879話 おじょーさま
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
さて予選期間3日目だが、思ったよりも手応えがあるな。
このまま行けば本選には進めそうではあるが、こういうイベントは毎日参加がランクインの基本だ!
油断して一日でも活動できなければ滑落する未来が容易に想像できるので、油断せずにいくぞ!
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
ここではクラン【お屋敷組】のメンバーたちが代わる代わるライブをしているようだった。
もちろん他の連中も間に入ったりしているのだが、【お屋敷組】は勢力が大きいクランということもあって一つの会場に全員が集まってしまえば自然と寡占状態になってしまうのだ。
まあ、それでも俺はやるけどさ。
『集まってくれたみんな~ありがと~☆
今日も可愛いあたし【ツバタ】と、こっちのカッコいいお姉さんの【クロユリ】の二人でライブをしていくよ~☆』
「我輩たち【ユニフラワー】に歌に陶酔し神格的悦楽を感じ取るのだ!
ククク、漆黒闇の境地の一端をお前たちに見せてやろう!」
『それでは聞いてください☆
今日の一曲目は【暗闇の純情】~☆』
ーーーーーーーーーーーーーー
ワタクシ【トランポリン守兵】がこの堅牢剣山ソイングレストでライブを終えた後、休憩しながら【お屋敷組】のメンバーたちのライブを観客席から見ようと思っておりましたが今ライブをしているのは見慣れないプレイヤーたちのアイドルグループでしたわ!
一人は白髪の可愛らしい天使のような少女で、ワタクシ好みですわね。
もう一人は黒髪長髪のモデルのように背の高い大人の女性でしてよ!
こちらの【クロユリ】様は言動からしても怪しい感じですが、お連れの【ツバタ】様の愛らしい性格がそれを中和していて思わずこの二人の組み合わせに感心してしまいましたわ!
「包まれた~誰にも見せないの不可視の心っ!」
『解き放ち~あなたに魅せる剥き出しの純情ぉ~☆』
『「さあ、故意に焦がれてゆけ~」☆』
歌唱力は【クロユリ】様が圧倒的に上手いですわね!?
ワタクシがこれまでリアルでコンサートに行った際にもここまで心を動かせる歌を歌える人を見たことがありませんわ……
なんて恐ろしい人っ!?
ダンスは【ツバタ】様が目を惹きましてよ!
小さな可愛らしい見た目に反してアクロバティックな動きでステージ中を駆け巡り、観客席へと全身で愛嬌を振り撒いていく様子に【お屋敷組】のメンバーの中にも心を鷲掴みされた様子の殿方たちが多くおりましたわね……
気持ちは理解できますが、頬が緩みすぎでしてよ!
ワタクシのライブの時よりも夢中になっているのを見ると、少しジェラシーを感じてしまいますわね……
ワタクシもあのように小動物のような可愛らしさがあればもっと多くの人に振り向いてもらえたのでしょうか?
(おほほほほ!
あのような者のことなど無視しておけばいいのですわ!
媚びるだけの低能な存在は見ているだけで虫唾が走りましてよ!)
ワタクシが取り込んだ深淵細胞から生まれ出た【アルベー】様の意識がふとワタクシに話しかけてきました。
少々当たりの強い喋りですが、ワタクシのことを気遣って話しかけてきたに違いありませんわ!
宿主であるワタクシに対しては少しだけ優しくして下さるので、時折励まされておりましてよ!
そうしてライブが終わると、会場が沸き立つほどの拍手が【ユニフラワー】の二人……【ツバタ】様と【クロユリ】様へと送られました。
本当に、見事なものでしたわ……
ワタクシも十分に堪能させていただきましたので、本来なら同じクランのメンバーの誰かに使うつもりだった投票券をこの【ユニフラワー】に使わせていただきますわ!
この熱演を見たメンバーたちならこの投票に不平不満を上げるような者はいないはずでしてよ?
【Bottom Down-Online Now loading……】