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886話 恋するボマード

 「では大トリといきましょうか。

 底辺種族ボマードの登場です」



 「今日最後の出番が私なんて皆さんラッキーですね!

 いや~、ボトムダウンオンラインアイドルとしての年季を見せつけちゃいますよ~!」


 

 そういうボマードちゃんは普段は痴女と見間違うようなタンクトップを着ているのだが、アイドルとして活動する時は衣装を着替えてきている。

 今日は……ピンク色のミニスカに白いフリルのついたまさに正統派可愛いアイドルという衣装だな。

 意外性で勝負するのではなく、あくまでも自分のアイドルとしての力を信じてのことだろう。


 いつも謎の自信を持って玉砕しているボマードちゃんだが、今日に限ってはその自信と実力が伴ったものになっていると言っても過言ではないぞ!

 

 

 「私が今回歌うのは、大好きな貴女に向けた新曲です!

 いや~、今回のイベントのために必死に仕上げて来たんですから何処かで見てくれているといいんですけど……

 曲名は【Abyss Princess】です!」


 ……曲名からして嫌な予感しかしないが、とりあえず自信満々の新曲とやらを聴いてやろうじゃないか!

 そう意気込んだ俺だったが、曲を聴くにつれてその決意が消えていきそうになるのだった。

 その理由は歌詞にある。



 「貴女の瞳に宿る、蒼き狂気に惑い~」


 「甘い誘惑に溺れ~、私は闇に堕ちるぅ~」


 「今ぁっ、深淵のぉっ姫とぉっ、一つになるぅぅぅ~~っっっ!!!」


 うわゃぁっ!?

 出たよボマードちゃんの俺へのラブソングシリーズ!?

 これまでも何曲かあったのは聴いたが、まさかこんな大舞台での新曲で俺への愛を伝えに来るとは思わなかったな……

 流石の俺も恥ずかしいぞ!


 


 そして、このフレーズと共にボマードちゃんはあらかじめ近くに待機させていたスタッフたちを生け贄に捧げて【深淵顕現権限Ж(ジェーライト)】を起動し、お尻から粘液を滴しながらうねる漆黒の尻尾を生み出した。


 可愛らしいアイドル衣装のスカートがめくり上がりそうになっているが、尻尾を生み出す前提の構造だったからか絶対領域を見せない調整がされていたらしい。

 それで、見えそうで見えない……チラリズムの臨界点を演出しているのだ!


 あくまでも清純派という意識は欠かしていないのは流石だな。



 「堕ちた私とその先へ~」


 「落ちる落ちる深き奈落~」


 「あぁ~もう後戻りできない~恋なのに~」


 「戯れのように私をはぐらかす~」


 「貴女はどうして振り向いてくれないの!」







 「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ~!!!」」」」」


 ボマードちゃんのライブが終わると、観客席からこれまでとは比較にならないほどの歓声が沸き上がってきた。

 会場全体が地震で揺れたと錯覚してしまうほどの力を感じるほど、熱量があったということだ!

 スキルなどを使ったもののあくまでも控えめに、自分を引き立てるように使っていたのが印象的だったぞ。



 「ふむ、これは底辺種族の可能性を感じますね。

 私のような上位AIであってもここまで観客の心を掴むのは難しいでしょう。

 プレイヤーの心が一番わかるのはプレイヤーそのものですからね。

 これはスキルでもabilityでも再現出来ない、努力の賜物と言えるでしょう」


 【うーん、まぁ、よかったんじゃない?】


  

 【菜刀天子】がやけに絶賛しているのに対して、【山伏権現】は微妙な反応を示している。

 こいつ……本当に人の心があるのか?

 AIの【菜刀天子】の方がまだ人に近い気すらしてくる反応だぞ……



 「おや、今回は投票が早かったですね?

 それでは結果発表です」


 

 観客席ー    80

 【菜刀天子】ー 10

 【山伏権現】ー  0



 「というわけで合計90点!

 文句無しの一位ですね」


 【そう、だね……?】


 「それでは優勝者である底辺種族ボマードに称号【神聖なるトップアイドル】を付与します!

 また、二位以下のグループのメンバーたちには称号【聖なるアイドル】を付与しました」


 【【聖なるアイドル】は聖獣の好感度が上がりやすくなる称号だね。

 これはセットしていなくても効果がある称号だから持っていて損はないかな!

 そして、【神聖なるトップアイドル】は【聖なるアイドル】同様に聖獣の好感度が上がりやすくなる効果と、それとは別にもう一つ効果があるよ!

 今後の面白い展開のためにあえて内容は伏せさせてもらうけどね】



 聖獣の好感度補正のある称号か……

 セットしなくてもメリット効果が発生するなら儲けものだ!

 ありがたくもらっておくとしよう。


 

 「これにて【【菜刀天子】P(プロデューサー)のアイドルフェスティバル】は閉幕です。

 担当は偉大なる私【菜刀天子】と」


 【ボトムダウンオンライン運営プロデューサーの【山伏権現】がお送りしました】


 【「それではまたの機会に!」】





 【個人アナウンス】



 【イベント報酬を配布します】


 【【包丁戦士】が称号【聖なるアイドル2位】を獲得しました】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が91になりました】


 【【聖なるアイドル衣装】が贈呈されました】






 


 なんとか円満に終わりましたね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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[一言] 判断基準がイマイチ分からない(´・ω・`)
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