875話 【ボマードちゃん守り隊】
本日2話目の更新となります。
前の話を読まれていない方はそちらからどうぞ!
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
まさかのアイドルイベントというトチ狂ったイベントが開催されるわけだが、その準備をしないとな!
とりあえず、アイドルグループを結成するわけだからその仲間を見つけたいと思う。
期限は三日だが、その他の準備のことを考えると少なくとも明日までに決めないとな!
……というわけでやって来ました草原エリア!
ここにある特設ステージには、人がゴミのように見えるほど密集していた。
「ボマードちゃん~私と組んで~」
「ボマードちゃんと組むのは俺だ俺だ俺だ!!!」
「いやワイや!」
「儂に決まっとるぞ!」
流石は包丁次元の人気アイドル……ここぞとばかりにボマードちゃんの人気の恩恵を受けたいプレイヤーたちが押し掛けてきていたようだ。
そして俺もその一人だ。
「あっ、【包丁戦士】さんじゃないですか!
いや~、来てくれたんですね!」
ステージから俺を見つけたボマードちゃんがその憎らしいロリ巨乳ボディを見せびらかしながら俺に手を振ってきた。
そして、そのまま近寄ってこようとしたが、周囲に集まった人たちがボマードちゃんの進路を妨害してきた。
「なんで私の邪魔をするんですか!?
いや~、私は【包丁戦士】さんのところに行きたいだけですよ~!」
全身を使ってボマードちゃんが集まる人たちを押し退けようとしたが、その密集陣形を突破することは叶わずステージ上に押し止められているようだ。
「ボマードちゃんと組むのは俺だが、最悪【包丁戦士】と組ませなければそれでいい!」
「【包丁戦士】が一位になるのは何としても防ぐぞ!」
「狂人がアイドルなんて……そして一位なんて許せないからな!」
「私のボマードちゃんを汚さないで~」
「ワイ、クラン【ボマードちゃん守り隊】。
【包丁戦士】とボマードちゃんを組ませてこのイベントに出させるわけにはいかない模様」
おーおーおー、お前ら俺に喧嘩を売る気だな?
まさかここまで警戒されるとは嬉しいことだ。
そんなに俺とボマードちゃんを組んでアイドルグループになるのが嫌みたいだな!
それは俺とボマードちゃんの仲がいいことに対する嫉妬か?
「……ないとは言わない」
「だが、それ以上にお前への恨みを解消するためだ!」
「あんたにプレイヤーキルされたの忘れてないんだから!」
「なんなら昨日の配信が終わった後ワイはキルされたばっかり……」
ちっ、それなら力ずくでも押し通らせてもらうぞ!
スキル発動!【深淵顕現権限ББ】!
俺は近場にいた俺に敵意のないプレイヤーを五人ほど生け贄に捧げ深淵の黒い霧を身体に纏わせていく。
そして両目を【アルベー】の眼に削ぎ変えていった。
「出たな深淵!」
「禍々しい力だ……」
「やはり【包丁戦士】はここで止めなければ!」
好き勝手言ってくれるじゃないか!
お前たちそこで雁首揃えて待ってろよ!
スキル発動!【阻鴉邪眼】!
スキルを発動させると、俺の周りの黒い霧が形を変えて黒い眼球の形状を取り始めた。
そしてその眼球が俺の回りをグルグルを回りはじめ、その眼球と俺に挟み込まれたプレイヤーたちは次々にデバフを受けていく。
そして弱ったやつから順に包丁で切り裂いていく。
「デバフの邪眼が来たぞ!」
「なんか違くね?」
「狂人のやることだ、俺たちとは違う見た目しててもおかしくはない」
「この眼球キモいんだけどぉ!」
この【阻鴉邪眼】がキモいのは同意してやろう。
使っている本人が言うのもなんだが、空中に眼球が浮いている光景はキモいしグロい。
こんなの突然見せられたらテンションが下がること間違いなしだろうよ。
そうやって【阻鴉邪眼】を展開しながら俺は周囲にいるモブプレイヤーたちを斬首していき、悦に入っていく。
うーん、やっぱりプレイヤーキルって最高だ!
プレイヤーキルに気を取られて本来の目的を忘れてしまったようですね。
全く、これだから劣化天子は……
本末転倒もいいところですよ。
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