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893/2203

893話 魔王の棲家

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 昨日は新緑都市アネイブルの天子王宮から海エリアまで大量の素材を運んでいたが、クラン【紅蓮砂漠隊】の保有する紅蓮戦艦に積み込みをしたところで時間が無くなってしまった

 なので、そこから【金剛島海域エイプモンド】の【深海造船所】までは【バグパイプ軍楽隊員】に任せて俺はログアウトしたところで終わっていた。






 というわけでやって来ました【金剛島海域エイプモンド】の【深海造船所】!

 ここには俺が輸送を依頼した素材が山積みされていたがそれに近づこうとするプレイヤーはいなかった。

 その原因はとある一人のプレイヤーがここで見張りをしていたからだ。

 そのプレイヤーとは……



 「あなたのお願いならできる限り協力しちゃうわよ!

 ユニーククエストだとクランの関係で敵対することが多いから申し訳ないと思ってたのよ、だからちょうどいい機会ね。

 ちなみに、【バグパイプ軍楽隊員】は今日はログインしてないから私が対応するわよ」


 【虫眼鏡踊子】だ!

 俺の頭を上から撫でながらそんなことを言う【虫眼鏡踊子】だが、俺を妹のようなものだと思っているらしく妙に距離感が近い。

 だが、そのお陰で今回【バグパイプ軍楽隊員】も含めて全面協力してくれる流れになったんだから儲けものと思っておくことにした。


 この【虫眼鏡踊子】はクラン【紅蓮砂漠隊】のメンバーから姉御と呼ばれて慕われているので、そんな人望のあるプレイヤーが見張りをしているところに割り込んでくるやつが現れないわけだ。

 俺との圧倒的人望の差を感じてちょっと悔しいぞ!



 「それでこんなに大量の素材をどうするのかしら?

 大型の船を作るのか、小型の船をいっぱい作るのかで話は変わってくると思うわ」


 

 俺が作ろうと思っていたのは受付で確認した中でも特に突拍子もないものだ。

 流石にゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】もこれはネタで仕込んだだろうというやつだ。

 

 

 「えっ、それってまさか……

 【包丁戦士】ちゃん嘘でしょ!?

 アレに手を出すっていうの!?」


 一番始めにここを解放して一覧に全て目を通していたであろう【虫眼鏡踊子】だからこそ気づいて驚いてくれたのだろう。

 その通りだ!

 俺が選ぶのはこれだぁぁぁぁぁぁぁ!!


 そうしてウインドウ画面に指を当てると、【深海造船所】の外で急速で何かを作り上げる音が響き始めた。

 他の船はこの【深海造船所】の中で作られているのだが、俺が依頼した船は特別に外で作られているみたいだな。

 

 

 「ちょっ、ちょっと外に出て見てみようかしら!

 これ、絶対面白いことになってるわよ」


 奇遇だな俺もそう思う!

 俺と【虫眼鏡踊子】は興奮を隠すことなく外へと駆け出していった。

 そして外に出た俺たちの視界には驚愕の光景が繰り広げられていったのだ!




 

 そこにあったのはまるで海上に浮かぶ城だった!

 俺が用意した素材たちが急速で目減りしていき、その城がほぼ完成というところまで来ていたようだ。

 まだ未完成ではあるが、海上に浮かぶ城というのはフランスにあるモン・サン・ミッシェルを思わせる絶景と言えるだろう。

 ……まぁ、モン・サン・ミッシェルは城ではないんだがあくまでイメージの話だ。



 「これ、あなたが作った船……で合ってるわよね?

 船というより城よね?」


 そう、これが俺の作った船である。

 俺も城にしか見えないが、システム的には船カテゴリーらしいので船と言い切るしかない。

 圧巻のサイズ感だが、船というだけあってきちんと海上を動く。

 


 「それはいいんだけれどモン・サン・ミッシェルに例えた割に、この城禍々しいわよ!

 【風船飛行士】とこの前やったRPGでもこんな感じの魔王城が出てきたわね……」


 ほう、魔王城とは言い得て妙だな。

 作った船に名前をつけられるようだし、せっかくだから魔王城っぽいのをつけてみるか!

 


 「参考までに……もう知っているでしょうけど私たちのクランが作った船は紅蓮戦艦という名前にしたわよ。

 【トンカチ戦士】の発案だけどシンプルで悪くないでしょ?」


 無難に格好いいな。

 【トンカチ戦士】というのは聞いている限りでは自分の感覚をストレートに表現するタイプだから納得のネーミングである。


 そうなると俺も自分のことを表現したいが、魔王城と組み合わせるとなると……

 うん、これだな!


 「魔海城船アンサンセ……これに決まりだ!」






 なんという自虐的ネーミングカニ!

 でも面白いプレイヤーカニね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] どんな意味なのか検索してみた。いいのかその名で、、、
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