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895話 海の引き際

昨日は二話更新しています!

前の話を読んでいない方はそちらからどうぞ!

 さて、魔海城船アンサンセで【金剛島海域エイプモンド】の海上を彷徨う俺とボマードちゃんだが、【深海造船所】で簡単なボートを作ったモブプレイヤーたちを時折追い抜かしていくくらいで特に目ぼしいものは見つかっていない。



 「思ったよりもこの海エリアって何もないんですね!

 いや~、てっきり海のモンスターが襲ってくるくらい思ってましたよ~」


 ボマードちゃんの言う通り、このプレイヤーに人権のないゲームにしては確かに平穏な時間が過ぎていっている。

 むしろ何も無さすぎて不安になってくるほどである。

 このゲームでは特殊な事情がない限りプレイヤーは常に苦境に立たされるのだが、この海域では今のところそんな苦境に立たされていない。



 「とは言ってもレイドボスは【トンカチ戦士】さんたちが倒してくれた後ですからね!

 いや~、楽できて助かりますよね~」


 そういえばそうだ。

 俺が倒したわけじゃないから実感は薄いが、このエリアは苦境を乗り越えた後だったな。

 それならこの平穏な雰囲気も納得できるぞ!

 なんだかんだレイドボスさえ倒してしまえばプレイヤー環境を構築できるということはこれまでのエリアが証明しているからな。

 ここもそのうちプレイヤーたちによる増改築が行われていくのだろう。



 「でもこの海って見た感じかなり広いですよね?

 いや~、どこまでが【金剛島海域エイプモンド】の範囲なんでしょうか?」


 ……それは俺にもわからん!

 俺は海エリアに詳しいわけじゃないからな!

 このエリアで過ごした時間は海水浴を少ししたくらいで、言ってしまうのならば観光客レベルだろう。

 今も目的地なんて無くただ漂流しているだけだ。



 「それならもしかして他の海エリアにこのまま出ちゃう可能性もあるんですよね!

 いや~、楽しみですね~!」


 そんな嫌な想像させないでくれ……

 確かに海のどこかで繋がっている可能性は高いが、そうなるとそこからは安全圏じゃなくなるからな!

 


 「それってどういうことなんですか?」







 【Raid Battle!】


 【荒波鏡面の海月】


 【レイドバトルを開始します】





 ……ほら、噂をするからっっっっ!!!



 「ええっ、私のせいですか!?

 いや~、言いがかりじゃないですか!」


 ボマードちゃんが話題に出した途端、俺たちは別の海域に突入してしまったようで新たなレイドアナウンスが脳内に響き渡り始めた。

 その怒りをボマードちゃんにぶつけるべく、ボマードちゃんの背後に回り込むとその小さな身体に不釣り合いな巨大な胸を揉みしだいていく。

 俺の手に収まりきらないほどの肉厚感が両手に伝わってくるため、荒ぶった俺の精神が次第に鎮まっていった。



 「んっっ、あっ、ちょっ、ほっ【包丁戦士】さん!?

 いや~、いつも激しすぎますよ~!?

 海の上で周りに誰もいないからって全く遠慮無しですね~!

 まぁ、そういう【包丁戦士】さんが好きなんですけど!」


 というわけでボマードちゃんの力(?)で落ち着いた脳内で考えを纏めていく。

 レイドアナウンスこそ流れたが、肝心のレイドボスの姿が見えないのでおそらくは【ウプシロン】タイプの……このエリアに入った瞬間レイドバトル扱いになるエリアなのだろう。

 

 もしかして釣らないとダメなのか!?



 「そうだったら【釣竿剣士】さんの出番ですよね!

 いや~、あの巨大な【ウプシロン】を釣り上げられたんですからどんなレイドバトル相手でも釣り上げられそうですね~」


 あのリアルチート異世界人の【釣竿剣士】なら割と簡単にやり遂げてくれそうだ。

 それと倒せるかどうかは別の話になってくるが、海中で戦うのと海上で戦うのでは戦いやすさが段違いだから無関係ではないだろう。

 ちなみに【ウプシロン】を釣り上げた時は【釣竿剣士】にヘイトが集まる特殊動作をしていたから、何かしらの反応はありそうだ。


 でも、海月(クラゲ)を釣り上げるってどうなんだろうか?

 魚しか釣ったことがないのでその感覚はよく分からないんだが釣れるんだろうか……

 その辺は【釣竿剣士】に今度会ったら確認してみるしかなさそうだ。



 「それでどうしますか?

 いや~、このまま進みます?」


 ボマードちゃんが上目遣いで俺に聞いてきたが、このまま進んだとしても俺たちでレイドボスを突破するわけでもないので、進むのは漂流地を他の連中が見つけた後でもいいだろう。

 せっかくの船だが、流石に二人で進むのは無謀だし効率が悪い。 

 今回は処女航海という記念で二人で来ただけなのだから、大人しく引き下がろう。



 「そうですね。

 いや~、ログイン時間もギリギリだったので【花上楼閣】を使うのか悩みましたけど【包丁戦士】さんが戻るなら私も戻りますよ!

 私一人で進めるとは思えないですし、【包丁戦士】さんが側にいないと物足りないです!」


 そういうわけで今回はここでログアウトすることとなった。





 もっと進んでくれても良かったカニよ!

 当方たちのエリアにプレイヤーが増えて嬉しいカニね~!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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