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870話 聖の経歴

 【Raid Battle!】


 【包丁戦士】


 【包丁を冠する君主】


【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】

【サブ】ー【次元天子】【上位権限】



 【聖獣を担うが故に】


 【深淵へ誘い】


 【聖邪の境界を流転させる】


 【会うは別れの始め】


 【合わせ物は離れ物】


 【産声は死の始まり】


 【この世の栄誉は去ってゆく】


 【故に永遠なるものなど存在しない】


 【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】


 【ああ……この世は無情である】




 【ワールドアナウンス】


 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は何をしようか……

 【荒野の自由】がエリアを跨いで来るようになって、本格的に動きにくくなったからなぁ……

 やれることの幅も狭くなってしまったのが難点だ。

 


 ……特に用もないが、【菜刀天子】にでも会いに行くか。

 一人で夢幻スキルの練習をしていた時に気づいたことなんだが、前に一度経路を繋いだので失伝秘具の【夢幻銀鍵】を使えば気軽に会いに行けることが分かった。

 その時は行けるという感覚が分かっただけだったので、今回は実践編というわけだ!



 出てこい!【夢幻銀鍵】!


 俺が出現させたのは銀色に輝く鍵だった。

 奇妙なアラベスク模様に表面が覆われた、長さが5インチ近くある大きな銀の鍵であるがこれは深淵奈落に封印されていた深淵の禁書……【深淵異本】の封印を解くために使ったものだ。

 こいつを【誓言の歪曲迷宮】のダンジョン入り口に差し込み捻ると純白の扉が現れた!

 俺はそこに躊躇することなく駆け込んでいくのだった……

 待ってろよ【菜刀天子】~!







 【特異次元????離宮】


 【Raid Battle!】


 【空虚なる草原の黄麟児】


 【???】


 【???】【???】【???】


 【条件未達成のため開示拒否】


 【条件未達成のため開示拒否】


 【聖獣であるが故に】


 【深淵と敵対する】


 【条件未達成のため開示拒否】


 【条件未達成のため開示拒否】


 【条件未達成のため開示拒否】


 【条件未達成のため開示拒否】


 【レイドバトルを開始します】



 「……一体何をしに来たのですか、わざわざこの隔離された空間に再び訪れるとは劣化天子も物好きですね。

 そんな暇があるのなら、その低能な思考回路を向上させるように勉強でもした方がいいのでは?」


 出会い頭から罵倒とは随分な歓迎だな【菜刀天子】!

 その変わらなさは、【槌鍛冶士】とは違った意味で安心するぞ。

 実際、特に用事もなく【菜刀天子】に会いに来たのでその謗りを受けるのはやむを得ないだろう。

 とは言っても、俺が今さら勉強するものなんて専門的なものくらいしかないけどな。


 「そういえば総力戦で私がプレイヤーたちに敗れた後に【山伏権現】から劣化天子の経歴は聞きましたが、これまでの行動が納得できるものでしたね?

 ただの狂人や蛮族では無いとは思っていましたが、プレイヤーキルの技術や気配察知能力の高さはその経歴が故のもの……ですね」


 あのゲーム運営プロデューサー……NPCに個人情報を横流しするなよ!

 ……まあ、このゲームはプレイヤーに人権がないゲームだから個人情報の扱いも横流しされてしまうのは規約に書かれているため、俺が訴えたところでその訴えは取り下げられてしまうのは決定事項だ!

 

 しかし、それでも【菜刀天子】の俺の経歴を知られたのはなんとも恥ずかしいものがある。

 


 「そんなに恥じるようなものでもないと思いますが……

 それでもこのゲーム内でのプレイヤーキル行為は誉められたものではないです。

 もう少し誇りある行動を心がけてもらえたのならば天子としても適性が上がっていたというのに。

 全く、これだから劣化天子は……」


 結局俺は罵倒されるのか……(困惑)

 【菜刀天子】は俺をどうしたいと言うのだろうか?


 「それはもちろん深淵の闇から脱して私たち天子・獣陣営に全面的協力をしてもらうことです。

 次元天子だった私を倒したのですからもう必要以上に私たちがプレイヤーに狙われることもありません。

 だからこそあのタコ……【深淵域の管理者】を倒すために手を取り合うことも出来るでしょう!」


 なるほどな?

 確かに深淵種族レイドボスを倒したいプレイヤーは多いはずだ。

 なにせ多くのプレイヤーにとって害のある深淵の黒い霧を生み出し環境汚染を引き起こしたり、プレイヤーに寄生して意識を乗っ取ったりするような厄介な存在だからな!


 だが、生憎俺は【菜刀天子】に力を貸すことが出来ない!


 「どうしてですか、劣化天子にとっても悪い条件ではないはず」


 条件云々の話じゃないんだよな。

 俺は【Bottom Down-Online The Abyss】をインストールした結果、陣営対戦のユニーククエストが出ると深淵種族側に強制参加させられてしまうからだ。


 「くっ、まさかそこまで深淵に魅入られていたとは……

 あのタコが劣化天子を気に入っていたのは分かっていましたが、アップデートパッチまでインストールさせているとは相当深入りしましたね?

 深淵結界で王宮を囲んだ時から薄々思っていましたが……」


 



 深淵使徒の名に恥じないほど深入りしてるな!


 ……もう少し聖獣たちと触れ合わせるべきでしたか。

 劣化天子は聖に染まる可能性も秘めていたというのに残念です。



 【Bottom Down-Online Now loading……】

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