 俺がこのユニーククエストの引き金を引いた甲斐あってきちんと自分の仕事はやり遂げていたようだ。

 流石は窃盗にかけては右に出るものはいないと俺が認めるだけはあるぞ!


 それで、【バットシーフ】後輩が悩むほど使い道のある竜の秘宝とは一体どんなものなんだろうか。



 「色々選べるみたいッスけど、俺っちたちで使えそうなのは竜を強制テイム出来るようになる服従権とか、【竜鱗図冊】無しでも竜人に種族転生出来るようになる権利とか、竜人の持つスキルを一つ選んで全体解放する機能みたいッス!

 他にも色々とあるみたいッスけどどれもリソースみたいなのをかなり使う上に、俺っちたちのスペックを参照して使える機能が制限されるっていう悩ましいものッスね……」


 【バットシーフ】後輩は手元に呼び出したウインドウ画面を操作しながら俺の問いに答えてくれた。

 どうやら使う機能はウインドウ画面で選べるらしい。

 だから一度も使ったことのない【バットシーフ】後輩でもどんな機能があるのかや仕組みについて簡単に把握できているのだろう。


 それにしても中々ぶっ飛んだアイテムだな?

 【オメガンド】が隠し持っていただけあってかなり有用なアイテムなんだが、これまで【オメガンド】がこれを使ったことはないだろう。

 あいつの性格からしてリソースをケチってひたすら備蓄していたっていう線があるからな!


 

 「それで、先輩ならこれをどう使うのか聞きたくて来たッス!」


 そうだな……

 【バットシーフ】後輩が問題ないならこれを俺に譲ってくれないか?

 俺にいい考えがある。



 「なんだか不安になるフレーズッスねそれ……

 序盤で躓きそうな使い方とかは止めて欲しいッスよ」


 それは保証しかねるな……

 何せ成功するかどうかも不明な賭けに出ようとしてるんだからな!

 失敗すれば敗北は必至、成功すれば勝ちに大きく前進出来るハイリスクハイリターンなものだが、これくらいの大博打を打たないと今回のユニーククエストでは勝てないと俺は見ている。


 

 「それなら分かったッス……

 でも、終わったら返して欲しいッスね!」


 ……善処はしよう。





 悪足掻きは止めましょう。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ