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86話 猫釣

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


  【レイドバトルを開始します】


 はい、今日も元気にログイン!

 試合期間中は代表選手の行動がシステム的に制限されるようで、一度ログアウトしたのにも関わらず、新緑都市アネイブルにある王宮ではなく、草原エリアの闘技場にログインすることとなった。







 【イベントバトルリザルト】





 【あなたの勝ちです】






 【代表戦順位未定】






 【次の試合は準決勝2戦目です】






 【今しばらくお待ちください】



 あっ、そういえば【トランポリン守兵】お嬢様を解体した後、満足して控え室に転送される前にそのままログアウトしたから今さらアナウンスが流れてきたのか。

 日を跨いでこのアナウンスが流れてくるとちょっとシュールな気がする。

 まあ、これは俺が悪いけどさ……


 というよりさ……

 なんか、控え室にログインしてきたらレイドバトルアナウンスが流れてきているんだが?

 【菜刀天子】がこの草原エリア闘技場にいるからなんだろう……多分。

 この控え室に隠れていたとかいうオチは怖いのでやめてほしい。




 「予定の時刻になりましたので、アナウンスを開始しますよ。

 今日も私【菜刀天子】がメインなのでよろしくお願いします。

 今ここ来れていない、哀れな底辺種族は居ませんよね?

 いたらすぐ呼んできてあげてください、ここからの試合がこの【包丁次元】の運命を左右すると言っても過言ではないので……

 それでは、気を取り直してこれから、準決勝第一試合を開始しますよ!

 この試合は、草原エリア闘技場代表【ペグ忍者】VS【無限湖沼ルルラシア】闘技場代表【釣竿剣士】というカード!

 どちらも有力な優勝候補なので、是非お見のがしなく」


 ディスプレイから【菜刀天子】がしゃべる様子を見ているが、俺に対して話しているときよりもどちらかというと、公式寄りの立場で話している気がするな。

 もちろん、俺たち底辺種族に対しての毒こそ吐いてはいるが、その度合いがかなり低いぞ。

 ……運営に思考を規制されているのか、自粛しているのかは分からないが、あのレベルの辛辣さなら、見た目も合わせてチョイS系の美形って感じだからな……そりゃ熱狂的なファンも現れるだろうよ。


 そんな【菜刀天子】が俺たちに伝えた対戦カードは【ペグ忍者】と【釣竿剣士】だ。

 さっそく二人がバトルフィールドへ転送されてきている。


 「ふにゃああああああぁぁ~!!!

 念願の【釣竿剣士】ちゃんとの対戦なのらあああいだぁあまあまあいあ~!!!!???

 【釣竿剣士】ちゃんが見てる!!見てるのら!!!!

 ほわああああ、鼻血が止まらないのらぁ~!!

 クンカンクワカンカ!!!

 のわわんわわわわ!!!

 この花のようなグッドなスメルも一級品、これは最高コンディションなのら?」


 「えっ、気持ち悪いです……」


 【ペグ忍者】なんかふにゃふにゃだけど大丈夫か?

 なんかマタタビの匂いを嗅いだ猫みたいになってるぞ。

 あぁ……、そういえば【検証班長】が言ってたな。

 レイドバトル中【ペグ忍者】を【釣竿剣士】に近づけるな、と。

 なるほど、ここまで酔っ払ったOLみたいになってしまうのならああ言ったのも頷けるってもんだ。



 ……何やら二人が少し会話した後、戦いの火蓋が切って落とされたようだ。

 先に動き始めたのは、猫耳頭巾を被っている【ペグ忍者】。

 ふにゃふにゃした動きはそのままに動き始めている。

 その不可解な動き方は昔の映画で見た酔拳を思わせるような動きだ。

 だが【ペグ忍者】が武器にするのは幼女特有の柔らかそうな拳ではない。

 チュートリアル武器であるペグを手に持ち、体勢を低くしながら【釣竿剣士】へと襲いかかった。

 フェンシングを思わせるような動きで、心臓を穿とうと突きが放たれたのだ。


 「その心臓、もらい受けるのらー!

 そして、舐めたいのら~♪」


 「いやです……」


 だがしかし、その攻撃を易々と受け入れる【釣竿剣士】ではない。

 釣竿を正面に構えてトーチトワリングの要領で振り回し、釣竿の壁を作り出している。

 あれは【釣竿剣士】の超絶チートリアルスキルの、釣竿一刀流【渦潮】だ。

 その技の名前の通り、海に渦巻く渦潮を思わせるような動きをする釣竿がペグを問答無用で弾き返した。


 「この程度では心臓は上げられませんよ?」


 その釣竿一刀流【渦潮】の回転する動きを途切れさせずに、釣竿の釣糸の先にあるルアーを鉄球に交換し、ペグ忍者へカウンターを炸裂させた。

 クリティカルヒットだな、こりゃ。

 これは釣竿一刀流【石砕き】だ、地形破壊に特化した一撃を放つ技だがこの状況であいつが選択したんだ、何かしら理由があるんだろう。

 鉄球による攻撃が【ペグ忍者】の頭に直撃し、一瞬気絶したと思われる猫耳ペドだったがすぐに気絶から復帰し体勢を建て直した。

 

 普通ならここでキルされていた猫耳幼女だったが、【釣竿剣士】はability【現界超技術】の効果でプレイヤーに与えられるダメージが大幅に減少してしまうデメリットを負っているから、気絶こそさせたが、キルするほどのダメージにはならなかったのだろう。


 ……色々と突っ込みたい。

 まず、振り回しながら鉄球をルアーとして釣糸に取り付けられるのっておかしいでしょ。

 釣糸もぐるんぐるん回ってるんだぞ!?

 サーカスか何かかよ!


 そして、一瞬で気絶から回復した淫乱ペドもおかしい。

 新緑都市アネイブルレイドボス攻略の時にも思っていたが、あいつも大概おかしい動きしてるよな。

 ……この二人一体何者なんだよ、本当に……


 「これは【ペグ忍者】特製の……唾を塗ったペグなのら!

 ベトベトにしてあげるのら~♪」


 そんな俺の困惑を無視するかのように【ペグ忍者】がペグをいくつか指に挟み、フィールドに向けて刺さるように全方位に投げ、ワイヤーを張り巡らした。

 これは【ペグ忍者】がワイヤー猫ハウスって呼んでたフィールド形成術だな。

 クモの巣のようにフィールドに張り巡らせたワイヤーを伝って【釣竿剣士】を撹乱させようとしている。

 もちろん、両手をワイヤーにつけての急加速も併用している。

 それくらいしないと花飾りの少女の目を欺くことなんて出来ないだろうし、妥当だな。

 俺はこの技にしてやられたんだよな……

 さて、リアルチートの【釣竿剣士】はどうやって対応するんだろうか。



 「……まさかこのゲームでこの技を使うことになるとは思いませんでしたね。

 あなたの私への執念に対しての返答はこれです、釣竿一刀流【斬祓】っ!」


 ……なんと、一瞬でワイヤー猫ハウスが解体されていた。

 何が起きたかと言うと、釣竿が高速振動し始めて、姿がブレて鉄扇みたいに見えたかと思うと、【釣竿剣士】はその鉄扇の幻影で空中を扇いでいた。

 そして、次の瞬間にはワイヤー猫ハウスが瓦解していたのだ。

 おいおい、対応ってレベルじゃないぞ。

 崩壊してるじゃん……扇いでただけだぞ……?

 釣竿一刀流の技を【釣竿剣士】の隣で色々見てきて、もはや釣竿一刀流博士だな……とかちょっと思っていたのだが、その認識は甘かったようだ。


 あの流派……本当になんでもありじゃないか(困惑)。




 猫ハウスが解体され、ワイヤーの上に乗っていた【ペグ忍者】が頭から地面に落下していった。

 あっ、あれは痛そうだ……







 【Bottom Down-Online Now loading……】

アンケート第二弾です。



次元戦争のメンバーについてです。



是非コメントお願いします。





https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/788051/blogkey/2491052/



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