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871話 邂逅!【肉叉家政婦】

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は【トランポリン守兵】お嬢様が都合をつけてくれた【肉叉家政婦】と会う予定だ。

 どんなやつか楽しみだな!







 というわけでやって来ました堅牢剣山ソイングレスト!

 クラン【お屋敷組】のクランハウスではなく、そこの山頂で直立不動な姿勢を保ちながら待ち構えているプレイヤーが一人いた。

 服装はクラシックメイド……ヴィクトリアンメイドスタイルの丈の長いメイド服だな。

 アニメとかでよく見るミニスカ風とか派手な装飾のない昔ながらの落ち着いた雰囲気の服だ。

 そして、年齢は40歳から50歳くらいだろうか?

 アバターの見た目なんて弄れるのであてにならないが俺はプレイヤーキラーだからな、その人の気配や所作でおおよその年齢はわかるぞ!

 あの熟成された気配は外見相応のものだろうな。

 おばさんプレイヤーといったところか。


 山頂に他のプレイヤーもいるものの、その直立不動っぷり故に近づきにくい雰囲気があるのであの空間だけポツリとメイドおばさんが立っているだけという異様な光景が繰り広げられているのだ!

 そんな貫禄のあるメイド長が俺に気づき声をかけてきた。


 「あなた様がお嬢様のご友人の【包丁戦士】様でございますね?

 私めがご紹介に預かりました【肉叉家政婦】です」


 お嬢様……か。

 相当ロールプレイに凝ってるんだな?

 このゲームにログインする機会が少ないと聞いたが、今回の対面を設定してくれたということはリアルで伝手があるんだろうか。


 「私めはお嬢様にお仕えしておりますので、ご要望とあらばこのように短時間であれば勤務時間をズラして戯れることも可能です。

 もっとも、イベントや時間のかかるものには一切参加できませんが」


 なるほど。

 【トランポリン守兵】お嬢様が言っていたのと同じことを言っているな。

 このゲームでのプレイ時間は短いが実力がある……とのことだが、それはいわゆるリアルスキルが高いということだろう。



 そんな実力者がわざわざ俺のためにログインしてきてくれたんだ。

 そうなればやることは一つだろう!

 

 「かしこまりました。

 ですが、お嬢様のご友人であっても手心を加えるつもりは一切ありません。

 それはお嬢様の顔に泥を塗るような行為ですので。

 ……それでよろしいでしょうか?」



 当然だ!

 むしろ手加減なんてされたら俺が怒るぞ?

 なにせ俺は強者との戦いを求めてここに来たんだからな!

 ただ、手加減じゃないがルールとしてスキルの使用だけは禁止にしておこう。

 純粋に腕前を見てみたいからな!



 「……承知いたしました、それではお手会わせ願いましょう!」


 そう開戦を宣言した【肉叉家政婦】が俺の元へと駆け出してきた。

 手に握られているのは2つ名の通り肉叉……つまりフォークだ!

 そして走りながら両手の指に挟み込まれた八本のフォークが俺をめがけて飛んできた。


 中々精度の高い投擲だな。

 フォークを投げてきたということは、回収手段があるかこのフォークたちは模造品だろう。

 前者は【ブーメラン冒険者】が、後者は【ペグ忍者】がよくやっているからどっちのパターンで来ても対応できる自信はある。



 そんな投擲を俺は包丁を使い切り落としていき、間に合わないものについては包丁の腹で受け流していった。


 「流石はお嬢様のご友人ですね。

 ゲームの中とはいえ、これを簡単に対処されたのは数えるほどしかありません。

 お見事です」


 そりゃどーも。

 弾かれるのを前提に突進してきている人に誉められても釈然としないが……


 「投擲は防がれましたが、こちらはいかがでしょうか」


 【肉叉家政婦】は俺が投擲に対応している隙をついて、新たに取り出したフォークを俺に突き刺そうと腕を伸ばしてきた。

 狙いは……目だな!


 ここまで接近されているとピンポイントで対応しないと間に合わない!

 そう思い俺は首を横に捻ってフォークの軌道から外れようとした。

 ……だが、僅かに間に合わなかったのかフォークが頬の表面を切り裂いていきそこから光の粒子が漏れていった。

 大したダメージにはならなかったが、先手を取られたのは悔しいぞ!


 

 「驚きました、これをゲーム内でかわされたのは【釣竿剣士】様に次いで二人目です」


 【釣竿剣士】とは戦ったことがあるんだな。

 勝敗が気になるところだが、フォークによる連続突きへの対処に追われてそれどころではない。


 基本守りの姿勢にさせられてしまっているが、時折隙を見つけて包丁で切り込んでいるからか【肉叉家政婦】も決定的な一撃を繰り出すほど攻めきれていないのが不幸中の幸いだな!



 【Bottom Down-Online Now loading……】 

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