858話 アンカー路線
多少苦戦したが、なんとか勝つことが出来たな!
だが、俺たちも二人失ってしまい俺を除くと【ペグ忍者】とボマードちゃんの二人しか残っていない。
【ペグ忍者】が残ってくれたのは非常にありがたいことだが、ボマードちゃんは……まぁあれだな!
「そこでお茶を濁さないでくださいよ!
いや~、私もやるときはやりますからね~!
次は【包丁戦士】さんに良いところ見せちゃいますよ!」
そうしてくれると助かるが、そこまで期待せずにに待たせてもらうとしよう。
「補助役の二人がやられたのは痛手なのらね……
アンカー次元の次元天子とMVPプレイヤーのセットに挑む時に援助がないのはキツすぎるのら!」
今回はMVPプレイヤーである【師匠】とその仲間が相手だっただけで、次元天子は相手じゃなかったからな。
そう考えると、動かした戦力のわりに被害が大きすぎたような気がする。
何せ、万全の態勢のアンカー次元が丸々残った上で俺たちは半壊してるんだからな!
「出来れば戦わずに探索してたいですね!
いや~、流石の私でも微妙な戦況なのは分かりますよ~!
私も次元戦争の経験は何度かしてますから!
……ジェーライトさんだけが参加したものも含めてですけど」
「【ペグ忍者】は二回目なのらけど、前は一対一だったのら!
しかも戦ったのは火遁使いの忍者だったのらね~
忍者の癖に派手好きな忍者の風上にも置けないスタイルの相手だったのら。
実力は、正面対決ならMVPプレイヤー相当に強かったのらけど」
へー、そんな相手と戦っていたんだな。
聖剣次元との戦いをしていた時の話を聞く機会がなかったから、そんな相手ってことは詳しく知らなかった。
火使いが相手だったのなら俺が戦わなくて正解だったぞ!
何せ俺は火属性が弱点だからな!
【堕枝深淵】のスキルを得たときにデメリットととして引き受けて以来ずっとこれに悩まされている。
過ぎたる力には大きな代償を伴うとは言うが、やけに火属性使いを見る機会が多いので俺への嫌がらせなのかと勘繰ってしまうのも無理はないだろう!
ま、そんな愚痴を言っていても何も進まない。
宝さがしをしていこう!
「それでこれからどうするのら?」
「私は【包丁戦士】さんについていくだけです!
いや~、私一人だと頑張りようがないですからね~」
ボマードちゃんがついていくにしても他に【ペグ忍者】しかいないからな。
【ペグ忍者】にボマードちゃんを任せるとなると、【ペグ忍者】の負担が大きくなるだけだからそれは止めた方がいいに違いない。
人数も減ってしまったのだから三人纏まって移動するのが堅実だな。
そして、釣竿次元の次元天子についてだが、放置だ!
拠点から動かない物置きと化しているのならわざわざ俺たちから刺激する必要性も感じられない。
今回の勝利条件は敵の全滅じゃなくて宝を見つけることだからな!
「そのわりに釣竿次元のプレイヤーたちはきっちり倒したのらね。
【包丁戦士】しゃん人格分離してるのら?」
それは俺を煽ってるのか?
まあ、釣竿次元のプレイヤーを倒したのはあくまでも倒しやすい条件が揃っていたからだ。
絶対的な必要性は無かったが、純粋に競争相手が減ったのは今後の展開に役立つはずだ。
戦力的に考えるならアンカー次元よりも釣竿次元の方がプレイヤーは厄介なやつばかりだったし。
「それで、アンカー次元のプレイヤーと遭遇した時はどうするのら?
このまま戦っても【ペグ忍者】的には問題ないのらけど……」
うーん、ここからアンカー次元と戦うのは避けたいけどなぁ。
ここも様子を見て襲い易そうだったら適宜戦力を削っていく形がいいな。
だが、アンカー次元の【夢魔たこす】が大罪域の風の影響を受けていなかった以上、ここからかなり離れた場所にいるか特殊な環境にいることが考えられる。
見つけたら襲いかかる前に情報を吐き出させたい。
「ということは当面は協調路線で行くのらね~
【ペグ忍者】もそっちの方が気楽でいいのらよ!
【ペグ忍者】の特技は戦闘じゃなくて情報収集なのら!」
【ペグ忍者】が包丁次元の中では特級戦力だから忘れがちだが、忍者をやっているだけあって本当の特技は情報収集なのだ。
クラン【検証班】でもその力を発揮していることから俺も知っていたが、俺には【ペグ忍者】のその力を活かしてやることが出来ていない。
こういうところで【検証班長】の力が活きてくるんだろうけど……
「【検証班長】しゃんは別格の天才なのらよ。
【包丁戦士】しゃんが落ち込むことはないのら!」
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