903話 より深き処に
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【豺ア豺オ讖滓ァ九?驍ェ逵シ蜒紹】
レア度:髑大ョ壻ク榊庄閭ス
品質:繝ャ繧、繝臥エ
耐久度:1000000000000/辟。驥丞、ァ謨ー
髢狗、コ諡貞凄。
これを視れたこと、その事実が次なる深みへの到達権となる。
さあ、堕落せよ。
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なんか、前に次元戦争で見た鑑定機能表示が出てきたんだが色々とツッコミたいところがある。
まず文字化けだな。
鑑定表示が出てきたのはいいが、重要なところがほとんど読み取れないのである。
なんという無意味な文字の羅列なんだ……
解読出来なければこの鑑定結果に意味は見出だせない。
それと耐久度の異様な高さが気になる。
数値表記がある以上攻撃し続ければ破壊出来るはずだが、気が遠くなるので止めておこう。
どうせこのプレイヤーに人権の無いゲームのことだ、即時回復能力を秘めた像だと言われても信じれるぞ!
ゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】の性格からして、平然と実装している可能性は非常に高いしな。
この辺は今の俺にはあくまでフレーバーテキストとして役に立たないものだが、唯一読み取れたものは俺がこの先に進むための資格についてだ。
つまり、このフレーバーテキストを見た時点でさらに深部へと進むことが出来るってことだな!
……だが、資格を得たのはいいもののここから先どうすればいいのかは不明なままだ。
仕方ないので邪眼像を改めて観察してみることにした。
……やはり不気味な眼球だな。
こんな趣味の悪い像を作るなんて深淵種族の感性はイカれてるとしか言いようがないぞ!
そんな感想を抱きながらもじっくり見ながら情報を整理していると気がついたことがあった。
眼球を模した像ということもあって、その瞳が向けられているのは一点だけなのだ!
そちらの方を眼で追っていくとさっきまでは見えなかったデバフサークルのようなものが発生していることに気がついた。
少し遠い場所にあるから気がつかなかったという点もあるが、理由はそれだけじゃないだろう。
俺が【深淵纏縛】で重ねたアルベーの深淵細胞のお陰で見えるようになった……というところだろう。
そんなデバフサークル擬きに近寄ってみると、そこには底無しの穴が空いていた。
俺が設置した赤色の枝を貫通して下へ伸びるその穴は、真上から見ても底に何があるのか見通すことが出来ない。
こんなところ降りるなんてとんでもない!
命がいくらあっても足りないぞ!?
……とでも言うと思ったか?
そんなの無視して降りてやるぞ!
資格はあるって担保をもらったんだから躊躇う必要なんてないからな!
イヤッッホォォォオオォオウ!!!!
俺は辺り一帯に響き渡るほど大声で叫びながらその底無しの穴へと落下していったのだった……
【個人アナウンス】
【【深淵奈落ー深層 エルルイエ】への到達を確認……】
【【深淵奈落ー深層 エルルイエ】へのログインが可能になりました】
【【包丁戦士】に称号【より深き処に魅入られし者】を付与しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が93になりました】
……とうとうたどり着いたか深層!
ここに来て階層の命名法則から少しだけ外れてきたが、終着点としてはある意味納得できるネーミングだった。
やっぱりルル様と見た目似てるから、デザインの参考にあの神話が利用されていたのだろう。
……まぁ、他の神話との混じりも多く見られるので純粋に参照されているわけじゃないけどな。
さて、苦労してたどり着いた【深淵奈落ー深層 エルルイエ】だが、辺り一面が緑色の茨で埋め尽くされており全く身動きが取れない状態となっている。
俺自身も上から下に堕ちてきた勢いで茨と茨の狭間に潜り込んでしまったので、ここから再行動するのは絶望的だ。
手足が茨に絡め取られているので、俺はただそこにいることしか許されていないのだ!
これが【深淵奈落ー深層 エルルイエ】の試練ってわけか。
ルルインやルルナティックでも俺に色々なことを強いてきた深淵奈落だが、とうとう何もさせてくれない状況からスタートすることになるなんて……
来るところまで来たという実感が湧くな!
あー、くそうっ!
相変わらずのボトムダウンオンラインクオリティだよっ!
カッカッカッ、楽しんでおるようだのぅ……
よもやここまで到達するとは思っておらなんだが、随分と我に面白いものを見せてくれるではないか!
これでこそプレイヤーに構う価値があるというものよ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】