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891話 深海造船所の幕開け

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日はさっそく【深海造船所】とやらを見に行こうじゃないか!

 場所は不明だが、多分あそこだろうという目星はつけてある。






 というわけでやってきました海エリア……【金剛島海域エイプモンド】。

 この無人島周辺にいたレイドボスなんだからこれまでの例からしてここに造船所があると予想して来てみたのだ。


 そしてその予想は合っていたようで、無人島には不釣り合いな工業地帯が設営されていた。

 外にいてもプレイヤーの喧騒が聞こえるほどだが、思ったより混んでないな?



 「そりゃここが海のど真ん中の無人島だからだろ。

 俺たち【紅蓮砂漠隊】みたいに船を持ってないやつは普通来れない場所にある。

 それでも来るやつはよほどの物好きか、お前のように狂人のどっちかだろ」


 外から【深海造船所】を見ていた俺に声をかけてきたのは前の次元戦争でも共闘した【バグパイプ軍楽隊員】だ。

 数少ない【堕音深笛】の使い手で、クラン【紅蓮砂漠隊】に所属している実力者だ!


 俺のことを嫌っている素振りを見せているわりに、やけに絡んでくるな?

 もしかして俺に惚れたのか?

 俺は可憐な乙女だから惚れてしまうのも無理はないから気にするなよ!

 ……と、そう茶化してやると少し顔を赤くして慌てた様子を見せながら反論してきた。



 「ばっ、馬鹿を言うな!

 お前のような狂人はこちらからお断りってものだ。

 確かに見た目がいいのは認めてやるが、思考言動が破綻してるやつと行動を共にしてたら俺の身が持たない……

 それに【虫眼鏡踊子】の姉御みたいな人が好みだから狂人はノーサンキューだ」


 こいつ、前も俺の見た目を誉めてたしやっぱり惚れてるだろ……

 でも自分から否定した手前素直になれないってところだな?

 可愛いやつめ。



 「ま、そんなことは置いておいてだな……

 狂人がここを勝手に荒らし回るのは迷惑だから手短に俺が直々に説明してやるよ。

 せっかくの【深海造船所】がすぐ壊れたら、リーダーの【トンカチ戦士】さんも流石に泣くだろうから避けたいんだよ……

 そっちの方が効率もいいし、お互いにWin-Winだろ?」


 俺はどっちでもいいぞ?

 ただお前に聞けば手っ取り早そうだからそれに乗ってやるか。

 実はそんなこと言って俺とデートしたいんだろ、んん?



 「狂人、お前面倒くさいぞ……

 お前のクランメンバーはよくお前に付き合ってくれてるよな?

 狂気の一部しか見えてないこの段階で既にこの面倒くささって、普段からついていっているメンバー全員の正気を疑うレベルだぞ」


 それはわりと失礼な話だな。

 ……まぁ、俺のクランメンバーたちがおかしいのは否定しないけど。

 どいつもこいつも一癖も二癖もあるからなぁ。



 「……じゃ、案内するからついてこい」


 俺の言葉を半ば打ち切る形で【バグパイプ軍楽隊員】は【深海造船所】の中へ入ってしまった。

 お、おい待てよ~!





 

 「ここが【深海造船所】の受付だ。

 この海に出るために必要な自分の欲しい船を作るための注文ができる。

 どうやらここから先に進むには特殊仕様が必要らしいから、準備はしておくべきだな」


 造船所というだけあってちゃんと船を作ってくれるんだな。

 ウインドウ画面に表示された船を見てみると少量の木材だけを使ったボートから、豪華客船のようなものまで用意されていた。

 他にも色々あって、見ているだけで時間が溶けそうなラインナップだ!


 だが、このゲームのことだから対価無くして作ってくれるようなことは考えられない。

 となると割に合うかどうかが鍵になるが……


 

 「察しが良いな狂人。

 素材は自分で集めてこないとダメだ。

 このゲームはアイテムボックス機能がないことも考えると……後は分かるな?」


 つまり、本土からこの無人島に海を超えて素材を持ってくるか、あるいはこの無人島で素材を集めきるしかないってわけだ。

 


 「そう、『素材を自分で集める』というのは言うだけなら一言で済むことだが、その実手間やコストがかかり過ぎて非常に面倒だ。

 俺たち【紅蓮砂漠隊】みたいに超大規模船があれば話は別だが」


 

 ……そういえばお前たちは生産イベントの時に作成済みだったか。

 でも、深海仕様じゃないとこの先に進めないのならあくまで素材運搬用か?



 「そうでもないらしい。

 この【深海造船所】はカスタマイズ機能もあるから、これまで作った船に深海仕様を追加も出来るらしい。

 ゼロから作るのに比べるとコスパは落ちるらしいが、その分必要な素材は減るし好きなデザインに出来るのがやり込み要素の一つかもしれないな。

 狂人はこういうの好きなのか?」


 うーん、どうだろうな。

 実際に作ってみないと何とも言えない。

 ただ今後のためにも最低限だけでも作っておく必要はあるから地道に素材を集めてストックしておくか。



 ……いや、そういえば【紅蓮砂漠隊】の船があったな!

 ふふふ、利用できるものは利用してやろう…… 


   





 目を離すと直ぐに悪巧みを始めるとは……

 全く、これだから劣化天子は……

 

 【Bottom Down-Online Now loading……】

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