866話 マヒ鍛冶士
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
次元戦争も終わってとりあえず一息つけるな……
普段自分が使っている力とは違っていきなり本番で次元天子のスペックとスキル性能を試すことになったので、思っていたよりも動きがカクカクになっていたような気もする。
スキルのクールタイムの管理とか威力想定も無茶苦茶だったので、最後の方は【タコガタ】や【夢魔たこす】にいいようにやられたまま、なし崩しにボマードちゃんや【ペグ忍者】がキルされてしまったのも俺の責任だろうなぁ……
……今さら反省会をしても後の祭りだからこれくらいにしておくか。
時間があるときに【菜刀天子】からこの辺の性能については聞いておけば次回同じように次元天子として戦うときはなんとかなる……はずだ!
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルの拡張エリアにある【槌鍛冶士】の鍛冶場!
ここで金属を叩いている【槌鍛冶士】に喋りにきたのだ!
よう、元気か?
俺がそう尋ねると【槌鍛冶士】は手を止めて俺の方へと向き直りながら口を開いた。
「ガハハ!!!
ワシにその質問は無意味だと知っているのに何度もやるな!!!
いつでもワシは元気だぞ!!!」
まぁ、こういう雑なコミュニケーションもいいだろ?
俺たちの仲なんだから、分かっていてもあえて訊くのも乙ってものだと俺は思うけどな。
「そういうものか!!!???
お前はよくワシには理解出来ないことを言うが、お前がそれで満足するならワシは構わんぞ!!!」
ああ、そうさせてもらうよ。
お前がいつでも元気なこと自体は喜ばしいし、復活後となればなおさらだ。
……本当に身体の不調を心配しているというのは秘密だけどな。
そういや、【封地剣マヒク】っていつでも使えるのか?
【槌鍛冶士】が近くにいないと使えないのは前に聞いたが、近くにいればいつでも使えるものなのかどうかまでは聞いていなかった気がするぞ。
俺は首をかしげながら上目遣いで【槌鍛冶士】に問いかけた。
【検証班長】ならこれでデレデレして挙動不審になるレベルでイチコロだが、【槌鍛冶士】は別にウブというわけでもないのでそのままいつも通りの様子で言葉を紡ぎはじめた。
「使うこと自体はいつでも出来るだろうな!!!
だが、より効果的に使うのであれば場所や状況を選ぶことになるぞ!!!」
……というと?
「【封地剣マヒク】という名前から伝わると思うが、地面に接している状態かつ周りに地面が広がっていることだな!!!
それに、木々があると力が増すな!!!
空中や水中、地面とは違うものが足場になっている場合は大幅に弱くなるぞ!!!
特に海エリアはこの剣を使うなら難所だな!!!」
そんなに笑うようなことじゃないと思うが、【槌鍛冶士】のツボは相棒である俺にもよく分からない。
高らかに笑いあげる【槌鍛冶士】だが、この剣の性質からしても森人の【上位権限】所有者である【槌鍛冶士】と海エリアの【上位権限】所有者である【カニタマ】が根本的に相性が悪いことを暗示しているのだろう。
それじゃ、ここで【封地剣マヒク】の力を使ってもいいか?
どこでも使えるんだろ?
俺がそう尋ねると【槌鍛冶士】が珍しく慌てて両手を横に振りながら止めてきた。
「ガハハ!!!
それは止めてくれ!!!
せっかく安定しているここの地脈が乱れるからな!!!
いくら唯一無二の相棒の【包丁戦士】が頼んできたとしてもやりたくないな!!!
なにせワシの製作物に影響が出る!!!
そうなれば【包丁戦士】のためにもならないからな!!!
今後のことも考えるなら……別のところがいいだろう!!!」
別のところか……
それに地脈が乱れるってことはいつも俺が活動するエリアじゃない方が良さそうだ。
それならあそこが良さそうだ!
今日は色々と準備して、明日向かうとするか!
ガハハ!!!
ワシの鍛冶に影響が出なければ問題ないぞ!!!
【Bottom Down-Online Now loading……】
403話の後書きに描いていただいたイラストを新たに挿し絵として掲載させていただきました!
ぜひ見てみてください!