884話 天下無双の【ツインドラゴンズ】
昨日は2話投稿しています。
まだ読んでいない話があればそちらからどうぞ!
「さて、次のグループに進みましょうか。
次は【ツインドラゴンズ】……【短剣探険者】と【ブーメラン冒険者】の二人組の登場です。
どうぞ!」
【双子特有のパフォーマンスを見せてもらいものだね】
「私たちの出番みたいだねっ!
さっきの人たちよりは高い点を狙っていくよっ!」
「さっきのライブで1点とか2点って流石に厳しいヨ……
私たちでどれだけ頑張れるか分からないけど、やれるだけやってみるヨ!
だから応援ヨロシクネ!」
「「私たちが歌うのは【双竜伝説!】」」
「「それではどうぞ!」」
「天から現れたその竜はっ!」
「地に伏す竜と合いまみえ~」
「「その宿命を~知る~!」」
「天駆けっ!」
「地を割き~」
「「さあ、激突の時~!」」
【ブーメラン冒険者】は左肩に、【短剣探険者】は右肩に竜の意匠の飾りがついたスーツのような衣装を着て踊っている。
普段二人は野山を駆け巡るために動きやすいスポーティーな衣装を来ているが、それとは真逆の格式高そうな雰囲気だな。
だが、衣装のいたるところにフリルのような優しげなものが
そのせいか普段よりもカッコいい感じと可愛い感じだ。
スポーティーな【短剣探険者】や男の娘の【ブーメラン冒険者】の両方に似合う衣装を作り上げてきたのは流石だな。
【冒険者の宴】に腕のいい裁縫師でもいるんだろうか?
完成度はそれくらい高いぞ!
【ライブお疲れ様だったね】
「観客席の投票が終わるまで感想でも伝えましょうか。
私視点ではダンスが良かったですね。
観客席の底辺種族たちが期待していた通り、双子という特性を活かした左右対称なきっちりとした演技でした」
【菜刀天子】は【フランベルジェナイト】たちのライブを見たあとに言っていたように、純粋にライブの完成度を見ているようだ。
良くも悪くも評価をそこだけに絞っているようで、スキルやabilityなどゲーム特有の要素については省いて現実に即した評価をするのだろう。
ゲームの中の存在であるAIにしては現実で生きる俺たちに寄り添ったものだろう。
【abilityの使い方も良かったね。
【天地逆転】と【天手古舞】の使い方も上手いし、これには【オメガンド】も【プシーナク】も舌を巻いて驚くだろうさ!
戦闘ならともかく、ダンスで利用するなんてレイドボスのAIには無い思考回路かな。
やっぱりプレイヤーに機能を落とし込むと面白い発見があっていい、底下箱庭計画の醍醐味かもしれないね】
【山伏権現】はさっきからabilityについて触れているな。
これが得点の鍵なんだろうか……?
だが、【釣竿剣士】がability【現界超技術】を使っていた時には一点だったし……
いや、それはまだ今回の評価を見ればわかるだろう。
ability【現界超技術】は別枠っぽいからな!
あと、今回のイベントには関係無さそうだが気になるワードが幾つかあったぞ。
ability【天地逆転】と【天手古舞】について触れている時に、【オメガンド】と【プシーナク】という名前に触れていた。
【オメガンド】がレイドバトルの時にability【天地逆転】を使ってきたのは知っているが、【プシーナク】という存在については全くの初耳だ。
……話の流れからすると、この【プシーナク】というやつはレイドボスでability【天手古舞】の所有者ということなのだろう。
思わぬ情報が手に入ったのは嬉しいが、そもそもレイドボスがabilityを使ってくること自体異例のことで、これまでも【オメガンド】しか使ってないから使い道は少なそうだ。
それに、【プシーナク】というやつがこの次元で生存しているのかどうかも不明だ。
何せ、データ上存在しているレイドボスでも次元によって生き残っているレイドボスが違うからな!
もしかすると、俺たちが一生邂逅する可能性がない場合もあり得る。
そして、一番不穏なワードは底下箱庭計画というものだ。
キナ臭過ぎだろ……
「面白い」ことが好きな【山伏権現】がただのオンラインゲームをやるとは思えない。
このボトムダウンオンラインに何かを求めていてサービスを開始させたんだろうが、それが底下箱庭計画なのだろう。
箱庭計画ということはオンラインゲーム下での閉鎖環境実験を暗示してそうだけど、次元ごとの動向のサンプリングでもしてるんだろうか?
それともそれとは別の何かなのか……?
俺がそんな思考を巡らせていると、どうやら採点が終わっていたようだ。
観客席ー 71
【菜刀天子】ー 1
【山伏権現】ー 2
「合計74点です、惜しかったですね」
「個人的には【恋愛一直線】より面白かったのだけれど、君たちはもう少し派手なものが好きだったみたいだね」
「あー、残念っ!
結構いい線行ったと思ったんだけどねっ!」
「私たちもまだまだ精進が足りなかったみたいダネ。
次があったらこの上を目指すヨ~」
【ブーメラン冒険者】も【短剣探険者】も残念そうではあるが、不満はないようだ。
今回のライブで全力を出しきったからだろう。
潔くて観客の好感度もうなぎ登りだろうな。
さて、次は俺たちの出番か……
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